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この記事のサマリー
・「こちらこそよろしくお願いします」は謙譲語であり、正しい敬語表現です。
・目上の人に使う場合は、「ご指導のほどよろしくお願いいたします」などの言い換えが安心です。
・英語では“Likewise, thank you.” や “I appreciate it as well.” などの表現で言い換えができます。
職場の会話やビジネスメールでよく使う「こちらこそよろしくお願いします」という表現。相手から「よろしくお願いします」と言われた際の、返答として出てくるフレーズですが、「敬語として正しいのか?」「目上の人にも使っても大丈夫?」と不安に感じたことはありませんか?
この記事では、「こちらこそよろしくお願いします」が敬語として誤りではないのか、使い方や言い換え表現の選び方、さらには英語表現まで、さまざまな角度から解説します。
「こちらこそよろしくお願いします」の意味と構造
まずは「こちらこそよろしくお願いします」という表現について、敬語としての文章構造を確認していきましょう。
「こちらこそよろしくお願いします」の特徴
「こちらこそよろしくお願いします」は、2つの言葉から成り立っています。「こちらこそ」と「よろしくお願いします」に分けて考えると、敬語としての特徴が見えてきますよ。
まず、「こちらこそ」は、相手の言葉や行動に対して、「私のほうこそ」と返すときに使う言葉。
この「こそ」は、強調の役割を持つ助詞です。「今こそ行くべきだ」といった表現に使う他、相手に「ありがとうございます」と言われたとき、「いえ、こちらこそありがとうございます」と返す場面を思い浮かべるとわかりやすいでしょう。
一方の「よろしくお願いします」は、何かを頼むときや、相手に好意を示したいときに添える言い方です。「お〜する」で謙譲語となるので、「よろしくお願いします」は謙譲語です。
つまり、「こちらこそよろしくお願いします」は、相手への感謝や敬意を、丁寧に返すための表現といえます。へりくだりすぎず、相手と対等な関係で使える、適切な敬語のひとつといえます。

「こちらこそよろしくお願い申し上げします」は過剰?
「こちらこそよろしくお願い申し上げます」という表現も耳にすることがありますね。こちらは「過剰すぎるのでは?」と気になる人もいるかもしれません。
結論からいうと、「こちらこそよろしくお願い申し上げます」は、最も高度な謙譲語であり、正しい敬語表現です。
「お願い申し上げます」の「申し上げる」は「する」の謙譲語です。ですから、最も丁寧な言い方になりますよ。安心して使ってください。
「こちらこそよろしくお願いします」のフォーマルな言い換えとビジネスでの使い方
ここでは、「こちらこそよろしくお願いします」の言い換え表現と、実際のビジネスシーンで役立つ使い方を紹介します。
「今後ともご指導のほどよろしくお願いいたします」
目上の人に「こちらこそよろしくお願いします」と返すと、ややフランクに響いてしまうことがあります。そんなときに使えるのが、「今後ともご指導のほどよろしくお願いいたします」という表現です。自分が学ぶ立場であることを示しつつ、丁寧に気持ちを伝える言い方です。
そのほかにも、以下のようなフォーマルな言い換えが適しています。
例文
「引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます」
「末永くお付き合いのほどお願い申し上げます」
「ご丁寧にありがとうございます。引き続きよろしくお願いいたします」
相手から「よろしくお願いします」と言われたとき、何と返せばいいか迷うことはありませんか?
そのまま「こちらこそよろしくお願いします」と返しても間違いではありませんが、少し言葉を添えるだけで印象がやわらぎ、より丁寧なコミュニケーションが生まれます。
次のような言い回しを覚えておくと、自然な返答がしやすくなりますよ。
例文
「こちらこそ、今後ともよろしくお願いいたします」
「ご丁寧にありがとうございます。引き続きよろしくお願いいたします」
「恐縮です。どうぞよろしくお願いいたします」

「こちらこそよろしくお願いします」の英語表現
「シルブプレ」“s’il vous plaît”は、フランス語の「お願いします」の表現としてよく知られていますが、グローバルなやり取りが増える中で、「こちらこそよろしくお願いします」を伝える表現を知っておけば役に立つ場面が出てくるかもしれません。
ここでは、英語表現について見ていきましょう。
“Likewise, thank you.”(こちらこそ、ありがとう。)
“Likewise” は「同じく」「同様に」という意味の一語で、相手の言葉を受けて、対等な気持ちを返すときに使える表現です。
相手から丁寧なあいさつや感謝を受けた際に、“Likewise, thank you.” と返すことで、「こちらこそ、ありがとうございます」という気持ち伝えられますよ。
ビジネスでもカジュアルでも使える、バランスのいい言い回しです。
例文
A: “I look forward to working with you.”
(今後ご一緒できるのを楽しみにしています。)
B: “Likewise, thank you.”
(こちらこそ、ありがとう。)
参考:『ランダム英和大辞典』(小学館)
“I appreciate it as well.”(私の方こそ感謝しています。)
“as well”は、「~もまた」「と同様に」という意味を持ちます。“I appreciate it.” だけでも丁寧な感謝の表現ですが、「私も同じ気持ちです」「こちらこそ」といった意味の “as well” を添えることで、相手への気遣いがより強調されますよ。
例文
A: “It’s a pleasure to meet you.”
(お会いできて光栄です。)
B: “I appreciate it as well.”
(私の方こそ感謝しています。)
参考:『プログレッシブ ビジネス英語辞典』(小学館)

「こちらこそよろしくお願いします」に関するFAQ
ここでは、に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1.「こちらこそよろしくお願いします」は敬語として正しいですか?
A. はい、正しい敬語です。
Q2. ビジネスメールで使っても問題ありませんか?
A. 問題ありません。
ただし、取引先や上司に使う場合は、「今後ともご指導のほどよろしくお願いいたします」など、より丁寧な言い回しにすると印象がよくなるでしょう。
Q3. 返信に「こちらこそよろしくお願いします」とだけ書くのは失礼でしょうか?
A. 相手や文脈によりますが、ビジネスではやや素っ気ない印象を与えることもあります。
「ご丁寧にありがとうございます」「引き続きどうぞよろしくお願いいたします」など、もう一文添えることで柔らかさと誠意が伝わります。
最後に
「こちらこそよろしくお願いします」は、日常会話からビジネスメールまで幅広く使える便利なフレーズです。しかし、相手や場面に合わせて言葉を少し言い換えるだけで、より好印象なコミュニケーションが生まれます。
ビジネスでもプライベートでも、「こちらこそ」という一言に、丁寧な気持ちをのせて伝えてみてくださいね。
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