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いつも使っている「よろしくお願いします」の意味や使うべき相手は?
「よろしくお願いします」。ワーキングパーソンなら、口頭でもメッセンジャーでも、この表現を使わない日はないのでは? と思うほど馴染みのあるフレーズですが、「正しい使い方、知ってる?」と改めて問われると、ちょっと自信がなくなってきますよね。毎日使う言葉だからこそ、この際、正しい使い方や言い換え表現を学んでおきましょう。
まず「よろしくお願いします」の意味や言い方について解説します。
よろしくお願いしますの意味
「よろしくお願いします」は仕事中、口頭やチャットツールで頻繁に使用されるフレーズですね。この表現は、3つの言葉から成り立っています。
「よろしく」は人に好意を示したり、何かを頼んだりするときに添える語。そこに「願い」の丁寧表現である「お願い」と「します」を組み合わせた、敬語表現となります。
これからお世話になる方々や、日常的にお世話になっている方への挨拶であったり、こちらからの希望に対してお願いします、という意味合いで用いられていることが多いことと思います。
「宜しくお願いします」は間違い?
「よろしくお願いします」というフレーズですが、ひらがな表記か漢字表記か迷うこともあるのではないでしょうか? 「よろしく」は「宜しく」と漢字で書かれるときもありますね。
しかし、常用漢字表の「宜」には「ギ」という読み方しかありません。常用漢字表にない言葉は、公用文では使えない決まりになっているので、ひらがなでの表記が正しいと言えます。漢字で書いた方が丁寧なようにも感じますが、ひらがなで表記するようにしたほうがよさそうです。
「よろしくお願いします」を口頭で言う場合の方法
お世話になっている人や、上司に対して軽々しく「よろしく」と発言してしまっては、信用を失いかねません。表情や姿勢を意識しながら、きちんとした挨拶を心がけましょう。また、声のボリュームにも気をつけてください。大きければいいというものではありません。
ビジネスシーンでは、状況や周りへの気遣いも求められます。相手に聞こえるボリュームで、はっきりと、そして明るい表情で、挨拶することが大切です。まずは自分の声量をきちんと把握して、信用される挨拶の練習をしてみてはいかがでしょうか?
「よろしくお願いします」を使える相手とは
「よろしくお願いします」を使う場合、できるだけ自分に近い立場の人だけに留める方が良いでしょう。ビジネスシーンでは、より丁寧な「よろしくお願いいたします」が適切な表現と言えます。
どちらも敬語であり、誤りではありません。とはいえ、より良い印象の言葉を選んで使えるたほうが、少なからず印象的にはメリットがありそうです。
「よろしくお願いします」をより丁寧にした表現はある?
より丁寧に「よろしくお願いします」を伝えられる表現をご紹介します。
◆「よろしくお願いいたします」
先述したとおり、「よろしくお願いいたします」は、「よろしくお願いします」よりも相手に対して敬意を表せるフレーズです。「いたします」は、ひらがなと漢字の両方で表記できますよね。使い方の違いを見ていきましょう。
ひらがな表記をする場合は、「する」の謙譲語として使うとき。「いたします」は補助動詞と使われるため、漢字よりもひらがなで表す方が一般的。
一方、漢字で「致します」と書く場合は、動詞として単体で使うとき。「到達するようにする、至らせる」や「結果をもたらす」という意味があります。ですから、「する」の謙譲語として用いる「よろしくお願いいたします」の場合は、ひらがな表記が適していますよ。
◆さらに丁寧に表現するなら「よろしくお願い申し上げます」
「申す」は、「言う」の謙譲表現にあたります。さらに「上げる」という敬意を表す補助動詞と丁寧語の「ます」を組み合わせたのが「申し上げます」という表現です。「いたす」は「する」の謙譲語なので、「お願いいたします」と「お願い申し上げる」は、「する」か「言う」かの違いがあります。
どちらも目上の人や社内の上司に対して敬意を持って何かを伝えたいときに適していますが、「よろしくお願い申し上げる」の方が、より丁寧な印象を与えることができます。反対に同僚・後輩には謙譲表現のため通常は使いませんので、ご留意ください。
「よろしくお願いします」の使い方を例文でチェック
次に「よろしくお願いします」の使い方をご紹介します。
「どうぞよろしくお願いします」
「どうぞ」は、丁重に頼む気持ちを表す言葉で、「よろしくお願いいたします」の頭に付けることで、より丁寧な印象の敬語になります。取引先に依頼するときの締め言葉には、「お手数をおかけいたしますが」とセットで使われることが多め。
また、お礼をする際の締め言葉に「今後ともどうぞよろしくお願いいたします」と使うことで、「これからも仲良くしてください」という意味の敬語にもなります。自己紹介の際、相手との距離を縮めたいという気持ちを表す敬語としても使えますので、最後に一言添えてみましょう。
「引き続きよろしくお願いします」
「引き続きよろしくお願いします」は、現在進行中のやりとりや、取引などに対して使う表現です。「引き続きご愛顧のほど~」という敬語表現は、顧客などに対し、今後もお引き立てくださいという気持ちを含み、文末に使用することも。ほかにも、進行中の案件に関して、確認事項を終えた後には「最後までよろしく」という意味で使うことも可能です。
「何卒よろしくお願いいたします」
「何卒」は、「なにとぞ」と読みます。相手に対して何かを強く願う気持ちを伝える言葉です。そのため強くお願いしたいことがあるときには、メールでも「何卒」を使うと良いでしょう。ビジネスシーンでは、良い取り計らいをお願いするという意味合いのあいさつ言葉として使われることが多い表現です。お願いの表現になるため、より丁寧に「いたします」を添えましょう。
「何卒ご了承くださいますよう〜」、「何卒ご理解いただきますよう~」などと用いることができます。また、何か世話になったときのお礼としてメールで「今後とも~」と一言添えると、相手との関係作りにも有効です。
「よろしくお願いします」の類語や言い換え表現とは?
