この記事のサマリー
・「逐次」は「順を追って、次々に物事が行われるさま」を意味します。
・「順次」は順序にしたがい物事をするさま、「随時」はその時々を意味します。
・「逐次通訳」や「逐次処理」など、各分野で「確実なステップを踏む」という意味のキーワードとして定着しています。
ビジネスシーンで「これ、順番に対応しておいて」と伝えたいとき、あなたならどんな言葉を選びますか?「順次」「随時」「適宜」、そして今回スポットを当てる「逐次」。どれも似たように聞こえますが、実はそれぞれが指し示す「進め方」には違いがあります。
この記事では、「逐次」の正確な定義や似た言葉との使い分け、さらにはITや通訳といった専門分野での応用例までを詳しく紹介します。
「逐次」とは?
まずは辞書に基づき、「逐次」という言葉の意味・読み方・用法を正しく理解しましょう。
「逐次」の辞書的な意味と読み方
「逐次」は「ちくじ」と読みます。
辞書では、次のように説明されていますよ。
ちく‐じ【逐次】
[副]順を追って次々に物事がなされるさま。順次。「人口が―減少していく」
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
「逐次」は副詞で、一つ一つ順を追って物事が行われるさまを表します。
「逐次」と「順次」「随時」「適宜」の違い
「逐次」は、「順次」「随時」「適宜」といった似た表現と混同されやすい言葉です。
中でも注意したいのが、「随時」や「適宜」のように柔軟性のある表現です。あくまで順を追って段階的に進めることに重きを置いている「逐次」との違いを整理しておくと、使い分けがしやすくなります。
「順次」
「順序に従って物事をするさま」を表します。
例文:「一番から順次面接する」
「随時」
「その時々に応じて」「好きなタイミングでいつでも」という意味を持ちます。
例文:「随時ご連絡ください」
「適宜」
「状況に合うように」「各自の判断で行動するさま」を指します。
例文:「見学後、適宜解散とする」
「逐次」の使い方を例文で確認
具体的な例文で「逐次」の使い方を確かめましょう。
・「会議での決定事項については、逐次報告いたします」
・「アンケートの回答は、逐次集計していきます」
・「新刊は逐次刊行される予定です」
いずれの文でも、物事を1つずつ順を追って進めている様子が伝わります。
参考:『デジタル大辞泉』(小学館)

「逐次」を使う分野と専門的な意味
「逐次」は専門分野でも定着している言葉です。分野ごとの使い方を確認してみましょう。
「逐次通訳」と「同時通訳」の違い
「逐次通訳」は、話者が一定の内容を話したあとに、区切りのいいところで通訳者が訳す形式で、発言と訳が交互に進みます。
一方、「同時通訳」は話者の発言とほぼ同時に通訳を行います。
「逐次処理」
「逐次処理」は、一つの処理を終えてから、次の処理を行うという操作の繰り返しを指します。ITやプログラミングの分野ではこの処理方式が基本となっており、処理の流れが明確で、動作の予測がしやすいという利点があります。
対照的に、1つの処理を複数に分けて同時に進める方式は「並列処理」と呼び、処理能力を向上させる手法として使われます。
「逐次反応」
「逐次反応」は、化学の分野で使う用語で、前の段階でできた生成物が、次の反応の原料となって反応が連続して進む現象を指します。
例えば、物質Aが物質Bに変化し、次にBがCに変わるような一連の流れが「逐次反応」に該当します。
参考:『デジタル大辞泉』(小学館)、『物理事典』(旺文社)、『現代心理学辞典』(有斐閣)

「逐次」の英語表現
「逐次」に近い意味を持つ英語表現を紹介します。
ビジネスメールや報告書で「逐次報告します」「逐次対応します」といった内容を英語で伝えたいときは、以下のような表現を使うことができます。
“sequentially”は、「逐次」という意味を持ち、進捗報告や段階的対応の表現に適しています。
例文:“We will report sequentially as each phase of the project is completed.”
(プロジェクトの各段階が完了するごとに、逐次報告いたします。)
一方、“one by one”は、「1つずつ」「次々と」を意味します。
“The participants entered the room one by one.”
(参加者は1人ずつ部屋に入りました。)
参考:『プログレッシブ ビジネス英語辞典』、『プログレッシブ英和中辞典』(ともに小学館)

「逐次」に関するFAQ
ここでは、「逐次」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1. 「順次」と「逐次」はどちらを使っても同じですか?
A. ほぼ同じ意味で使うことができます。
Q2. IT分野で聞く「逐次処理」とは何ですか?
A. 命令を一つずつ、順番に実行していく処理方式のことです。複数の作業を同時に行う「並行処理」と対比される言葉で、一つずつ確実に終わらせてから次へ進むため、エラーが起きた場所を見つけやすいというメリットがあります。
Q3. 「逐次通訳」は「同時通訳」より簡単なのですか?
A. 求められるスキルが異なります。「同時」はスピードが命ですが、「逐次」は話者の話を記憶し、それを整理して、正確に構成し直す「記憶力」と「要約力」が重要になる、非常に高度な技術です。
最後に
「逐次」は、物事を順を追って進める様子を伝える言葉です。似た表現と混同しやすいからこそ、意味を整理しておくと文章の説得力が増します。
今回の内容を踏まえ、報告や説明の場面で適切に使い分けてみてくださいね。
TOP・アイキャッチ画像/(c) Adobe Stock



