「見做す」という言葉は、ニュースやビジネス文書、法律に関わる場面で見かける機会がありますが、なかなか読みにくいですね。とはいえ、覚えておくと、役に立つ場面が出てくるでしょう。
そこで、この記事では、読み方・意味・例文・英語表現まで丁寧に紹介していきます。
「見做す」の読み方と意味
「見做す」は「みなす」と読みます。辞書で意味を確認しましょう。
み‐な・す【見×做す/▽看×做す】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
[動サ五(四)]
1 仮にそうと見る。そうでないものをそうとする。仮定する。「雪を花と―・す」
2 判断してそうと決める。「返事のない者は欠席と―・す」
3 法律で、ある事物と性質の異なる他の事物を、一定の法律関係について同一視し、同じ法律効果を生じさせる。「住所が知れない場合には、居所を住所と―・す」
4 見とどける。
「命長くて、なほ位高くなど―・し給へ」〈源・夕顔〉
5 世話をして育てあげる。
「人なみなみに―・したらむこそ嬉しからめ」〈源・総角〉
「見做す」は物事をある状態や立場として扱う、またはそう判断するという使われ方がされます。少し改まった場面で見かけることが多いかもしれません。
「看做す」と表記する場合も、同じ意味を持ちます。

「見做す」の使い方を例文で確認
意味が分かっても、どのように使えばいいか、分かりにくいことってありますよね。ここでは、「見做す」を使った具体的な例文を紹介していきます。参考にしてください。
彼の沈黙は了承と見做されました。
返答がないことを、同意と解釈した状況を表しています。
提出がない場合は辞退したと見做します。
あらかじめ決められた条件に従って、一定の行動を特定の意図と判断する用法です。通知文や公的文章でよく使われます。
この地域は災害危険区域と見做されています。
行政の判断や指定に関わる場合にも用いられる表現です。公式な情報としての位置づけを伝えるときに適しています。

「見做す」の言い換え表現は?
「見做す」という言葉には少し改まった響きがあります。場面によっては、もう少し柔らかい表現に置き換えたいこともあるかもしれません。ここでは、近い意味を持つ言い回しをいくつか紹介します。
仮定
まだ確定していないことについて、こうであると一時的に定めることを表します。「〜と仮定する」や「仮に〜とする」という言い回しで、前提や考えの出発点を示すときに使われます。
〜と判断する
物事について自分の考えを決めるときに使われる表現です。「見做す」よりも日常的で、やわらかい印象があります。ビジネスでも無理なく使える言い換え表現だといえるでしょう。
「見做す」の英語表現は?
「見做す」を英語にするときは、文脈に合った表現を選ぶことが大切です。ここでは、よく使われる英語表現を紹介します。

regard A as B
「AをBと見做す」という意味で使われる表現です。人物や物事に対する見方や立場を述べるときに自然に使われます。
例文:Many people regard him as a pioneer in digital design.
(多くの人が彼をデジタルデザインの先駆者と見做しています。)
be considered to be
こちらは、「〜と見做される」といった受け身のニュアンスを含む表現です。客観的な事実や社会的な評価を述べるときに使われることが多いでしょう。
例文:The proposal is considered to be too risky by the board.
(その提案は、取締役会によってリスクが高すぎると見做されています。)
最後に
「見做す」という言葉は、意味や使い方を理解すれば、状況に合わせて自然に使うことができるでしょう。言葉に対する感覚を深めるきっかけとして、覚えておくと役に立つ場面がありそうです。
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