「ずつ」と「づつ」の意味や違いとは
「ずつ」と「づつ」は、読み方も意味も同じ言葉です。ただし、現在は「ずつ」の表記が主流とされています。
「づつ」は、歴史的仮名遣いに由来する旧表記だからです。そのため、公的文書やビジネスシーンでは、基本的に「ずつ」が用いられています。
まずは言葉の具体的な意味や違い、使用されるまでの背景などについて見ていきましょう。
「ずつ」は数量や割合を表す言葉
「ずつ」は、数量や割合を均等に分配する際に使われる言葉です。「同じ分量を繰り返す」という意味があります。
「づつ」の意味も同じですが、文化庁の「現代仮名遣い 本文 第2(表記の慣習による特例)」では、「づつ」ではなく「ずつ」の使用が原則とされています。公営放送であるNHKや新聞などでも「ずつ」を使うのが一般的です。
具体的には「1人ずつ配る」、「少しずつ進める」のように使用できます。「づつ」も完全な誤りとはいえませんが、公的文書やビジネスシーンなどでは「ずつ」を使用するのが賢明といえるかもしれません。
「づつ」は歴史的な仮名遣い
「づつ」は、かつての歴史的仮名遣いにあたります。歴史的仮名遣いとは、平安中期以前の文献を手本とした仮名遣いのことです。明治期以降に「現代仮名遣い」が公布されるまで、一般的に用いられていました。
歴史的仮名遣いには「づつ」のほか、以下のようなものが挙げられます。
・思ひ出(おもいで)
・言ふ(いう)
・をとこ(おとこ)
・はづかし(はずかし)
・あはれ(あわれ)
いずれも現代では基本的に使用されない古い書き方ですが、小説やエッセイなどでは、あえて古風な表現や柔らかい印象を出すために使われることも。
ビジネス文書や公的な場面には適さないものの、あくまで「現代の標準から外れた表記」であり、完全な誤りとはいえない点を押さえておきましょう。
ずつ[副助]
出典:小学館 デジタル大辞泉
[副助]数量・割合を表す名詞・副詞、および一部の助詞に付く。
1 ある数量を等分に割り当てる意を表す。「一人に二本ずつ与える」「五〇人ずつのクラス編成」
2 一定量に限って繰り返す意を表す。「一ページずつめくる」「少しずつ進む」
[補説]「一つ」「二つ」の「つ」を重ねたものか。中古から用いられる。
「ずつ」と「づつ」の使い分け方と例文
「ずつ」と「づつ」の使い分けのポイントは、使用する場面です。基本的には「現代では『ずつ』を使う」と覚えておきましょう。
そのうえで、ビジネスとプライベート、それぞれに応じた使い分け方を知ることで、言葉への理解がより深まります。

ビジネスに適した「ずつ」
正確性と統一性が求められるビジネスシーンでは、「ずつ」の使用が基本です。特にメールや報告書、資料などでは表記の揺れが信頼性に影響することも考えられます。
具体的には以下のように「ずつ」を使いつつ、数量や進行状況などを明確に伝えましょう。
・当日の資料は、一部ずつ配布してください
・作業は工程ごとに順番に進め、少しずつ完了させます
・ミスを防ぐためにも、1つずつ、確実にタスクを終わらせることが重要だ
プライベートで使える「づつ」
歴史的仮名遣いである「づつ」は、プライベートな場面やカジュアルな文章などで見かけることがあります。
昔ながらの雰囲気を出すため、あえて使用するケースもあるものの、使う場面は限定的とも。
誤用と受け取られる可能性を考えると、基本的には「ずつ」を使い、「づつ」は表現上のニュアンスとして使う方が無難といえるかもしれません。
・お菓子をちょっとづつ、分けて食べよう
・少しづつ、変化する窓の景色に季節の移ろいを感じる
「ずつ」や「づつ」の類語や言い換え表現
「ずつ」や「づつ」には、以下のような類語や 言い換え表現があります。
・各々(おのおの)
・個々
・それぞれ
類語を使うと文章のバリエーションが広がり、表現の幅も豊かになります。大切なのは、ニュアンスの違いを理解しながら、適切に使い分けることです。
ここでは使用例とともに、「ずつ」との違いなども確認していきましょう。

「各々(おのおの)」
「各々」は、それぞれが独立していることや、個別に対応することを強調する言葉です。
「ずつ」が数量を均等に分けるニュアンスを含むのに対し、「1人ひとり」や「それぞれの立場で」といった意味合いが強まるといえます。
やや表現が硬くなるため、ビジネス文書やフォーマルな場面に適した語句といえるでしょう。
・参加者は、各々の役割を確認してください
・各々が責任を持って業務を遂行する必要があります
・他者からの指示を待つのではなく、各々の判断で行動することが求められている
「個々」
集団の中の1つひとつに焦点を当てたいときは「個々」を使用します。
「個々」は、分配の意味を持つ「ずつ」に比べ、個別性を表すニュアンスが強い点が特徴です。おもに分析や評価、説明などの場面で活用できます。
・顧客ニーズは個々に異なるため、それぞれに応じた施策を検討する必要がある
・個々の案件について、詳細に確認してください
・個々の能力を最大限に活かす人員配置が重要です
「それぞれ」
「それぞれ」は日常的に使いやすい言葉です。「ずつ」に近いニュアンスで、より柔らかな印象が与えられます。
数量の均等分配だけでなく、個別対応や違いなどを示す際にも使える表現です。日常会話からビジネスまで、幅広いシーンで活用できます。
・担当者それぞれに業務を割り振った
・研修を終え、参加者それぞれが意見を発表した
・今回企画した商品は、それぞれ異なる特徴を持っています
「ずつ」と「づつ」の違いを知り適切に使おう
「ずつ」と「づつ」は意味自体は同じですが、現代日本語における正しい表記は「ずつ」とされています。
「づつ」は、歴史的な仮名遣いに由来する旧表記です。そのため、現在のビジネスシーンや公的文書では、使用しない方が無難といえます。
社会人として文章を書く場面では、正しい表記を使うことが信頼性に直結します。表現の1つとして「づつ」をあえて使用することも理解しつつ、基本は「ずつ」と覚え、場面に応じた使い方を意識しましょう。
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