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2024.07.23

登竜門とは立身出世の関門のこと|意味や読み方、類似する意味の言葉を紹介

登竜門とはどのような状況で使う言葉なのか、例文をとおしてわかりやすく紹介します。また、似た意味を持つ言葉や、反対のニュアンスで使われる言葉も解説。

登竜門とは? 意味や読み方、関連事項

登竜門(とうりゅうもん)とは、立身出世の関門という意味の言葉です。中国の黄河の中流にある「竜門」と呼ばれる場所は、急流のため、通常の魚はさかのぼれません。しかし流れに逆らい、さかのぼれた鯉(こい)は竜になれるといわれました。

この後漢書に書かれた故事成語から、立身出世のための厳しい関門を「登竜門」と呼ぶようになったとされています。

なお、「竜門」を「登る」の意味のため、途中で切って発音するなら「登・竜門」が正解です。「登竜・門」と発音するのでは、意味が正しく伝わらないため注意しましょう。

いくつか例文を紹介します。

・この文学賞は、ミステリー作家の登竜門といわれている
・その資格は、この世界で活躍するには欠かせない登竜門だ。頑張って合格してほしい

とう‐りゅうもん
《「竜門」は中国黄河の中流にある急流で、ここをさかのぼることのできる鯉は竜になるという「後漢書」李膺伝の故事から》立身出世の関門。「芥川賞は文壇への登竜門だ」

出典:小学館 デジタル大辞泉

登竜門と鯉のぼり

鯉が急流をさかのぼって竜になることから、鯉が滝をのぼっている様子を描いた「鯉の滝登り(滝昇り)」は、立身出世の象徴として人気の図案です。一説によると、日本でも江戸時代初期ごろから、「鯉の滝登り」の図案がよく描かれていたのだとか。

また江戸時代中期になると、鯉の形の吹き流し(幟、のぼり)を作って「鯉の滝登り」の絵の付属品として飾るようになったようです。これが庶民の習慣として定着し、五月の節句には鯉のぼり(鯉幟)を立てかけるようになったともいわれています。

鯉のぼり
(c) Adobe Stock

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登竜門と神社

神社のなかには、「登竜門」という名前の門を作り、受験の成功や心願成就を願う人々がくぐれるようにしているところもあるようです。

たとえば、徳川軍に対して二度の勝利を上げた長野県の上田城本丸跡に鎮座する『眞田神社』では、期間を定めて登竜門を設置し、立身出世などを願う人々に開放しています。また、兵庫県の八代大歳神社末社の『岩神大明神』では、5月5日に子どもたちの成長と大願成就を願って「登龍門祭」を開催しています。

登竜門と類似する意味の言葉

登竜門のように、立身出世や成長のために乗り越えるべきものやとおるべき道といった意味で使われる言葉としては、次のものが挙げられます。

・入試
・試験
・関門

それぞれの意味やニュアンスを例文をとおして紹介します。

ジャンプしている人、上向きの矢印のイラスト
(c)AdobeStock

入試

入試(にゅうし)とは、入学試験の略語です。入学試験とは一定の入学者を選ぶために、入学志願者に対して実施する試験を指します。

・入試まであと1週間もない。今から勉強しても、もう遅いのではないだろうか
・将来の夢を実現するためには、あの大学に入ることが前提だ。つまり、大学入試に私の人生がかかっているといえる

入学試験は、俳句では春の季語として使われることがあります。

・入学試験 幼き頸(くび)の溝深く(中村草田男)

中村草田男の俳句には、次のように受験関係のものがいくつか見られます。

・落第の弟 きのう(昨日)もけふ(今日)も哀れ
・受験禍(か)の其子(そのこ)がきのうもけふもあわれ

受験関連の俳句が多いのは、中村草田男自身が神経衰弱のために休学を繰り返し、大学を32歳で卒業したのと無関係ではないかもしれません。

試験

試験とは入学や入社、登用の採否を決めるために、問題に答えさせたり実技をさせたりすることで、学力・知識・能力などを判断することです。考試(こうし)や考査(こうさ)とも置き換えられます。

・校長職に就こうと思うなら、試験に受からなくてはいけない
・面接試験は通過したが、筆記試験には落ちた

また、ある物事の性質や性能を試してみることも「試験」といいます。

・新しい素材の耐久性を試験した
・試験飛行に立ち会ったが、不安のないフライトだった

関門

関門(かんもん)とは、目的を達するのに突破しなくてはいけない難所のことです。また、突破するのが困難なところも「関門」と呼ばれることがあります。

・研究者として認められるための最初の関門が、論文のファーストオーサーになることだ
・彼女は非常に優秀で、あの入試の関門も難なく突破した

登竜門と反対の意味を持つ言葉

登竜門は立身出世のための関門ですが、誰もがうまく登れるわけではありません。登竜門とは反対に、立身出世や入試に落ちてしまうことを意味する言葉としては、次のものが挙げられます。

・点額
・不合格
・落第

それぞれの意味やニュアンスを例文をとおして紹介します。

悩む女性
(c)AdobeStock

点額

点額(てんがく)とは、試験に落ちることです。竜門を登れた鯉は竜となりますが、うまく登れずに失敗してしまった鯉は額(ひたい)に傷をつけて帰るといわれたことから、「額に点(小さなしるし、欠点)がある」という意味で「点額」となりました。

・この前の試験の結果について、彼に尋ねないであげてね。点額だったから
・点額だったとしても、また次、頑張ればいいよ

不合格

不合格(ふごうかく)とは、試験や検査などに合格しないことを意味する言葉です。点額と比べると日常的に使う言葉のため、わかりやすく説明するときに使ってみるのもよいでしょう。

・この前の試験の結果は不合格。来月も受験できるらしいが、どうせまた不合格だろう
・不合格なのは、一定の基準を満たしていないからだ。どこを間違えたのか調べ、もう一度受験してほしい

落第

落第(らくだい)とは、試験や審査に合格しないことや、学年の課程を修了せずに卒業・進級できないこと、必要な一定基準に達せずに認められないことを意味する言葉です。

・筆記試験に落第した

登竜門の意味を理解しよう

登竜門は、立身出世の関門です。若手やデビューしたばかりの人向けのコンテストや賞などを指して「登竜門」と呼ぶことがあります。

よく間違いがちなのが、「登竜・門」ではなく「登・竜門」と区切ってしまうこと。なぜ登竜門と呼ばれるようになったのか、故事成語の由来についてもチェックしておきましょう。

メイン・アイキャッチ画像:(c)AdobeStock

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