自給自足とは?意味や使い方
自給自足(じきゅうじそく)とは、必要な物資を自分自身の力で生産して満たすことです。名詞としても使いますが、「する」をつなげて動詞として使うこともあります。
じきゅう‐じそく〔ジキフ‐〕
出典:小学館 デジタル大辞泉
[名](スル)必要な物資を自分自身の力で生産して満たすこと。「米の自給自足」「田畑を耕し自給自足する」
例文を通して使い方を見ていきましょう。
・米の自給自足は実現している
・広い畑のある家を買い、自給自足している
・将来の夢は、自給自足の生活を送ることだ
自給自足と類似する表現は? その違いも
自給自足と類似した意味で使われる表現として、以下のものが挙げられます。
・自活
・自主独立
・自主独往
・独立独歩
それぞれの意味の違いを例文で紹介します。
自活
自活(じかつ)とは、人の援助を受けないで、自分の力で生活することです。自分自身の力で生きる点では自給自足と同じですが、自活には必要な物資を自分で生産するという意味がないため、自分で稼いだお金で生活するときも「自活」と表現できます。
・親元を離れて自活する
・自活したい気持ちはあるが、家賃が思いのほか高くて親の援助を受けている
自主独立
自主独立(じしゅどくりつ)とは、他者からの保護や助力なしに、自分の力で物事にあたることやその精神を指す言葉です。
・我が校の教育理念は自主独立だ
・自主独立を目指して、日々自己鍛錬をしている
なお、自主とは、他からの干渉や保護を受けず、独立して物事を行うことです。「自主の精神」や「自主性」というように使います。
自主独往
自主独往(じしゅどくおう)とは、他人に動かされないで、自分の主義・主張通りに行動することです。次のように使います。
・彼女は自主独往の精神を持っている
・彼女の自主独往が、彼には新鮮で面白く思えた
なお、独往(どくおう)とは、自分の信じる道をひとすじに進むことを意味します。
独立独歩
独立独歩(どくりつどっぽ)とは、他人に頼らず、自分の信じるところに従って行動することです。同じ意味の言葉として、独立独行(どくりつどっこう)があります。
・彼は独立独歩の精神で生きている
・独立独歩を目指してはいるが、生来の優柔不断さが時折邪魔をする
また、独立独歩は、他に並ぶもののないことを指して使うこともあります。
自給自足は可能? 実践時の注意点まとめ
自給自足とは、必要な物資をすべて自分で生産し、賄うことです。食べるものや着るものをはじめ、生活に必要なすべての物資を賄うことは、決して簡単ではありませんが不可能とも言い切れないでしょう。
すでに家財道具や衣類を十分に持っている状態なら、畑仕事に励み、家畜を飼ったり狩猟をしたりすることで食料を確保すれば、ある程度は自給自足できる可能性があるかもしれません。
しかし、電力を使う場合には自家発電・蓄電の仕組みも必要になったり、安全な飲み水を確保するためには井戸を掘って水質検査を受けるなどの準備が必要になったりするでしょう。
これらのすべてを満たしたとしても、現代社会ならではの「お金」の問題が残ります。自給自足を始める前に確認しておきたいポイントは以下のようなものが挙げられます。
・無収入でも国民健康保険料が必要になることがある
・国民年金保険料が免除されると年金額が減る
・税金は金銭払いが原則
・固定資産税が毎年発生することがある
それぞれのポイントを解説します。
無収入でも国民健康保険料が必要になることがある
一定規準より所得が下回る場合は、国民健康保険料が軽減されます。所得に応じて2割減・5割減・7割減のいずれかが適用されるため、免除はされないことが一般的です。
ただし、災害や特別な事情がある場合は、国民健康保険料の減免や猶予が適用されることがあります。自治体の国民健康保険の窓口に問い合わせてみるとよいでしょう。
国民年金保険料が免除されると年金額が減る
国民年金保険料も、収入が低く納付が困難なときは免除や猶予が適用されることがあります。払えないからと放置するのではなく、自治体の国民年金担当窓口や年金事務所で、免除や納付猶予の手続きを行いましょう。
ただし、国民年金保険料が免除されると、将来受け取れる年金額が最大半分にまで減ってしまいます。年金額の減額が気になるときは、後から免除分を納付する追納制度の利用も一つの方法です。
税金は金銭払いが原則
国民健康保険料や国民年金保険料の納付は、いずれも金銭払いが原則です。また、税金の納付も金銭で行います。そのため、食費や光熱費がかからない生活をしていても、社会保険料や税金を支払うためには金銭を準備しておかなくてはいけません。
ただし、相続税のみ、金銭ではなく物納が認められることがあります。物納が可能な財産としては、次のようなものが挙げられます。
・不動産
・船舶
・上場株式
・特定登録美術品
上記の財産であっても、たとえば担保権の設定の登記がされている不動産や境界が明らかでない土地、譲渡制限株式などは物納に不適格な財産(管理処分不適格財産)とされています。管理処分不適格財産に該当せず、物納が可能な場合は、物納申請期限までに物納申請書や物納手続関係書類を提出して手続きを進める流れです。
参考:国税庁|【税金の納付】
参考:国税庁|No.4214 相続税の物納
固定資産税が毎年発生することがある
自給自足をするためには、暮らす家や米・野菜を育てる田畑などは最低限必要になります。しかし、家屋や土地などの不動産を所有すると固定資産税が発生(場所によっては都市計画税も発生)します。
固定資産税・都市計画税は毎年発生する税金のため、長期にわたって納付できるように備えておくことが必要です。ただし、自治体によっては、一定以下の面積・価値において固定資産税が免除されるケースも。お住まいの自治体で固定資産税の減免制度があるか、一度確認してみてください。
自給自足をするなら収入の確保が必要
自給自足を目指すなら、食べ物や電気について備えるだけでなく、収入を確保することも大切です。
社会保険料や固定資産税だけでなく、自動車税や消費税も金銭納付のため、ある程度の金銭がないと生活できません。収入確保が難しいときは、長期にわたって税金や社会保険料を支払えるだけの預貯金を準備しておく必要があるといえます。
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税理士・板山翔
平成28年に日本初のオンライン専門の税理士事務所を開業。塾講師歴7年、大手WEBメディアで連載を持つなどの異色の経歴を持つ。5人以下の小さな会社の経営者へ向けて、様々なメディアで情報を発信しており、YouTubeチャンネル「税理士ショウの超わかりやすいビジネスQ&A」は動画9本で登録者1,000人を超えるなど急成長している。
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