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2024.03.10

ことわざ「年寄りの冷や水」とは? 使い方や類語・対義語を解説

「年寄り冷や水」は、「高齢にふさわしくない危ない行為や、差し出がましい振る舞い」をするのを、警告したり冷やかしたりする言葉。本記事では、「年寄りの冷や水」の意味や使い方、類語・対義語などを解説しましょう。


「年寄り冷や水」は、老人が冷水を浴びたり飲んだりするような、「高齢にふさわしくない危ない行為や、差し出がましい振る舞い」をするのを、警告したり冷やかしたりしていう言葉。周囲から高齢者へ使う場合、高齢者が自分自身に対して使う場合があります。本記事では「年寄りの冷や水」の意味や使い方、類語、対義語を解説します。

「年寄りの冷や水」の意味と由来

まずは、「年寄りの冷や水」の意味を理解しましょう。また、なぜ冷や水なのかについても解説します。

「年寄りの冷や水」って?

人生100年時代。元気な高齢者も増えていますが、無理は禁物です。

ことわざ「年寄りの冷や水」も、老人が冷水を飲んだり浴びたりするような、「高齢者にとって危ない行為や差し出がましい振る舞い」について戒めたり、冷やかしたりするときに使う言葉。

真剣な忠告もあれば、微笑ましく使われたり、高齢者が自分自身に自虐的ぎみに使うこともあります。わかりやすく言えば「年甲斐もなく」といったところでしょうか。

(c) Adobe Stock

出典は『江戸いろはかるた』

出典は『江戸いろはかるた』の「と」から。もともとの絵札には、冷水売りと、年寄りがその水を飲む様子が描かれています。このことから、冷や水は本来は浴びるのではなく、年寄りが「冷や水を飲む」ことを指していたことがわかります。

冷蔵庫もない時代、夏は水が生ぬるくなるので、江戸では砂糖などを加えた冷水売りがいました。若者はこぞってこの水を飲んだようですが、年寄りには湯冷ましなどがよいとされ、冷や水を飲むのは好ましくないとされたようです。

そこで、若者のように振る舞うことに対して「年寄りの冷や水」と言われるようになったとされています。

使い方を例文でチェック!

「年寄りの冷や水」は、周囲が高齢者に向けて言う場合と、自分自身のことを第三者に向けて言う場合があります。言う側の立場によってどのように使われるのか、例文で紹介しましょう。

1:「定年後に登山を始めるという父に、年寄りの冷や水だと必死に止めている」

年齢を考えて、それは危険であると警告し、絶対やめてほしいとお願いしている例文です。

2:「孫とかけっこをして捻挫したんだって? 年寄りの冷や水とはこのことだね」

捻挫をしたという友人に、どちらかというと冷やかし半分で言っているイメージです。「まったく年甲斐もなく」とちょっと呆れている様子も浮かびますね。

(c) Adobe Stock

3:「英語を習い始めたの。年寄りの冷や水なんだけどね」

一見すると自虐ぎみですが、新しいことを始めるというポジティブな気持ち、そして「年寄りだけどよろしく」という気持ちが込められています。微笑ましく、応援したくなりますね。

4:「年寄りの冷や水と言われる前に車の免許を返上することにしたよ」

高齢になると運転の技量や判断力が衰えるもの。何事も周囲から心配され、警告される前に、潔く自分で判断できるのはまだまだ老いていない証しかもしれません。

類語や言い換え表現は?

無謀なことはしないほうがいい、という戒めの表現としての類語を紹介しましょう。

1:老いの木登り

意味はほぼ「年寄りの冷や水」と同じで、「老人に似合わぬ無理なことはするな」という意味。まだまだ若い! と思っている高齢者に対して戒めたり冷やかすときに使います。「年寄りの力自慢」という言い方もあります。

(例文)
「老いの木登りと言われてもダンスをやめるつもりはないよ」
「サッカーチームに入っている父。年寄りの力自慢にならないか心配している」

2:飛んで火に入る夏の虫

明るさにつられて飛んで来た夏の虫が火で焼け死ぬように、「自らを滅ぼすような災いの中に進んで身を投ずること」のたとえ。老いなど年齢には関係ありませんが、無謀な行為、危険な行為に対して使われます。日常会話では、例文のように少し軽いニュアンスで使われることも多いでしょう。

(例文)
「〇〇さんは今不機嫌だから、話しかけたりしたら飛んで火に入る夏の虫だよ」

対義語は?

「年寄りの冷や水」は、年齢を顧(かえり)みず、若い者には負けない! とばかり無理をしてしまう高齢者への教訓ともいうべきことわざです。では、その反対のことわざは? 年齢を重ねた人を敬い、背中を押すようなことわざを例文とともに紹介しましょう。

(c) Adobe Stock

1:老い木に花

「いったん衰えたものが、再び勢いを盛り返し再生する」ことをいいます。対象は高齢者だけではなく、不遇だった人が幸運にめぐり合ったり、ブームが再燃した人や物、会社や店などに幅広く使われます。高齢となっても一花、二花咲かせようという、という元気をくれる言葉でもあります。

「枯れ木に花」「枯れ木に花咲く」も同じように使われます。

(例文)
「ヒット商品が出て会社の業績も盛り返し、老い木に花咲いた」
「好きな人がいるらしい祖母は最近、老い木に花咲くようにきれいになった」
「何か趣味を見つけては? 家にばかりいないで枯れ木に花を咲かせましょうよ」

2:亀の甲より年の功

「年長者は長年経験を積んでいるだけに、若者の及ばない知恵がある」、と賞賛する言葉。「年寄りの冷や水」と戒められるより、「亀の甲より年の功」と言われたいものです。

高齢者に対してだけではなく、自分よりも目上であったり、その道で経験豊かな人に対して使うこともできます。

(例文)
「祖父の話にはためになることが多い。さすがに亀の甲より年の功だ」
「今回の案件は彼に任せよう。亀の甲より年の功だよ」

3:腐っても鯛

「優れた価値のあるものは、一旦だめになったようでも、その値打ちを保つ」ということのたとえです。年齢や時代の変化に関係なく、よいものはよい、ということでしょう。

(例文)
「彼のピアノ演奏は心響くものがあるね。さすがに腐っても鯛だ」

最後に

「年寄りの冷や水」は、年寄りが無謀なことをする、けがにつながるような危険な行為をするということを戒める言葉です。自虐ぎみに自分自身で使うのには問題ありませんが、人に直接言う場合は、相手の年齢、自分との関係性や距離感を十分に考慮することを心掛けましょう。

基本的には身内や昔からの友人など、ごく親しい相手に、プライドを傷つけないよう気遣いを込めて使うのがいいですね。

TOP画像/(c) Adobe Stock

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