この記事のサマリー
・「固定観念」とは、頭から離れず、その人の思考を縛ってしまうような考えを指す言葉です。
・「固定概念」と混同されがちですが、「固定概念」は辞書に掲載のない言葉です。
・英語表現は “a fixed idea” や、文脈に応じて “stereotype” も使い分けられます。
「固定観念」という言葉は見聞きするのに、意味を問われると急に言葉に詰まってしまう。そんな経験はありませんか?
似ている言葉との違い、使う場面、伝わりやすい言い換え表現まで気になり始めると、思った以上に奥行きのある言葉だと気づかされます。
曖昧なままにせず、言葉の理解を深めていきましょう。知れば知るほど、言葉の見え方が少し変わってくるはずです。
「固定観念」の意味
よく「固定観念にとらわれる」などと言いますね。では、「固定観念」ってどんな意味なのでしょうか? 混同しやすい「固定概念」という言葉についても解説します。
「固定観念」の意味は?
「固定観念」とは、頭から離れず、その人の考え方を縛ってしまうような見方や考えを指します。
辞書では次のように説明されていますよ。
こてい‐かんねん〔‐クワンネン〕【固定観念】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
いつも頭から離れないで、その人の思考を拘束するような考え。固着観念。
簡単にいうと、「こうに違いない!」「こうあるべきだ!」という考えが強く残り、別の見方を受け入れにくくなっている状態のことです。

「固定概念」は間違った表現
ところで、固定観念を「固定概念」と覚えてしまっている人もいるのではないでしょうか? 実は「固定概念」は正しい日本語ではなく、辞書にも載っていません。
もし概念を使うとすれば、正しくは、「既成概念」でしょう。「既成概念」とは、事物に関して、すでにでき上がり動かしがたいものとして一般的に考えられている性質のこと。世間に広く浸透している共通認識といったところでしょうか。
一見すると似ているようですが、社会的な認識のことをいう「既成概念」と、あくまで個人の思考のことを指す「固定観念」とでは、意味が異なります。
使い方を例文でチェック!
ネガティブなイメージの強い「固定観念」ですが、それを「覆す」というようにポジティブな使い方もできますよ。ここでは例文をもとに使い方を確認していきましょう。
「固定観念にとらわれない、彼女の生き方が好きです」
この文の「固定観念にとらわれない」は、「こうあるべきだという考えに縛られず、物事を柔軟に見ている」という意味です。
「固定観念にとらわれる」は、ある見方が頭から離れず、別の考え方を受け入れにくくなることを表します。そのため、この例文は、決めつけに寄らない生き方や考え方を肯定的に述べた一文だと理解できます。
「固定観念を覆すような発想を期待しています」
「近々、みなさんの固定観念を覆す商品を発表します」
「固定観念を覆す」というのは、「こうあるべきだ」「こうでなくてはならない」というような、これまで正しいとされてきた考え方や価値観をひっくり返す、ということ。斬新なアイデアや革新的な発明に対して使われます。

「あの人は固定観念が強過ぎて、何を言ってもわかってもらえない」
この例文は、自分の考え方に強く縛られ、ほかの見方を受け入れにくい状態を表しています。
「固定観念が強い」は、必ずしも相手の人格を決めつけるための表現ではなく、考え方が硬直している場面を指して使うのが自然です。
「結婚はこうあるべきという固定観念を捨てないと、婚活してもうまくいかないよ」
ビジネスでもプライベートでも、固定観念に縛られていてはうまくいかないことが多いもの。固定観念を捨てる努力、発想の転換をする努力も必要ということでしょう。
「多様性の時代なのだから、固定観念にとらわれていては置いていかれる」
この例文は、「これまでの価値観だけに強く縛られていると、変化した考え方や状況に対応しにくくなる」という意味で使われています。
類語や言い換え表現は?
「固定観念」の類語には、普段使うおなじみの言葉もいくつかあります。
先入観
「先入観」は、前もって抱いている固定的な見方や観念を指す言葉です。新しい情報に触れても見方を変えにくい、という点では「固定観念」と共通しています。
(例文)
「先入観にとらわれない人事を期待しています」
「実際に訪れてみて、この国に対する先入観は見事に覆された」
思い込み
「思い込み」は、「深く信じ込むこと」「固く心に決めること」。特に、それが間違っていることでも正しいと決めつけてしまうというようにマイナスなイメージがあるのも、「固定観念」と似ています。
(例文)
「思い込みで行動するのは、やめたほうがいい」
「彼は私のことが好きだと、思い込んでいました」

ステレオタイプ
「ステレオタイプ」は、考え方や行動が固定的・画一的であることをいいます。これもどちらかというと、あまりいい意味では使われないようです。
(例文)
「そのようなステレオタイプの考え方からは新しいアイデアは生まれないよ」
「血液型で人を判断するのはあまりにステレオタイプだよ」
固着観念(こちゃくかんねん)
「固着観念」は、「固定観念」の言い換え表現です。意味も同じで、「常に頭から離れないで、その人の思考を拘束するような考え」のこと。これも固着概念というのは間違いですので注意しましょう。使い方も「固定観念」と同じです。
(例文)
「固着観念を打破する努力も必要だよ」
参考:『デジタル大辞泉』(小学館)
英語表現は?
「固定観念」の英語表現としては、“a fixed idea” が挙げられます。
一方で、文脈によっては “stereotype” も使うことができるでしょう。こちらは、固定化した見方や紋切り型のイメージを表す場面で使われやすい語です。
参考:『プログレッシブ和英中辞典』(小学館)
「固定観念」に関するFAQ
ここでは、「固定観念」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1. 「固定観念」とはどういう意味ですか?
A. 頭から離れず、その人の思考を拘束するような考えを指します。「こうあるべきだ」という見方に強く縛られている状態を表す語です。
Q2. 「固定概念」と「固定観念」はどう違うのですか?
A. 「固定概念」は辞書に掲載のない言葉です。使うなら「固定観念」の使用をおすすめします。
Q3. 「固定観念にとらわれる」とはどんな状態ですか?
A. 一つの見方や思い込みに強く縛られ、別の考え方を受け入れにくくなっている状態です。考えが固まっているような場面で使われます。
最後に
「固定観念」は、考え方が凝り固まり発展的な思考に結びつかないというような、後ろ向きなイメージで使われることの多い言葉です。
「固定観念を覆す」「固定観念を打破する」などポジティブな使い方ができる人を目指したいですね。
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