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「気兼ねなく」の意味や読み方とは?
「気兼ねなくお申し付けください」と言われたことがありますか? 「遠慮せずになんでも言ってくださいね」という気遣いの言葉ですね。本記事では、「気兼ねなく」の意味や使い方の例文、類語・対義語・英語表現もまとめてご紹介します。
まずは、「気兼ねなく」の意味や読み方を確認していきましょう。
◆「気兼ねなく」の意味や読み方
「気兼ねなく」は、「きがねなく」と読みます。「気兼ね」は、「他人の思わくなどに気を遣うこと、遠慮」という意味。「気兼ねなく」は、遠慮する気持ち「気兼ね」に、助動詞「ない」をつけて否定の意味を加えていますね。ですから、「遠慮なく」や「気軽に」という意味の他人を気遣った表現になります。相手に遠慮することなく話してほしい、振舞ってほしいという時に使われます。
き‐がね【気兼ね】
[名](スル)他人の思わくなどに気をつかうこと。遠慮。「隣り近所に—する」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
◆「気兼ねなく」の敬語表現
「気兼ねなく」は、目上の方に使える表現なのでしょうか? 「気兼ねなく」に敬意を表す接頭語の「お」をつけることで「お気兼ねなく」とすることで敬語になります。また、「お気兼ねなく」に「~ください」を続けると目上の人にも使える、より丁寧な表現になります。口語だけでなく、手紙やメールでの書き言葉としても、読み手を配慮しながら敬意を表すことのできる便利な表現です。
◆「気兼ねなく」よりくだけた表現
「気兼ねなく」をカジュアルな表現で伝えたい場合、「気軽に」を用いることができます。「気軽に」は、「気兼ねなく」の類語であり、「気を楽にして、物事を深く考えすぎずに」という意味。「気兼ねなく」よりもやわらかい表現になります。また、「気軽に」では砕けすぎていると感じられるならば、「お気軽に」尊敬の意味を表す接頭語「お」をつけることで敬語表現にもなります。
【例文】:「いつでもお気軽にお申し付けください」
「気兼ねなく」の使い方の例文
実際の例文を用いて、「気兼ねなく」の使い方をみていきましょう。
「気兼ねなく話せる」
「気兼ねなく」+動詞「〜する」という形で用います。「遠慮なく〜する」「気軽に〜する」という意味です。
「彼とは気兼ねない間柄です」
「気兼ねなく」に名詞をプラスする場合は、「気兼ねなく」を「気兼ねない」に変化させます。「気兼ねない」+名詞という形で用い、主に人との関係性を表現する言葉です。
「ご要望などがございましたら、お気兼ねなくお申し付け下さい」
「気兼ねなく」の敬語表現は、「お気兼ねなく〜して下さい」です。「お〜して下さい」という形は、相手に何かを要望・懇願する意味。「お気遣いなさらないで下さい」といった意味でも用いることができます。
「気兼ねなく」の類語や言い換え表現にはどのようなものがある?
敬語は何度も使ってしまうと、しつこい印象をあたえかねません。そんな時は、類語に言い換えることで文章を整えることができます。「気兼ねなく」の類語や言い換え表現について、確認していきましょう。
「遠慮なく」
「遠慮」は、相手に対して言動や行動を控えめにすることの意味。ですので、「遠慮なく」は、“相手に自由にしてくれて構わない”という表現です。また相手だけでなく、自分が自由にさせてもらうという状況でも使われる言葉ですよ。「遠慮なく」に接頭語の「ご」をつけた「ご遠慮なく」で、相手に敬意を表した使い方もできます。
「心置きなく」
「心置きなく」は「遠慮気がねなく、心残りなく、安心して」という意味。他の、「気兼ねなく」の類語とは違って、「安心して」という意味を持つ言葉ですので、相手を落ち着かせるといった作用があります。
「気にせず」
「気にせず」は、「配慮をしないで」「気にかけないで」「気を遣わずに」という意味。相手の配慮を優しく断ったり、気にかけなくて良いということを丁寧に伝える言葉になります。「お気になさらず」「お気になさらないでください」とすれば、敬語として用いることができます。
また、相手から謝罪されたときの返答としても使える表現です。相手の反省する気持ちに対して、大丈夫ですよという気持ちで「お気になさらないでください」と伝えることができますね。
「気兼ねなく」の対義語にはどのようなものがある?
「気兼ねなく」の対義語も合わせて確認していきましょう。
「気を遣う」
「気を遣う」は、「心配する、あれこれ心遣いをする」という意味。つまり「気にかける」ということなので、「気兼ねなく」とは、反対の表現ですね。
「気を許せない」
「気を許す」は、「相手を信用して警戒心や緊張をゆるめる」という意味。相手に対して緊張をゆるめることができないことを「気を許せない」といい、相手に「遠慮なく」接する意味の「気兼ねなく」の対義語となります。
「肩が凝る」
体の症状として、肩の筋肉が堅くなったり、肩が張ることでだけでなく、「重圧を感じて気詰まりである」という意味があります。重圧を感じて気詰まりする状況では、「気兼ねなく」はできないですよね。
「気兼ねなく」の英語表現も知ろう
英語で「気兼ねなく~してください」は、「not hesitate to do」というフレーズがよく使われます。「hesitate」は「躊躇する、遠慮する」という意味。それを「not」で打ち消していますので、「気兼ねなく~する」という意味になります。
【例文1】:“Please do not hesitate to contact with me.”
(気兼ねなく、ご連絡ください)
【例文2】:“He is a person with whom I don’t hesitate to talk.”
(彼は気兼ねなく話せる人だ)
最後に
気にしないでほしいという気持ちを「気兼ねなく~してください」という表現で伝えられることがわかりましたね。相手との関係性を深めるためにも、気にしないでほしいと伝えなければいけないシチュエーションがたくさんあります。「気兼ねなく」表現していきましょう。
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