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「頑固一徹」という言葉からは、時代を越えて人の芯の強さを表すような響きがあります。ラーメン屋さんの名前として、見かけることも多いかもしれませんね。
この記事では、「頑固一徹」の意味や背景をたどりながら、私たちの日常にもつながる使い方をわかりやすく紹介していきます。
「頑固一徹」の意味とは?
「頑固一徹」は、「がんこいってつ」と読みます。辞書では次のように説明されていますよ。
がんこ‐いってつ〔グワンコ‐〕【頑固一徹】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
[名・形動]自分の考えや態度を絶対に変えようとしないで最後まで押し通すこと。また、そのさま。「―な生き方」
「頑固一徹」とは、ひとつの考えや信念を曲げない姿勢を表す言葉です。何事にも一貫した姿勢を保ち続ける人に対して使われることが多いでしょう。
この言葉には、融通が利かないという側面と、自分の道を貫く潔さの両面が含まれているといえます。

「頑固一徹」の由来は、稲葉一鉄?
「頑固一徹」という言葉の由来として、しばしば挙げられるのが戦国時代の武将・稲葉一鉄(いなば・いってつ)です。一鉄は美濃の有力武士であり、土岐(とき)家、斎藤家、織田家、豊臣家と主を変えつつも忠義を尽くしました。氏家常陸守・安藤伊賀守とともに「美濃三人衆」と称され、なかでも一鉄はその筆頭とされていた人物です。
その言動から、筋を通し、信義に厚い頑固な性格の持ち主だったと伝えられています。この姿勢が「頑固一徹」という表現の由来とされることもありますが、出典は明治2年(1869)に成立した『名将言行録(めいしょうげんこうろく)』にすぎず、歴史的な確証はありません。
ただし、戦国の動乱期を生き抜き、稲葉家が江戸時代を通じて譜代大名として存続したことを思えば、一鉄の信念と頑なさは、少なからず評価されていたことが伝わってくるでしょう。
「頑固一徹」という言葉は、確かな由来が明示されていないものの、「頑固」という気質をさらに強調する表現として定着しています。
参考:『使い方の分かる 類語例解辞典』(小学館)
「頑固一徹」の使い方は?
ここでは、「頑固一徹」の使い方を具体的な例文とともに見ていきましょう。
「彼は職人気質で、頑固一徹な姿勢を崩さない」
自分の仕事のやり方に強い信念を持ち、周囲に何を言われても変えようとしない態度を表しています。「職人気質(しょくにんかたぎ)」と組み合わせることで、ネガティブではなく尊敬の念を込めた表現になります。

「父は昔気質で、子どもの意見にも耳を貸さない頑固一徹ぶりだ」
家族内の価値観の違いを表す例です。「昔気質(むかしかたぎ)」とあわせて使うと、保守的で変化を好まない人物像をより具体的に描写できます。
「頑固一徹、石頭とは彼のためにあるような言葉だ」
「頑固一徹、石頭」という表現は、やや砕けた言い方ですが、感情的な場面で使われることもあります。誰かがまったく意見を変えようとしないときに、驚きやあきれを込めてこう言うことがあるようです。冗談めかして言うことで、対立を和らげるような働きもあるかもしれません。
「頑固一徹な人」に出会ったとき、どう向き合う?
頑固一徹な性格の人と接すると、思うように話が進まなかったり、意見がぶつかったりすることもあるかもしれません。ただ、その堅さの奥に、まじめさや信念、強い責任感が見える場面もあります。ここでは、どう向き合ったらいいかを考えてみましょう。
まずは背景を理解することから
意見を曲げない人のなかには、過去の経験や強い信条に基づいて考えを貫いている人もいます。言い分だけに注目するのではなく、そうした背景や価値観に目を向けてみると、相手への印象が変わってくることもあるでしょう。
変えようとするより、受け止める姿勢で
相手を変えようとすることに力を注ぐよりも、まずはその人の立場や思いに耳を傾けることが、関係性を築くうえでの一歩となるかもしれません。共通点や尊重できる点が見えてくることで、やわらかな対話が生まれる可能性もあります。

「頑固一徹」の類語・言い換え表現は?
「頑固一徹」という言葉には、ひとつの考えを揺るがず貫く姿勢が込められています。ここでは、その意味に近い他の表現を3つ紹介します。
一徹一図(いってついちず)
ひとたび思い込んだことを、どこまでも突き通そうとする様子を表します。
意固地(いこじ)
意地を張って、なかなか折れない様子を表す言葉です。感情や自尊心が強く働いている場面に使われることが多く、やや否定的な響きを含むでしょう。
頑な(かたくな)
自分の考えを変えず、人の意見にも耳を貸さない状態を指します。ときには慎重さや信念のあらわれでもありますが、対話を難しくする印象を持たれることもあるようです。
最後に
「頑固一徹」は、ときに不器用に映るかもしれませんが、そこには一途さや信念が見え隠れしています。意味や背景を知ることで、「頑固一徹」の持つ奥行きを感じていただけたらうれしく思います。
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