この記事のサマリー
・「蛍雪の功」は、厳しい環境で学問に励み得た成果や、苦労して学問に励むことを表す言葉です。
・中国・晋の時代の車胤(蛍の光)と孫康(雪の光)という、二人の苦学者の逸話が組み合わさって誕生しました。
・類語には「刻苦勉励」、「苦学」などがあります。
「蛍雪の功」という言葉を耳にしたとき、どんな情景を思い浮かべるでしょうか? 多くの人が「窓の外の雪明かりで机に向かう姿」や「地道に努力を重ねる様子」をイメージすることでしょう。
しかし、この言葉の本当のポイントは、単なる「苦労話」を指すのではないという点にあります。そこで、この言葉を正しく使いこなせるよう、要点をまとめました。
「蛍雪の功」とは?
辞書に基づいて「蛍雪の功」の読み方と意味を確認し、語の成り立ちや背景を確認します。
「蛍雪の功」読み方と意味
「蛍雪の功」は「けいせつのこう」と読みます。
『デジタル大辞泉』では、次のように説明していますよ。
けいせつ‐の‐こう【蛍雪の功】
苦労して勉学に励んだその成果。「―なってみごと合格する」
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
「蛍雪の功」は、苦学した成果や、苦労して学問に励むことを意味します。
「蛍雪の功」の背景となった故事
「蛍雪の功」は、晋の時代に生きた車胤(しゃいん)と孫康(そんこう)の逸話に由来します。
車胤は、家が貧しく灯火するための油が買えなかったため、夏には蛍を集めて袋に入れ、その光で書を読んだと伝えられています。孫康もまた貧しく、冬は雪に反射する光を利用して読書に励んだとされます。
この二人に直接の関係はないものの、どちらも厳しい環境下で学問に打ち込んだ姿勢が共通しており、その象徴として「蛍」と「雪」が並べられました。
こうして、「蛍雪の功」は苦学とその成果を意味する語として定着しました。これらの話は、『晋書-車胤伝』や『蒙求(もうぎゅう)』などに記されていますよ。
参考:『デジタル大辞泉』、『日本国語大辞典』、『日本大百科全書(ニッポニカ)』(すべて小学館)

「蛍雪の功」現代での使い方と注意点
「蛍雪の功」を使いこなせるよう、ふさわしい文脈と避けたい場面を整理しておきましょう。
「長年の独学が実を結び、『蛍雪の功』なって難関資格を取得した」
「蛍雪の功」は、長期間にわたる地道な積み重ねが、目に見える成果として結実した場面で使います。単なる「頑張り」だけでなく、「合格」や「取得」といった明確な結果が形になっていることがポイントです。
「苦学の末に論文が評価され、『蛍雪の功』が認められた」
このように、成果が明確に認められた場面で、その過程を称える表現として添えると、意図がより伝わります。
「すぐに結果が出なくても、蛍雪の功を積めば道は開ける」
努力を重ねることの大切さを説く言い回しです。「蛍雪の功を積む」は、苦学して知識や経験を豊かにすることを意味します。
参考:『日本国語大辞典』(小学館)

「蛍雪の功」の類語
ここでは、「蛍雪の功」に近い意味を持つ言葉を2つ紹介します。
「刻苦勉励(こっくべんれい)」
大変な苦労をして、仕事や勉学に励むことを指します。
例文: 「彼は十数年にわたり『刻苦勉励』し、ついに業界を揺るがす新技術を開発した」
「苦学(くがく)」
経済的に苦しい状況にありながら、勉学に励むことを指す言葉です。
例文: 「働きながら大学を卒業した彼の『苦学』を知っているだけに、今回の昇進は自分のことのように嬉しい」
参考:『デジタル大辞泉』(小学館)

「蛍雪の功」に関するFAQ
ここでは、「蛍雪の功」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1. 「蛍雪の功」は、仕事のプロジェクト成功に使ってもいいですか?
A. 基本的には「学問や研究」に関する成果に使うのが適切です。語源が「書を読む(勉強する)」ことにあるため、資格取得や技術習得など、学びを伴う成果に対して使うのが自然でしょう。
Q2. 卒業式の祝辞などで使うのはなぜですか?
A. 苦労して学問に励んだ結果が「卒業」という一つの成果に至ったことを称えるためです。「蛍雪の功を積む」といった表現で、学生時代の地道な努力と、無事に学業を修めたことを結びつける定番の祝辞フレーズとして親しまれています。
Q3. 「蛍雪の功を積む」とはどんな意味ですか?
A. 苦学して知識や経験を豊かにすることを意味します。
最後に
「蛍雪の功」は、苦しい状況の中でも学び続け、努力を積み重ねた成果をたたえる言葉です。蛍の光や雪明かりを頼りに勉学に励んだという故事に由来し、条件が整わなくても志を失わない姿勢が描かれています。
現代では学ぶ環境が広がった一方で、努力の形は人それぞれになりました。それでも、地道に続けた時間が力になることは、今も変わりません。
言葉の背景を知ることで、「蛍雪の功」は単なる美談ではなく、積み重ねの尊さを思い出させてくれる表現になります。静かに頑張り続ける人の背中をそっと押してくれる、そんな言葉だといえるでしょう。
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