「客観的」とは?
ビジネスシーンでは「客観的に顧客のニーズを分析する」などと当たり前のように使われる「客観的」という言葉。プライベートな時間や会話のなかでも「鑑賞した映画を客観的に考察してみる」「もうちょっと客観的に考えようよ」などのように使われ、とても便利な表現です。
しかし、さまざまな場面で使うことができるということは、ある意味抽象的な表現であるとも言えます。「客観的」を説明しようとすると意外と難しいですよね。
本記事では、このなじみ深い「客観的」という言葉について、深掘りしていきます。言葉の意味や使い方はもちろんのこと、客観的な視点を持つことの大切さや、客観的な視点の身に付け方についても紹介しますよ。
「客観的」の意味
「客観的」とは、「主観や特定の立場にとらわれずに、独立して存在するさま」や、「そのような状態から離れて物事を捉えること」を意味します。
自分の感情や立場にとらわれずに、物事を考えたり判断できたりする人のことを「客観的な人」と形容します。
ちなみに、「客観」の対義語は「主観」です。
参考:『デジタル大辞泉』(小学館)
「客観的」の英語表現
「客観」や「客観性」は、英語で「objectivity」といいます。形容詞「客観的な(に)」は「objective(ly)」。また、客観的な思考を大切にする「客観主義」のことは、「objectivism」と言います。
参考:『プログレッシブ和英中辞典』(小学館)
「客観的」の使い方を例文で紹介
「客観的」の意味や英語表現が分かったところで、ここでは「客観的」の使い方について見ていきましょう。
1:「社長は怒りで我を忘れ、客観的に判断することができなかったのだろう。その判断ミスが業績悪化に繋がってしまった」
自分の激情に支配されると、碌なことはありませんね。例文もまさしく、そうした状況を表しています。とくにビジネスシーンなどでは、目まぐるしく状況が変わったとしても、つねに客観的な思考で物事を捉える力が必要だと言えますね。
2:「私はあくまで客観的な事実を言ったまでだよ」
「客観的な事実」とは、「他者(第三者)からみた事実」のこと。目に見えてわかる結果や数字などが、客観的事実の例として挙げられますね。
3:「客観的に見れば彼女に非があるかもしれないけど、私は彼女に同情してしまう」
よく使われる言い回しとしては、「客観的に見れば」が挙げられます。この例文のように、「客観的」を「公平な視点」として取り扱うことも可能です。「一般的」と置き換えてもいいかもしれませんね。「私情を排除した状況から判断したら」というニュアンスが、この例文の「客観的」には込められています。
客観的な視点を持つことの大切さ
社会人である以上、客観的な視点を持つことは大切だと言われています。皆さんも、生活の中でつくづく実感していることではないでしょうか? なぜ客観的な視点を持つことが大切なのか、ここで整理してみましょう。
1:無益な争いや衝突を避けることができる
自分の感情だけでなく、周りの状況を見て物事を判断することで、その場に合った適切な行動をとることができます。一時の感情に身を任せてしまうと、誤解や諍いが生じたり、評判を落としてしまうこともあるでしょう。客観的な視点を持つことで、そのようなリスクから身を守ることができるのです。
2:自己理解が深まる
一番身近な存在といえば、自分自身。しかし、距離が近過ぎるからこそ、見えないことって意外と多いものです。客観的になるということは、自分(の感情)から距離をとるということ。自分の視点(主観)から見るのではなく、「その環境の中にいる自分」を俯瞰して見ることで自己理解が深まります。
3:話に説得力が生まれる
必ずしも周りの人が、自分と同じ意見を持っているとは限りません。むやみに主観を話したところで、周りを納得させる根拠がなければ、それは意見の押し付けとなってしまうでしょう。そんなとき、データや数値などの客観的事実を元にした意見を言えば、説得力が生まれるのではないでしょうか。
客観的な視点を身に付ける方法
ビジネスパーソンとして、客観的な視点は持っているに越したことはありません。最後に、客観的な視点の身に付け方を一緒に考えていきましょう。
感情が高ぶったときは深呼吸
怒りや焦りなどの感情が高ぶったときは、一度深呼吸をしてみましょう。これらの感情は思考を乱し、周りが見えなくなってしまうことがあるからです。深呼吸は、気持ちを落ち着け、乱れた思考を切り替えるスイッチになります。
さまざまな経験をする
自分の世界から出て、知らなかったことを知る、ということは客観的な視点を得る上で、とても重要なプロセスです。自分にはない考え方や見方を持つ人と出会ったり、体験をしたりすることで「こんな世界や考え方もあるのか」と気付くことができます。
こういった経験や出会いをすることで、広い視野やさまざまな可能性の中で、物事を捉えられるようになるのではないでしょうか?
最後に
客観的な考え方や見方ができるようになると、人に対してやさしくすることができます。なぜなら、相手の気持ちになって考えることができるからです。反対に、主観に頼りすぎてしまうと、相手の気持ちが理解できない場合もあるでしょう。
もちろん、場合によっては主観的に考えたり、感情を発散することで心が楽になることもあります。そのため、客観的な視点も持ち合わせた上で、状況に応じて切り替えていけたらいいですね。
本記事では、あらためて「客観的」という言葉について考えてみました。すぐに怒ってしまうという人や、気持ちの浮き沈みにお悩みの方は、一度客観的に自分と向き合ってみるといいかもしれませんね。
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