続いて「よろしくお願いします」の言い換え表現も合わせて覚えていきましょう。
「よろしくお願いしたく存じます」
「お願いしたく存じます」は、「○○をするので、お願いしたい」という気持ちを表すフレーズです。「存じます」は「思う」の謙譲語のため、基本的に目上の人に対して使われます。
「よろしくお願いします」よりも丁寧な印象なので、直属の上司よりもさらに上の立場の人や大切な顧客・取引先など、特に敬意を払いたい相手にはメールでも「お願いしたく存じます」を用いると、相手にも快く承諾してもらいやすいかもしれません。また、同僚・後輩には不自然なため、使わない方がよさそうです。
「~いただければ幸いです」
単に挨拶するのではなく、依頼がある場合に適した表現です。「~いただければ幸いです」は、「くれる、もらう」という意味の謙譲語「いただく」と「これをしてもらえるとうれしい」という気持ちを示す「幸いです」を合わせた敬語です。
ただし、お願いするときの表現としてはややあいまいなため、しっかりお願いしたいときや必ず何かをしてほしいときには「ご返信いただければ幸いです」よりも、「ご返信のほどよろしくお願いいたします」などと具体的に記載する方が良いでしょう。
「懇願申し上げます」
「懇願」とは、「こんがん」と読みます。「ひたすら願うこと」「心を込めて願うこと」という意味。どうしても叶えたいという気持ちを示すときに使う表現です。
ビジネスでは、上司や取引先に折り入って頼み願いたいときや、要望を受け入れてほしいと心からお願いするときなどに、「懇願申し上げます」と使うことができます。ただし、ほかの表現と比べて重めの言葉のため、多用は控えるのがベター。普段は「よろしくお願いします」などのフレーズを使う方が適しています。
「よろしくお願いします」に対する答え方も例文でチェック
相手から「よろしくお願いします」という挨拶をされたら、理想的なお返事は?
「わかりました」
よろしくお願いしますの返事として使われる「わかりました」は、理解したことを伝える表現で、あらゆる場面で使われています。しかし、上司や取引先に対して使う場合には、「こちらこそ、よろしくお願いします」や「承知しました」「かしこまりました」と丁寧な表現の方が適しています。
「かしこまりました」
「わかりました」よりも、丁寧な表現が「かしこまりました」です。相手の言葉を肯定して、また従うことを意味しています。丁寧かつ自分を下に立たせる意味合いも含まれています。
会議や顧客と話すシーンなどでは、「かしこまりました」の方が適しています。場面に応じて使い分けられるよう、別の表現も身に付けましょう。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
こちらこそ、とは自分が相手と同じ意思を持っていることを肯定する返事です。この表現も「よろしくお願いします」と同じように、多くの人が返事として用いています。そのため、相手との距離を縮めるには非常に便利な返事と言えるのではないでしょうか?
「よろしくお願いします」を使う時の注意点
まず、相手と自分の関係について考えてみましょう。普段なにげなく使っている「よろしくお願いします」でも、それが全ての人にとってふさわしい挨拶とは限りません。自分と相手の距離感を考えた上で、適切な表現を選びましょう。
最後に
相手との関係性やシチュエーションを見極めた上で使いたい、「よろしくお願いします」という便利なフレーズ。些細な使い分けですが、できた方があなたの人生をより良くしてくれるかもしれません。
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