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2025.11.30

知らないと誤解を招く⁉「地獄の沙汰も金次第」の意味を紹介|沙汰って何?

「地獄の沙汰も金次第(じごくのさたもかねしだい)」とは、金銭が物事を左右するという趣旨で、比喩的に語る際に使う表現です。本記事では、「地獄の沙汰も金次第」の意味や由来、使い方、英語表現、よくある疑問と回答を紹介します。

この記事のサマリー

・「地獄の沙汰も金次第」は金銭が結果を左右することのたとえです。
・意味を間違えやすい「沙汰」とは、判断や裁定を表す語です。
・言い換え表現には「阿弥陀の光も銭次第」があります。

「地獄の沙汰も金次第」とは、物事の結果が金銭によって左右されるという意味のことわざです。しかし、正確な意味や、実際の使い方を正確に説明できる人は多くありません。

言葉の意味と背景を理解しておくことで、適切な場面で迷わずに使えるようになりますよ。この記事では、辞書に基づく意味や成り立ち、日常やビジネスで役立つ形でまとめています。

「地獄の沙汰も金次第」の意味と背景

「地獄の沙汰も金次第」という言葉を聞くと、皮肉なのか本気なのか判断に迷いませんか? まずは辞書に基づく意味と、語の構成を整理し、誤解されやすいポイントを明確にしていきます。

「地獄の沙汰も金次第」読み方と意味|「沙汰」の意味は?

「地獄の沙汰も金次第」は「じごくのさたもかねしだい」と読みます。辞書で正確な意味を確認しましょう。

地獄(じごく)の沙汰(さた)も金次第(かねしだい)
地獄の裁判も金の力で有利になる。この世はすべて金の力で左右されるというたとえ。

引用:『デジタル大辞泉』(小学館)

金銭が物事を左右するという趣旨で、比喩的に語る際に使う表現です。

ちなみに、「沙汰」は「裁定」や「裁決・裁判」を意味します。つまり「地獄の沙汰」の意味は、「地獄での裁決」だとわかりますね。

「地獄の沙汰も金次第」の由来

このことわざが生まれた背景には、金銭が人の待遇を左右する当時の社会の現実がありました。

『故事俗信ことわざ大辞典』によると、特に以下の状況が「地獄」にたとえられ、ことわざの背景となったとされています。

・牢獄や遊廓など、過酷な境遇の場所で、賄賂(金銭)によって個人の待遇がよくも悪くも変わること。
・寺院における戒名の授与において寄進額(金銭)の多少によって扱われ方が変わるという現実。

これらは、本来公平であるべき場所や宗教的な場面においてさえ、金銭が力を持つという社会的な皮肉を含んだ指摘です。

参考:『デジタル大辞泉』、『故事俗信ことわざ大辞典』(ともに小学館)

(c) Adobe Stock

「地獄の沙汰も金次第」の使い方・例文・類語

「地獄の沙汰も金次第」は、金銭によって待遇や状況が変わる場面を指摘する皮肉として使うこともある表現です。

SNSなどでは冗談めかして引用されることもありますが、強い印象を与える可能性があるため、使用する際は注意が必要です。

「地獄の沙汰も金次第」現代的な使い方と例文

追加料金による優先対応など、本来公平であるべきサービスや仕組みが金銭によって影響されるシーンで、軽い皮肉や自嘲を含んだ表現として使う例が以下です。

例文:
「急ぎ案件も、追加料金で最優先になるなんて、地獄の沙汰も金次第ですね」
「VIP席がすぐ埋まるのを見ると、地獄の沙汰も金次第だと実感します」
「追加の修理代を払うとすぐ対応してくれるなんて、まさに地獄の沙汰も金次第だわ…」

これらの例文は、「結局、お金が全てを決めるのだ」という諦めや皮肉を込めた、現代的な使い方だといえます。

類語「阿弥陀の光も銭次第」

このことわざは、「阿弥陀仏の御利益(ごりやく)でさえ、捧げる金銭(銭)の多少によって左右されてしまう」という意味です。

これは、金銭の力の大きさが、宗教的な恩恵という、本来は公平であるべき領域にまで及んでしまうという痛烈な皮肉を込めた表現です。

「阿弥陀も銭ほど光る」という言い方もあり、金銭の影響力をより端的に表しています。

この言葉は、江戸時代から明治時代にかけての文献に多く見られ、「地獄の沙汰も金次第」と同様に、当時の人々が世の中の不公平さを皮肉を込めて表現するために用いていたことがわかります。

参考:『故事俗信ことわざ大辞典』(小学館)

(c) Adobe Stock

「地獄の沙汰も金次第」を英語ではどう言う?

日本語の「地獄の沙汰も金次第」が持つ、「金銭が物事の動きや判断を左右する」というニュアンスを英語で伝えたい場合、辞書に掲載される以下の比喩的な表現が近い意味として使われます。

“money makes the world go round.”

“money makes the world go round.”の直訳は、「お金が世界を回している。」です。

ここから、「お金がなければ世の中は動かない」「金こそが万能である」という趣旨を表します。

例文
“You can’t expect that project to succeed without proper funding; after all, money makes the world go round.”
(適切な資金がなければ、そのプロジェクトが成功するとは期待できない。結局のところ、世の中は金次第なのだから。)

“Money talks.”

“Money talks.”金銭の持つ影響力や権力を端的に示す慣用句です。直訳は、「お金が話す。」ですが、慣用的な使い方をするときは「金がものを言う」「金が力を持つ」の意味になります。

金銭が権力や影響力を持ち、物事の決定、特に交渉や取引において、強い発言力を持つことを表します。お金さえあれば、困難な状況も有利に進められるというニュアンスを含みます。

例文
“He got the promotion quickly. Money talks, after all.”
(彼はすぐに昇進した。結局、金がものを言うのだ。)

参考:『プログレッシブ和英中辞典』(小学館)

(c) Adobe Stock

「地獄の沙汰も金次第」に関するFAQ

ここでは、「地獄の沙汰も金次第」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。

Q1. 本来の意味は「お金があれば何でもできる」ということでしょうか?

A. はい。ただし、これはことわざ上の意味です。

金銭の影響力の大きさを、皮肉を込めて指す表現です。

Q2. ビジネスメールで使ってもいい表現ですか?

A. 皮肉や辛辣な印象を与えやすく、ビジネスシーンではあまり適さないでしょう。

日常会話やSNSの比喩表現としての使用が無難です。

Q3. NGな使い方はありますか?

A. 特定の人物や組織を非難する形で用いると、強い攻撃表現になります。

一般的な状況の比喩として留めるのが安全です。

最後に

「地獄の沙汰も金次第」は、本来、厳粛であるべき判断でさえも金銭の力が左右するという、社会的な皮肉や諦念を込めたことわざです。

この言葉は、現代において「金銭が万能である」という状況を、ユーモアや辛辣さを含めて表現したいときに有効です。しかし、その皮肉の強さゆえに、ビジネスシーンや公的な文脈での使用は避けるべきでしょう。

この言葉の正確な意味や背景を理解し、日常会話や比喩表現として適切に使いこなしてくださいね。

TOP画像/(c) Adobe Stock

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