この記事のサマリー
・「五里霧中」は、状況が見えず判断に迷う状態を表す四字熟語です。
・読み方は「ごりむちゅう」です。
・由来は『後漢書』張楷伝に伝わる、五里にわたる深い霧の故事に由来します。
皆さんは、「五里霧中」という四字熟語をご存じですか? 国語の授業などで、習った記憶がある人も多いかもしれませんね。聞き覚えはあるものの、あまり会話の中で使ったことはないのではないでしょうか? そこで本記事では、「五里霧中」の意味や語源、使い方、言い換え表現などを解説します。
「五里霧中」とは?
まずは、読み方と意味から確認していきましょう。
読み方と意味
「五里霧中」は、「ごりむちゅう」と読みます。「五里夢中」と書くのは誤りですので、変換時には注意しましょう。
意味は、物事の事情や方向がわからず、どう判断すればいいか迷っている状態のこと。深い霧の中で方角を見失うように、手掛かりが少なく、先の見通しが立たない場面で使われます。
辞書では次のように説明されていますよ。
ごりむ‐ちゅう【五里霧中】
《後漢の張楷が道術によって5里にわたる霧を起こしたという「後漢書」張楷伝の故事から》方向を失うこと。物事の判断がつかなくて、どうしていいか迷うこと。
[補説]「五里夢中」と書くのは誤り。
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)

語源
「五里霧中」は、中国の歴史書『後漢書』張楷(ちょうかい)伝に記される故事に由来するとされています。張楷は、道術によって五里にわたる霧を起こした人物として伝えられています。
この「五里霧」という深い霧の中で方角がわからなくなる様子から、物事の事情や進むべき方向が見えず、どうすればいいか迷う状態を「五里霧中」と表すようになりました。
参考:『デジタル大辞泉』、『故事俗信ことわざ大辞典』(ともに小学館)
使い方を例文でチェック!
ここでは、「五里霧中」を使った例文をもとに、使い方を確認しましょう。
ビッグプロジェクトを任されて、五里霧中でメンバーと励まし合って働いた。
この例文では、「前例がない」「マニュアルがない」「何から進めればいいかわからない」という点が「五里霧中」に当たります。励まし合うことよりも、状況の全体像や進め方が見えていない点に注目して使うと、意味が伝わりやすくなります。
事件は未だ、五里霧中だ。
事件や事故の全体像が見えず、原因や真相を判断できない場合にも、「五里霧中」は使われます。聞き込みや現場確認をしても有力な情報が得られず、解決の糸口が見つからない状況は、「五里霧中」と表現できます。
この場合は、単に事件が難しいというより、判断につながる手掛かりが不足している点がポイントです。
先代が急に亡くなり、夫と私が跡を継ぐことになって五里霧中の状態でした。
この例文では、店を継いだ直後に必要な知識や経験が足りず、どのように運営すればいいのか見えない状態を表しています。「五里霧中」は、苦労そのものではなく、状況が見えず判断に迷う状態を示す言葉です。

類語や言い換え表現は?
「五里霧中」に近い表現には、同じ四字熟語の「暗中模索」のほか、「手探り」「目処が立たない」などがあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
暗中模索
「暗中模索」は、手掛かりがないまま、あれこれ試みることを表します。「五里霧中」が、事情や方向が見えず迷っている状態を表すのに対し、「暗中模索」は、その中で方法や解決策を探ろうとする行動に重点があります。
どちらも先が見えない状況で使われますが、迷っている状態を強調するなら「五里霧中」、試行錯誤する様子を強調するなら「暗中模索」が合います。
(例文)
・弟の研究はまだ暗中模索の段階だ。

手探り
「手探り」は、十分な情報や確かな手掛かりがないまま、あれこれと模索することを表します。「五里霧中」が迷っている状態を表すのに対し、「手探り」は、その状態の中で行動しているニュアンスがあります。
(例文)
・新しい業務は、最初の数週間は手探りで進めるしかなかった。
目処が立たない
「実現や解決などの見通しがつかないこと」を「目処が立たない」といいます。例えば、復旧時期や仕事の完了時期が読めない場合に、「復旧の目処が立たない」「完成の目処が立たない」などと使います。
「五里霧中」は、事情や方向が見えず迷っている状態を表しますが、「目処が立たない」は、予定や解決の見通しがつかないことに重点があります。
(例文)
・先日の地震の影響で、ビルの完成の目処が立たない。
参考:『デジタル大辞泉』(小学館)
対義語は?
「五里霧中」に明確な対義語はありません。ただし、反対に近い意味合いを持つ表現として、「一目瞭然」が挙げられます。
「一目瞭然」は、ひと目見ただけではっきりわかることを表します。事情や方向が見えず迷っている「五里霧中」と比べると、物事の状態が明らかで、判断しやすい点が対照的です。
(例文)
・田中選手が勝ったことは一目瞭然である。
参考:『デジタル大辞泉』(小学館)
「五里霧中」に関するFAQ
ここでは、「五里霧中」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q. 「五里霧中」とはどんな意味ですか?
A. 物事の事情や方向が見えず、どう判断すればいいか迷っている状態を表します。
Q. 「五里霧中」の読み方は何ですか?
A. 「ごりむちゅう」と読みます。
Q. 「五里霧中」の由来は何ですか?
A. 中国の歴史書『後漢書』張楷伝に伝わる故事が由来です。張楷が道術で五里にわたる霧を起こしたという話から、深い霧で方角がわからない様子が、判断に迷う状態のたとえになりました。
最後に
先が見えないときは、焦りや不安が先に立つこともあります。「五里霧中」は、そんな状態を言い表せる言葉です。言葉にしてみると、落ち着くこともあります。
霧が少しずつ晴れるように、言葉も心の整理をそっと助けてくれるのではないでしょうか。
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