目次Contents
この記事のサマリー
・「端数」とは、切りのいい数にそろえたときに余る部分を指す言葉です。
・「端数処理」とは、端数を切り捨て、切り上げ、四捨五入などの方法で処理することです。
・給与計算では、労働時間の端数を勝手に切り捨てることはできません。
「端数」と聞くと、なんとなく半端な数字を思い浮かべる人も多いかもしれません。けれど、いざ請求書や給与計算の場面になると、その理解のあいまいさが気になってきますよね。
何を指す言葉で、どう扱うと自然なのか? この記事では、身近でありながら説明しにくい「端数」を、あらためて整理してみましょう。
「端数」とは?
まずは意味から確認しましょう。
意味
「端数」は「はすう」と読み、ある位に着目したときの、その位より下の数や、切りのいい位で区切ったときに余る数を指します。例えば、503を百の位までの数で区切る場合、500に対する「3」が端数です。
「端数を切り上げる」「端数を切り捨てる」という言い方は、この余った分をどう扱うかを表しています。
辞書では次のように説明されていますよ。
は‐すう【端数】
ある位に着目したとき、その下の位の数。切りのよい位で切った場合の、
余った分。「―を切り上げる」
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
「端数処理」とは?
「端数処理」とは、計算の結果などに生じた端数を、切り捨て、切り上げ、四捨五入などの方法で処理することです。請求書の作成、消費税額の計算、給与計算などで使われる考え方ですが、経理だけに限られた言葉ではありません。
請求書の場面では、消費税の計算によって1円未満の端数が生じることがあります。そのときに、どの方法で丸めるかを決めて処理するのが端数処理です。つまり、「端数」は余った分そのもの、「端数処理」はその余った分をどう扱うかという違いがあります。

請求書に記載する消費税額等の端数処理は、一定のルールに沿って行う
税抜き価格によっては、消費税を計算して税込み価格にした際に、1円未満の「端数」が出てしまうことがあります。
消費税額等に生じた1円未満の端数については、切り捨て、切り上げ、四捨五入など、事業者が採用する処理方法を決めることができます。ただし、適格請求書を発行する場合、消費税額等の端数処理は、一つの適格請求書につき税率ごとに一回行うのが原則です。処理方法を社内で統一し、継続して適用するといいでしょう。
消費税を納税する場合にはルールがある
一方、消費税の課税事業者は、原則として、申告によって算出した消費税および地方消費税を納付します。消費税に関する端数処理は、請求するときだけでなく、国に納付する消費税額を計算する際にも行います。
その計算方法は「課税売上に係る消費税額から、課税仕入れ等に係る消費税額を差し引いて納付税額を求める」と定められています。少しややこしいですが、これは各事業者が消費税を二重に納めることがないようにするための配慮です。
申告・納付の際は、国税である消費税に加えて、地方消費税も計算します。
消費税の「端数計算」の仕方とは?
消費税の端数計算は、請求書を作る場面と、国に納める税額を計算する場面で整理すると分かりやすくなります。納付税額の計算では、課税標準額や消費税額、課税仕入れに係る消費税額などを順に算出し、それぞれに端数処理のルールが設けられています。
一般的な申告計算では、課税標準額について1,000円未満を切り捨て、課税標準額に対する消費税額や控除対象仕入税額について1円未満を切り捨てます。申告書で最終的に算出した納付税額についても、所定の段階で100円未満を切り捨てます。
ただし、具体的な計算方法や端数処理の段階は、原則課税、簡易課税などの申告方法によって異なるため、国税庁の最新の申告書作成要領を確認してください。
給与計算の「端数処理」
「端数処理」は、給与計算の場面でも問題になります。ここで大切なのは、労働時間そのものを会社の都合で切り捨てていいわけではない、という点です。
厚生労働省は、1日ごとに一定時間に満たない労働時間を一律に切り捨て、その分の賃金を支払わないことは労働基準法違反になると示しています。残業申請を30分単位に限定し、実際に行われた30分未満の時間外労働を記録・申請させず、その分の割増賃金を支払わない扱いも認められません。
勤務時間に端数があるときは、まず実際の労働時間を適正に把握し、その時間に基づいて賃金を計算するのが原則です。
一方、実際の労働時間よりも労働者に有利になるよう時間を切り上げ、その切り上げ後の時間に応じた賃金を支払う扱いは、労働者の不利益にはなりません。

給与計算で例外的に認められる端数処理
給与計算で例外的に認められる端数処理はありますが、それは「制裁としての減給」とは別の話です。
厚生労働省の通達では、1か月における時間外労働、休日労働および深夜業の各時間数の合計に1時間未満の端数がある場合、30分未満を切り捨て、30分以上を1時間に切り上げる処理は、事務を簡便にするための方法として認められています。
ここで重要なのは、「1日ごとの一律切り捨て」と「1か月の合計に対する限定的な端数処理」は別だという点です。

割増賃金を計算する際の時間数については、1か月における時間外労働、休日労働および深夜業の各時間数をそれぞれ合計し、その合計に1時間未満の端数がある場合、30分未満を切り捨て、30分以上を1時間に切り上げる処理が認められています。
例えば、1か月分として集計した時間外労働の合計が30時間25分であれば30時間、30時間37分であれば31時間として、割増賃金を計算できます。ただし、これは1か月の時間外労働、休日労働、深夜業の各時間数の合計に対する例外であって、日ごとの労働時間を自由に切り捨てていいという意味ではありません。
また、1時間当たりの賃金額や割増賃金額に1円未満の端数が生じた場合には、50銭未満を切り捨て、50銭以上を1円に切り上げる処理が認められています。1か月における時間外労働、休日労働および深夜業の割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合も、同様に処理できます。
ここでも大切なのは、実労働時間の把握を粗くしていいわけではなく、あくまで集計や金額計算の最終段階で限定的に認められる端数処理だということです。
「端数」に関するFAQ
ここでは、「端数」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q. 「端数」とはどういう意味ですか?
A. 切りのいい数で区切ったときに余る数を指します。たとえば、805を百の位までの数で区切る場合、800に対する「5」が端数です。
Q. 「端数処理」とは何ですか?
A. 計算などで生じた端数を、切り捨て、切り上げ、四捨五入などの方法で処理することです。請求書の作成や給与計算などで用いられます。
Q. 給与計算では端数を切り捨ててもいいですか?
A. 実際に働いた時間を日ごとに一律に切り捨て、その分の賃金を支払わないことは認められません。ただし、1か月分の時間外労働などを集計した後の時間数や、割増賃金額に生じた端数については、一定の範囲で端数処理が認められています。
最後に
「端数」の意味と実務上のルールを分けて眺めると、見え方もぐっとすっきりします。この記事が、その小さな引っかかりをほどくきっかけになれば嬉しいです。
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武田さゆり
国家資格キャリアコンサルタント。中学高校国語科教諭、学校図書館司書教諭。現役教員の傍ら、子どもたちが自分らしく生きるためのキャリア教育推進活動を行う。趣味はテニスと読書。
ライター所属:京都メディアライン



