「四角四面」の意味
四字熟語の「四角四面(しかくしめん)」は、もともとは真四角(正方形)のこと。それが転じて、「ひどく真面目で堅苦しいこと」「非常にかしこまっていること」という意味で使われるようになりました。生真面目、融通が利かない、堅物、面白みがないなどの性格や考え方、行動に対して用いられる言葉です。
もちろん真面目なのはいいのですが、度が過ぎることで、周囲から浮いてしまったり、そこにいる人に窮屈な思いをさせてしまったり、時に人間性が疑われることもあり、そうしたネガティブな場合に使われることがほとんど。厳格過ぎることを戒めるときにも使用されます。
使い方を例文でチェック!
相手が生真面目過ぎてちょっと困った、もう少し柔軟に対応してほしい。「四角四面」はそんな場面で多く使われます。具体的な使い方を例文で解説しましょう。
1:「四角四面の対応では、お客様は納得してくれないよ」
マニュアル通り、教わった通りにしか対応できていない言動に対して、「四角四面の対応」と表現しています。臨機応変に対応できる柔軟さも必要だと諭しているわけですね。
2:「姉は四角四面の性格で、どんなに疲れていてもすみずみまで掃除します」
これは四角四面な「性格」のことです。真面目過ぎて、疲れていても掃き残しがないほど完璧に掃除する様子が伝わります。
3:「上司が四角四面で、打ち上げでも部下は緊張している」
上司がいつでもどこでも真面目過ぎると、部下は気が抜けないもの。打ち上げなどの席でも常に緊張が強いられそうです。言い換えるとしたら、この上司は「真面目一辺倒」といったところでしょうか。
4:「四角四面なことおっしゃらずに、どうぞ受け取ってください」
お礼の品やプレゼントを渡したいのに、生真面目な理由を付けて受け取ってもらえない、というシーンでの例文です。融通が利かず、遠慮ばかりされても困りますよね。
5:「四角四面ではなく、自由な発想でアイデアを出してほしい」
硬い頭で真面目に考えても、面白いアイデアや斬新な企画は生まれにくいもの。もっと自由に想像力を膨らませてほしいと要望している場面での例文です。
6:「四角四面の企画書で新鮮さがないね」
企画書の内容が「面白みも新鮮味もなく、残念だね」というような意味です。
7:「四角四面の自己紹介はいいから、個性を出して」
せっかくの自己紹介。ただ生真面目に挨拶するだけではなく自分をアピールしてくださいね、という意味です。
類語や言い換え表現は?
「四角四面」はとにかく真面目、融通が利かない、堅物ということを四字に凝縮しています。ほかにはどんな言葉が当てはまるでしょうか。
1:杓子定規(しゃくしじょうぎ)
曲がっている杓子を定規として用いる、ということから転じて、無理にでも「すべてのことを、ひとつの標準や規則に当てはめて処置しようとする」、「決まりきったやり方や形式にこだわり、融通が利かない」という意味に。人物像やそうした様子について使われる言葉です。
(例文)
「彼女の意見はいつも杓子定規だ」
2:石部金吉(いしべきんきち)
人の名前ではありません。石と金という固いものを重ねて並べ人名のようにした四字熟語で、「非常に生真面目」「まったく融通の利かない堅物」という意味です。極端な石頭、といったところでしょうか。主に男性に対して、女性の魅力に惑わされない、色恋を理解できない、という風にも使われます。
(例文)
「彼は石部金吉という噂なので、デートしても面白くないだろうな」
3:愚直(ぐちょく)
真面目過ぎるというよりは、正直なばかりで「臨機応変な行動がとれない」こと。つまり、四角四面と同じで融通が利かない人やその様子を表します。ただし「愚直」は、好意的に使われるケースも少なくありません。
(例文)
「愚直なまでに研究に没頭し、成果を上げた」
「その愚直さが、雰囲気を悪くすることもあるよ」
4:石頭(いしあたま)
石のように硬い頭、つまり、「融通が利かず、考え方がかたくなである」という意味です。日常会話でも時折聞くことがあるでしょう。四角四面同様に、ちょっと困った人、という場合に使われます。
(例文)
「彼は石頭だから冗談も通じず困ったものだ」
対義語は?
続いて、対義語を見ていきましょう。
1:臨機応変(りんきおうへん)
「四角四面」とはまさに正反対。「その時その場に応じて、適切な手段をとること。また、その様子」を意味します。「臨機応変」の対応力はビジネスにおいても強みになりそうですね。
(例文)
「君の臨機応変な対応のお蔭で助かったよ」
2:融通無碍(ゆうずうむげ)
滞ることもしがらみもなく、「行動や考えが自由でのびのびしていること」を表します。こういう人と一緒にいると、楽しさや面白さを感じられそうですよね。ちなみに「融通自在(ゆうずうじざい)」もほぼ同じ意味です。
(例文)
「融通無碍な彼女の生き方に憧れています」
英語表記ではどうなる?
英語で四角を意味する「square」は、人に対して使うとき、「公明正大」のほか「堅苦しい」「保守的な」という意味にもなります。
たとえば、「You are so square.」(あなたはとても堅苦しいよ)などのように使います。また、「Be there or be square」(ここに来る? それともつまらない人になる?)。つまり、「ぜひ来て」とパーティなどに誘う言葉です。
正方形のはっきりとした直角からくるイメージは、日本でも英語圏でも変わらないようです。
最後に
「四角四面」は、真面目なのはいいけれど… という前提のもとに使われるイメージです。真面目なのはいいけれど度が過ぎている、真面目なのはいいけれど周囲から浮いている。こうしたことが、「四角四面」という四字に凝縮されています。真面目なのはいいけれど、時に肩の力を抜くことの大切さを教えてくれる言葉ともいえそうですね。
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