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2022.07.11

「端数」の範囲はどこまで?「端数処理」の仕方やインボイス制度も紹介!

「端数」というと、「半端な数字のことでしょう」「四捨五入しておけばいいんじゃないの」などというように思っている人が多いでしょう。しかし、納税や給与計算などシーンによってはその処理がきちんと定められています。残業手当等、実は身近な問題でもあるので、概要を押さえておくといいですよ。

「端数」とは?

「端数」は「はすう」と読み、ある位以下の数のことを言います。「端数」を切り上げる、「端数」を切り捨てるなどという言い方をします。

「端数処理」とは?

「端数」という言葉は普段の生活でもよく聞く言葉ですが、「端数処理」といえば経理にまつわるシーンで使われる言葉です。

具体的には消費税。取引先にむけて請求書を作成するときに、消費税などによって1円未満の「端数」が出てしまった場合に、切り上げたり、切り下げたりして丸めて処理をすることを「端数処理」と言います。

(c)Shutterstock.com

請求書の「端数」は事業主の自由

税抜き価格が10円単位になっている請求の場合には、税込み価格にすると「端数」が出てしまうことがあります。この場合、1円未満の「端数」を切り上げるのか、あるいは切り捨てるのか、四捨五入するのかなどは、請求する事業者の判断でいいということになっています。あらかじめ、各事業者でルールを定めておくといいですね。

消費税を納税する場合にはルールがある

一方で、事業者は消費税を国に納めなければなりません。消費税に関する端数処理は、請求するときだけでなく、国に納付する消費税額を計算する際にも行います。

その計算方法には定めがあり、「税売上に係る消費税額から課税仕入れ等に係る消費税額を差し引いて納めるべき消費税額を求めること」になっています。ちょっとややこしいのですが、これは各事業者が消費税を重複して納めることがないようにという配慮からです。

また、消費税額を算出する際には地方消費税も、同時に計算しなければなりません。

「端数計算」の仕方とは?

(c)Shutterstock.com

先ほど述べたとおり、「端数計算」はちょっと複雑です。計算式は、

◎ 納めるべき消費税額 = 税売上に係る消費税額 ― 課税仕入れ等に係る消費税額

となります。それぞれの算出の仕方は次のとおりです。

税売上に係る消費税額
= 課税期間中の課税売上高に、7.8%(軽減税率の適用対象は6.24%)を掛ける

課税仕入れ等に係る消費税額
= 課税期間中の課税仕入高に、110分の7.8(軽減税率の適用対象は108分の6.24)を掛ける

それぞれの計算にあたって、「端数処理」の仕方も決まっていて、

・課税売上と課税仕入れ等に係る消費税額:計算結果から1円未満切り捨て
・納めるべき消費税額:計算結果から100円未満切り捨て

となります。すべての計算で、前の計算で行われた「端数処理」が引き継がれることになっているので注意が必要です。

給与計算の「端数処理」

(c)Shutterstock.com

消費税額の「端数処理」について説明しましたが、「端数処理」は給与計算のシーンでも行われます。

たとえば、時給で働いているとして、「5時間27分」というように勤務時間に「端数」がある場合、適当な単位を設定して切り捨てて計算された、というのは妥当なのでしょうか。

給与について「賃金支払いの5原則」と呼ばれるものが、労働基準法24条に定められています。具体的には

1)通貨で
2)直接労働者に
3)その全額を
4)毎月一回以上
5)一定期日を定めて

支払うことになっています。勝手に労働時間を切り捨てるという処理は、3の「全額を」という原則が守られていません。ゆえに、労働基準法違反ということになります。

労働時間に「端数」がある場合には、分単位で労働時間を集計して、労働時間全体に対して賃金を支払わねばなりません。一方で、「27分」を「30分」というように切り上げて賃金計算を行うことは、労働者にとって不利益が生じないので法律に違反することにはなりません。

給与計算における「端数処理」で違法として扱われないもの

給与計算において、認められている「端数処理」には以下のものがあります。

・割増賃金計算の「端数処理」
・1ヶ月の賃金支払における「端数処理」

これらは就業規則の定めに従って、懲戒処分等の制裁の範囲内で、減給を行うことが労働基準法第91条で認められています。

(c)Shutterstock.com

まず、割増賃金については、1カ月を合算した際に「端数処理」をすることが認められています。たとえば、1ヶ月の時間外労働時間の合計が「30時間25分」だった場合、30分未満を切り捨てて「30時間」としてもいいということです。一方で、「30時間37分」というように30分を超えた場合には「31時間」とします。すべてが切り捨てられるわけではありません。

また、割増賃金の計算には、次のような「端数処理」が認められています。

・1時間あたりの賃金額及び割増賃金額に1円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、50銭以上1円未満の端数を1円に切り上げる。

・1ヶ月間における割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合、上記と同様に処理する。

つまり、時間外労働の計算の際は、月々の基本給から1時間あたりの賃金を算出し1.25を乗じて算出します。このときに計算する「1時間あたりの賃金額」「1時間あたりの割増賃金額」の両方に、「1,725.50円」のように「端数」が出た場合は、50銭未満切り捨て・以上を切り上げのルールに従い、「1,726円」としていいということになります。

給与計算には他にも「端数」に関するさまざまな決まりごとがありますので、経理に携わる人は、ひとつひとつ確認して進めるようにしましょう。

インボイス制度の導入で消費税の「端数処理」は変わる?

2023年10月1日にはインボイス制度が始まります。この制度の導入のために企業ではさまざまな準備が行われていると思いますが、「端数処理」についての知識のアップデートも必要です。

先ほども述べたようにこれまでは、請求する際の消費税の「端数処理」は、「切り捨て」「切り上げ」「四捨五入」のいずれかを各事業者が選べばいいということになっていました。しかし、制度の導入で「1請求書あたり」、そして「税率ごとに1回ずつ」の「端数処理」を行うことになります。

これまでのように「購入した商品ごと」に消費税の「端数処理」を行うことはできず、「ひとつの請求書の中で1回」が原則となります。エクセルやその他のシステムを利用して「端数処理」を行なっている場合には、インボイス制度に合わせた仕様変更が急がれますね。

最後に

いかがですか? 細かな計算なので、少しややこしかったかもしれません。経理等に携わる人以外は細かなことは覚えておかなくてもいいと思いますが、ざっくりした流れだけでも知っておくと役に立つかもしれません。

TOP画像/(c)Shutterstock.com


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