「飛花落葉」とは? 意味と読み方
「飛花落葉」(ひからくよう)とは、空に舞う花びらと、地に落ちる葉を指す言葉です。花が散り、葉が落ちていく自然の移ろいを表しています。
転じて、物事の儚さや時の流れで変化するさまを表す四字熟語です。
花は、四季のなかで春に一番のシーズンを迎えます。次にやってくるのが、新緑の季節です。青々とした葉は秋になると赤く色づき、やがて静かに散っていきます。
「飛花落葉」は、華やかさの象徴である「花」と、衰えや終わりを連想させる「落葉」を並べることで、人生や季節の盛衰を表現したものです。季節が移り変わるように「人生のよい時期は長くは続かない」「少しの変化で大きく変わる」という意味が伝えられます。
ひか‐らくよう〔ヒクワラクエフ〕【飛花落葉】
出典:小学館 デジタル大辞泉
咲いた花もやがては散り、青葉も秋には色づいて枯れ落ちるということ。人生のはかなさや、世の無常であることのたとえにいう。
「あの婦人が急にそんな病気になった事を考えると、実に―の感慨で胸が一杯になって」〈漱石・吾輩は猫である〉

「飛花落葉」の使い方と例文
「飛花落葉」は、自然描写だけでなく、人生や時代の変化を語る比喩として活用できます。日常会話のほか、かしこまった文章やスピーチなどに適した言葉です。
・飛花落葉の趣がある春の庭に、静かな時の流れを感じる
・飛花落葉というように、時代は常に移ろい続けている
・飛花落葉という言葉に、世の無常を思うばかりだ
・飛花落葉の情景は、古くから詩歌で描かれてきた
・舞う花びらと足元の落ち葉を見た彼が「飛花落葉だな」と呟いた
・よい時期と苦しい時期を繰り返す人生に、飛花落葉に似たものを感じる
・ずっと仲間だと思っていた彼女が急に転勤になるなんて。別れは突然訪れるのだと、飛花落葉の感をおぼえている
「飛花落葉」のような植物にまつわる四字熟語
植物を題材にした四字熟語には、人の生き方や考えなどを映し出すものが多々あります。
・花鳥風月(かちょうふうげつ)
・鏡花水月(きょうかすいげつ)
・落花流水(らっかりゅうすい)
・一木一草(いちぼくいっそう)
・事実無根(じじつむこん)
・大根役者(だいこんやくしゃ)
ここでは「飛花落葉」と同じく、植物にまつわる四字熟語を紹介します。

「花鳥風月」(かちょうふうげつ)
「花鳥風月」は、花に鳥、風、月と自然の美を愛でる心を表す四字熟語です。おもに、日本文化や詩歌の世界で親しまれています。
自然に心を寄せるような、風流な言い回しに適した表現です。
・毎日慌ただしい日々が続くが、花鳥風月を楽しむ余裕を忘れずにいたい
・上司は花鳥風月を愛で、感じたものをデザインの仕事に落とし込んでいる
・月明かりの下で桜を眺め、お酒を飲んだひとときは、花鳥風月そのものだった
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「鏡花水月」(きょうかすいげつ)
「鏡花水月」は、鏡に映る花や水に映る月のように、目には見えても実体にないものを表します。転じて、理想や幻想のような、儚い美しさを指す四字熟語です。
・何事も完璧を追い求めるのは、鏡花水月を手に入れようとするようなものだ
・その映画は、鏡花水月のような、ひと言では言い表せない奥深さがある
・霧の中に浮かぶ山影は、鏡花水月のような美しさだった
「落花流水」(らっかりゅうすい)
「落花流水」の「落花」は「飛花落葉」と同様に散る花のことです。散る花と流れる水を重ね、去る者を追わず、自然の成り行きに任せる姿勢を表しています。
人と人との気持ちが、自然に通じ合うことも指す四字熟語です。
・過ぎたことはきれいに忘れ、落花流水の心境で次の道に進みたい
・惹かれ合う2人の関係は、落花流水のようだった
・落花流水という言葉があるように、去る者追わずの精神もときには必要だよ
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「一木一草」(いちぼくいっそう)
「一木一草」には、1つの木、1つの草という意味があります。それほどまでにわずかな存在を表す四字熟語です。
日常会話では、「一木」を「いちもく」と誤読しないように気を付けてください。
・持続可能な社会の実現のためにも、身の回りの一木一草に心を配る姿勢を忘れずにいたい
・彼女の生けた花は、一木一草にまで魂が宿っているかのような美しさだった
・彼は、その作品の一木一草にまでじっくりと目を凝らした
「事実無根」(じじつむこん)
事実に基づかず、根拠のない話は「事実無根」と言い表します。そもそも「無根」という言葉は、物事の拠り所が全く存在しないという意味です。
植物そのものを指すわけではありませんが、比喩表現として、少しの根拠もなくでたらめなさまを意味します。
・部署内でささやかれていた噂は、事実無根だということが判明した
・事実無根の話に振り回されている暇はない
・事実無根な話が広まることで、社内に無用な混乱が生じた
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「大根役者」(だいこんやくしゃ)
演技が下手な役者は「大根役者」といいます。「事実無根」と同様、植物を使った比喩表現の1つです。
言葉の由来には、諸説あります。1つは、大根の白さを演技の素人(しろうと)に寄せたものです。また、かつては演技の下手な役者を「馬の脚」と呼んだことに関係するともいわれています。
大根はいくら食べてもお腹を壊さず「あたらない」ことを、演技の下手な役者に重ねた、というのも由来の1つです。
・初舞台で大根役者といわれた彼だったが、悔しさをバネに努力し、今や世界に名を知られるスターになった
・今は大根役者と呼ばれる彼女だが、まだまだ伸びしろがある
・結婚式の余興で寸劇を披露することになった。大根役者といわれないように、練習しなくては
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「飛花落葉」のような四字熟語を活用しよう
「飛花落葉」は、人生の儚さを表す四字熟語です。自然の移ろいに人生を重ねたり、感情を端的に伝えたりできます。
主に、文章に深みをもたせたいときや、スピーチなどに説得力を加えたいときに活用できる表現です。言葉の正しい意味を理解すれば、物事の見方や感じ方などが、より豊かになるでしょう。
四字熟語には、自然にまつわる語句が多々あります。それぞれの意味を参考に、季節の変化や心の動きを表す言葉として、ぜひ取り入れてみてください。
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