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2025.02.17

「夫婦の生活費負担割合」の考え方と収入差を考慮するポイント

夫婦間で生活費の負担割合をどうするかは、家庭ごとの考え方や価値観によって異なります。他方で「収入差」を考慮した負担割合については、多くの家庭で議論の的になりがち。喧嘩や口論のタネにもなりやすいテーマです。収入差を基準に負担割合を決める方法や、ルールを決めるときに考慮すべきポイントを解説します。

並木まき

収入差に基づく「負担割合」の考え方

家計簿
(c)Adobe Stock

夫婦間で収入差があるときには、生活費の負担割合について基準を設けると話し合いがスムーズです。
まずは、現代の夫婦間において採用されることが多い「基準」の考え方を解説します。

♦︎収入の割合をベースにする

夫婦のそれぞれの収入に応じて生活費を分担する方法です。
例えば、夫の月収が30万円で妻の月収が20万円だと世帯収入は50万円。
次にそれぞれの収入の割合を算出すると、夫は60%(30万 ÷ 50万)、妻が40%(20万 ÷ 50万)を負担することになります。
これをベースに生活費に当てはめてみると、生活費が20万円ならば夫の負担額は12万円(60%)、妻の負担額は8万円(40%)となります。

♦︎必要最低限の額を折半して他は別財布にする

収入の差に関係なく、生活費にかかる最低限の出費を完全に「折半」にする方法です。
夫婦間の収入差が大きい場合には、収入が少ない側の水準に合わせて生活にかかる費用を予算化していきます。
例えば、毎月の家賃が15万円で光熱費に3万円がかかる場合には、合計額の18万円を折半して、夫婦がそれぞれ9万円ずつ負担します。
それ以外の出費については夫婦間によってルールはまちまちですが、夫婦別財布にしてそれぞれが貯蓄や出費をするケースも珍しくありません。

♦︎基本は折半で余剰を収入差で調整する

家賃や光熱費などの「基本的な生活費」は折半にして、外食や趣味、貯金などの費用は収入に応じて割合を決めて分担する方法です。
金額で負担割合を定める場合もあれば「レジャー費は夫、デリバリー代は妻」などと費目で分担する例もあります。
最低限の費用は平等に負担しつつも、収入差も考慮する方法です。

生活費の負担割合を決める際に大切なポイント

料理をする男女
(c)Adobe Stock

生活費の負担割合を決める際には、お互いに不公平感や不満が出過ぎないよう、考慮すべきポイントもあります。口論を避けるためにも、気をつけておきたい点を解説します。

♦︎家計に関連する共通の目標を話し合う

「今の収入からどういう生活を送って、何を目指すのか」を夫婦で明確にしておくと、お金にまつわる不満やトラブルを避けやすくなります。
家計の負担割合を話し合う前に、まずは夫婦として家の購入や子どもの有無、旅行の頻度といったテーマについて理想や目標を共有してみましょう。
出費への優先順位をつけやすくなるだけでなく節約をすべきポイントも見えてくるので、メリハリのある家計運営につながります。
そのうえで夫婦間での負担割合を決めると、同じ目標に向かって計画的に準備をする意識も芽生えやすくなるでしょう。

♦︎それぞれの負担感をきちんと確認する

夫婦間での負担割合を定める際には、毎月の可処分所得(生活費を支出した後の手元に残るお金)が極端に違わないように調整する心がけも必要です。
収入差が大きいカップルほど、可処分所得の差が大きくなって不満のタネにもなりやすいことから、単純に「収入差」だけで判断をせずに、負担感にも配慮をして決めましょう。

♦︎役割分担も考慮する

片方が専業主婦(夫)やパート・アルバイト労働などで収入が少なく家事負担が偏っている場合には、金銭的な負担を調整してバランスをとりましょう。
夫婦の負担割合は「お金」にまつわるテーマですが、現実には家事や育児をどちらが多く担当しているかによっても、お金への不公平感を招きます。収入だけでなく労力の提供も視野に入れて生活費の負担割合を調整する考え方は、夫婦間でより公平感のある取り決めをしやすくなるでしょう。

♦︎収入が変動したらすぐに見直す

収入に応じて毎月の負担額を計算し直す仕組みを採用するなどして、当初の予定と収入が変わるたびに適切な負担割合を定め直しましょう。
収入がボーナスで変動する職種や、収入が不安定な職種に転職した場合には、固定額ではなく収入に応じた柔軟な仕組みを作るのもいいでしょう。

負担割合のパターン別メリット・デメリット

支払いをする男性
(c)Adobe Stock

夫婦間での生活費についてよくある負担割合を大きく3つのパターンに分け、それぞれのパターン別にメリットとデメリットをまとめました。

♦︎完全折半型

生活費を半分ずつ負担して、収入差は考慮しないorほとんど考慮しないパターン。
平等感が強く折半している以外のお金は自由度が高い点がメリットで、夫婦間のパワーバランスも平等に保たれやすくなります。
デメリットとしては、収入差が大きい夫婦ほど低収入側に負担感が強まる点です。

♦︎収入に応じた割合型

収入差を考慮して、収入に応じた負担割合を決めるパターン。
明確な「基準」があるために不公平感が少なくなり、納得した上で出費しやすいのがメリットです。
ただし収入が多い側が生活費を多く負担するので、高収入側が不公平に感じやすい点がデメリットでもあります。

♦︎メインの稼ぎ手が担う型

収入の高いほうが、家計における生活費の大半を負担するパターン。
従来の専業主婦型にも近く、一方の収入だけで家計を賄うことから見通しを立てやすいのがメリットです。
ただし負担が一方に偏るのは最大のデメリットで、夫婦間のパワーバランスも平等にならなくなるリスクを含みます。

生活費の負担割合

生活費の負担割合を決めるときには金額そのものだけでなく、夫婦間の「お互いへの理解」や「役割分担」のバランスも重視していきたいもの。
収入差がある場合でも、相手への思いやりや夫婦共通の目標を意識すれば満足のいく家計管理ができ、不公平感や不平等感も払拭されやすくなるはずです。
負担割合を決める際にもっとも大切なのは「夫婦双方が納得していること」なので、ふたりにとって不満が少ないやり方を見つけることが大切です。

TOP画像/(c)Adobe Stock

並木まき

並木まき

ライター、時短美容家、メンタル心理カウンセラー。シドニー育ちの東京都出身。28歳から市川市議会議員を2期務め政治家を引退。数多くの人生相談に携わった経験や20代から見てきた魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様を活かし、Webメディアなどに執筆。

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