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2023.12.30

「五里霧中」とは? 意味や語源、使い方、類語・対義語を解説

「五里霧中」とは、「物事の判断がつかなくて、どうしていいか迷うこと」。まるで霧の中にいるように、物事の事情や方向性が見えなくなっている状態を表します。古代中国の歴史書に載っている故事が語源とされています。本記事では、「五里霧中」の意味や使い方、類語などをみていきましょう。

皆さんは、「五里霧中」という四字熟語をご存知ですか? 国語の授業などで、習った記憶がある方も多いかもしれませんね。聞き覚えはあるものの、あまり会話の中で使ったことはないのではないでしょうか? そこで本記事では、「五里霧中」の意味や語源、使い方、言い換え表現などを解説します。

「五里霧中」とは?

「五里霧中」は、「ごりむちゅう」と読みます。誤って、「五里夢中」などと漢字変換してしまいやすいため、気をつけてください。意味は以下の通りです。

《後漢の張楷が道術によって5里にわたる霧を起こしたという「後漢書」張楷伝の故事から》
方向を失うこと。物事の判断がつかなくて、どうしていいか迷うこと。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用

「五里霧中」とは、「物事の事情が全くわからず、どうしたらいいのかわからなくなってしまうこと」を意味する四字熟語です。濃い霧の中では、何も見えず手探りで前に進むことしかできません。まるで、霧の中にいるように、物事の方向性や手順などがわからず、迷っている状況のことを指すのです。

分かれ道
(c)Adobe Stock

語源

「五里霧中」は、中国古代の王朝「後漢(ごかん)」の歴史書『後漢書』に記される、張楷(ちょうかい)という儒学者の話が元になっているとされています。張楷は人嫌いで、役人などが自分の元へやってくると、道術により5里にわたる霧を起こし、姿をくらましたとか。四方5里の霧は「五里霧(ごりむ)」と呼ばれ、やがて「五里霧中」という四字熟語の元になったとされています。

使い方を例文でチェック!

「五里霧中」は、人生を手探り状態で歩んでいる時に使われる傾向があります。そのため、ビジネスシーンやインタビューなど、様々な場面で耳にする機会があるでしょう。「五里霧中」がよく使われる3つのシチュエーションを紹介します。

1:ビッグプロジェクトを任されて、五里霧中のなかメンバーと励まし合って働いた。

ビジネスシーンでは、新しい仕事を任されて、右も左も分からない状況で使われる傾向があります。特に、会社初のビックプロジェクトの場合、マニュアルもなく、手探り状態で仕事を進めていくことになりますよね。本当にこれで大丈夫なのか? と不安になりながらも、仲間と共に励まし合って働くことで、徐々に道筋が見えてくるものなのです。

2:事件は未だ、五里霧中の状態である。

事件や事故が解決できていない場合にも、「五里霧中」は用いられます。どんなに聞き込みや現場検証を行なっても、なかなか有力な情報が得られず、捜査が滞っている状況は、まさに「五里霧中」。真相が隠されていて、なかなか解決の糸口が見つからない難事件と言えるでしょう。

3:先代が急に亡くなり、夫と私が跡を継ぐことになって五里霧中の状態でした。

「当時は五里霧中の状態でした」と、過去の大変な時期を振り返って語ることもあるでしょう。店を急に任されることになり、手探り状態で店を守ってきた大変さが想像できますよね。経営や接客など何もわからないまま、霧の中を夫婦二人三脚で歩んできたストーリーが思い浮かぶようです。

困る女性
(c)Adobe Stock

類語や言い換え表現は?

「五里霧中」によく似た表現には、同じ四字熟語の「暗中模索」のほか、「窮地に陥る」「目処が立たない」などがあります。合わせて覚えて、会話の中で役立ててみてはいかがでしょうか?

1:暗中模索

「暗中模索(あんちゅうもさく)」の意味は、以下の通りです。

[名](スル)
1 暗やみの中で、手さぐりしてあれこれ探し求めること。
2 手掛かりのないまま、いろいろなことを試みること。「打開策を―する」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用

「暗中模索」は文字通り、暗やみの中で、あれこれと探し求めること。「五里霧中」が、霧の中を彷徨っているのに対して、暗いやみで周囲が見えなくなっていることを表す四字熟語です。何もわからない状態で、打開策を見つけるために試行錯誤している点が、「五里霧中」とよく似ていますね。

(例文)
・弟の研究はまだ暗中模索の段階だ。
・その事件に関して、警察は暗中模索の状態のようだ。

接客する女性
(c)Adobe Stock

2:窮地に陥る

「窮地に陥る(きゅうちにおちいる)」とは、「追い詰められて、逃げ場のない苦しい状態や立場になること」。「陥る」には、「落ちて入る」という意味があるため、厳しい状況にスッポリとはまり、逃げ出せないことがイメージできますね。万策が尽きて、これ以上先がないような差し迫った場面で使われる言葉です。

(例文)
・四方を敵に囲まれ、主人公は窮地に陥った。
・赤字続きで経営が立ち行かなくなり、父は窮地に陥っていた。

3:目処が立たない

「実現や解決などの見通しがつかないこと」を「目処が立たない」と言います。例えば、災害で電気が止まってしまった時などに、「復旧の目処が立たない」などと表現しますよね。非常事態に見舞われて、この先どうなるか予測ができないという点が「五里霧中」と似ています。

(例文)
・なかなか取引先からデータが届かないので、仕事の目処がつかない。
・先日の大地震の影響で、ビルの完成の目処が立たない。

対義語は?

「五里霧中」に明確な対義語はありませんが、反対の意味合いを持つ言葉に「一目瞭然」が挙げられます。一緒に意味を確認していきましょう。

[形動][文][ナリ]ひと目見ただけではっきりとわかるさま。「グラフにすれば―だ」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用

物事の有り様が明確なことを「一目瞭然」と言います。ひとめ見るだけで分かるほど、はっきりしていることを指すので、霧に囲まれている状況を表す「五里霧中」とは、正反対の言葉と言えるでしょう。身の回りに邪魔なものは一切なく、誰の目で見ても明らかであることに「一目瞭然」を使ってみてください。

(例文)
・田中選手が勝ったことは一目瞭然である。
・グラフにすれば、赤字であることは一目瞭然だ。

最後に

「五里霧中」は、周りを霧に囲まれていることから転じて、物事の判断がつかなくて、どうしていいか迷うことを表します。日々生活をしていると、新しい仕事を任されたり、家族の事情で引っ越すことになってしまった! などの試練がやってくることも。

初めてのことは、何もかも手探り状態で、これでいいのか不安になることもあるはず。それでもなんとか無我夢中で取り組んでいると、いつの間にか霧が晴れてくるでしょう。「当時は五里霧中だったけれど、よく頑張った」と明るく語れる時が来るといいですね。

TOP画像/(c) Adobe Stock

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