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2024.08.20

「蝶よ花よ」とは子どもをとてもかわいがること|意味や使用例、類語を紹介

「蝶よ花よ」は「ちょうよはなよ」と読み、主に女の子に対して用いられます。本記事では、「蝶よ花よ」の正しい意味や使い方などを解説します。似た意味合いのことわざなども、ぜひ参考にしてください。

「蝶よ花よ」の意味と読み方

「蝶よ花よ」とは、子どもをとてもかわいがり大切にすることをたとえた言葉のことです。「ちょうよはなよ」と読み、主に女の子を対象に用いられます。

「蝶よ花よ」の語源は古いと考えられています。歴史的な文学作品である「枕草子」や「源氏物語」で用いられた「花や蝶や」が語源という見方が多いようです。

やがて「花や蝶や」は「蝶や花や」へと順番が入れ替わります。誰かをおだてたり、機嫌をとったりするさまを表す「ちやほや」という言葉は、「蝶や花や」を語源とするのが一般的のようです。

明治時代になると「蝶や花や」は、現在のような「蝶よ花よ」の形で使われるようになったとか。「ちやほや」という言葉に関連することからも、そのかわいがりぶりは非常に強いものといえるでしょう。

蝶(ちょう)よ花(はな)よ
子供を非常にかわいがり大切にするたとえ。多く女児にいう。「—と育てた娘」

出典:小学館 デジタル大辞泉

「蝶よ花よ」を使った例文

子どもを美しい蝶や花のようにかわいがることにたとえた「蝶よ花よ」は、日常生活で以下のように用いられます。

・彼女はその家の一人娘として、蝶よ花よと育てられた
・初孫だったこともあり、祖父母は娘を蝶よ花よとかわいがった
・蝶よ花よと大切にしてくれるのはありがたいが、あまりに過保護なのも困ったものだ

「蝶よ花よ」と似た意味をもつ類語やことわざ

「蝶よ花よ」と似た意味をもつ類語やことわざには、以下のようなものが挙げられます。

・乳母日傘で育つ
・温室で育つ
・手塩にかけて育てられる

どれも、子どもを大切に育てることを表す言葉です。ここでは、それぞれの意味について確認していきましょう。

手をつないでいる親子の手元イラスト
(c)Adobe Stock

乳母日傘で育つ(おんばひがさでそだつ)

「乳母日傘(おんばひがさ)」とは、小さな子どもが過保護に育てられることを表す言葉です。「乳母」は、母親に代わり乳児を育てる女性を意味します。

「乳母日傘」とすることで、小さな子どもが乳母に日傘をさしかけられながら、大切に育てられている様子を表しています。

「蝶よ花よ」同様、子どもを慈しむ様子を意味しますが、女児に限らず用いられる表現です。

・彼の実家はたいそう立派で、幼少期は乳母日傘で育ったという話だよ

温室で育つ

「温室で育つ」も「蝶よ花よ」と同様に子どもが大切に育てられることを意味します。また、大切にされるがあまり世間を知らないこと、鍛えられていないことを表すことも。

そのため、他者に向けて使用する際は失礼にあたる恐れがあります。以下のように、ネガティブなニュアンスで用いるケースもあるため、使用時は注意しましょう。

・あまりに温室で育つと世間の厳しさについていけなくなってしまう
・このドラマの彼は、温室育ちのような振る舞いをするな

手塩にかけて育てられる

自らいろいろと世話をし大切に育てることを「手塩にかける」と表現します。

そもそも「手塩」とは、食べ物をのせる膳に添えられた塩のことです。食事の味を自分で調整するために使われたことから、自分で何かを大切に育てたり、面倒を見たりすることを「手塩にかける」と表すようになったといわれています。

また、「手塩にかけて育てる」は子どもに限らず、以下のように作物に対しても用いられます。「蝶よ花よ」に比べ、使用用途の広い言葉といえるでしょう。

・手塩にかけて育てた娘を嫁に出す日がやってきた
・手塩にかけて育てた社員が独立を迎えたことを、感慨深く思う
・手塩にかけて育てた野菜を、本日とうとう収穫する
・これまで手塩にかけて育ててきた弟子ならば、今後のことを信頼して任せられる

「蝶」にちなんだ言葉や四字熟語

華やかな昆虫である「蝶」は、「蝶よ花よ」以外にも以下のような語句で用いられています。

・胡蝶の夢(こちょうのゆめ)
・雄蝶雌蝶(おちょうめちょう)
・蝶結び(ちょうむすび)
・蝶番(ちょうつがい)

「蝶結び」や「蝶番」などは、羽を広げた蝶の姿を連想させる言葉です。日常会話で正確に使えるよう、それぞれの正しい意味についてみていきましょう。

ちょうちょ
(c)AdobeStock

胡蝶の夢(こちょうのゆめ)

「胡蝶」は、蝶々の別名です。現実と夢との区別がつかないことや、自分と物とが一体になったかのように感じる境地を表しています。

自分が夢で蝶になったのか、それとも蝶が夢の中で自分になったのかわからないという、中国の荘子による故事がもととなった言葉です。人生がはかないことをたとえる際にも用いられます。

雄蝶雌蝶(おちょうめちょう)

「雄蝶雌蝶」は婚礼にまつわる言葉で2つの意味合いがあります。

ひとつは、お酒を入れる銚子(ちょうし)や提子(ひさげ)に付ける、紙製の飾りのことです。2つで一対を成し、婚礼のときだけでなくお正月のようなめでたい席でも用いられます。

もうひとつの意味合いは、婚礼の際に酌人を務める男女の子どものことです。「雄蝶雌蝶」になった子どもは、婚礼の場で新郎新婦の杯に双方から同時に酒をつぐ役割を担います。

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蝶結び(ちょうむすび)

「蝶結び」は、紐や水引などの結び方のことです。「ちょうちょうむすび」とも呼ばれ、蝶が羽根を拡げたように左右に輪を作った形を意味します。

注意したいのは、何度も結び直せる蝶結びは結婚の祝いに適さないことです。結婚の祝儀や贈り物には、固く結ばれた「あわじ結び」や「結びきり」と呼ばれる水引を使うよう心がけましょう。

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蝶番(ちょうつがい)

「蝶番」は、扉や箱のふたなどに用いられる金具の呼び名です。こちらも「蝶結び」のように、蝶に似た形が名前の由来となっています。中央の回転軸を挟むように、2枚の金属板が用いられるのが特徴です。

また、「蝶番」は物と物のつながりを意味し、2つの骨が特殊な形態で組み合わさった関節は「蝶番関節」と呼ばれます。

「蝶よ花よ」の意味を知り日常生活で正しく使おう

「蝶よ花よ」は、子どもを大切に育てる様子を表す言葉です。ときには、かわいがりすぎた過保護の状態を意味します。そのため、他者に向けて使用する際は注意が必要です。

「蝶よ花よ」にはさまざまな言い換え表現があり、シーンや相手によって使い分けできます。「蝶」を使った表現を含め、語句の幅を広げながら「蝶よ花よ」を正しく活用していきましょう。

メイン・アイキャッチ画像:(c)Adobe Stock

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