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「還付」とは、もとの持ち主に返すこと
年末調整や確定申告の時期になると、「還付」という言葉をよく目にしますよね。還付は、税金関連でよく使われていますが、正しい意味は知らないという人も多いでしょう。仕事をしていると必ず関係することですので、何を指すか把握しておきたいですね。
辞書で意味を確認
【還付】読み方:かんぷ
[名](スル)もとの持ち主に返すこと。特に、裁判所や行政機関が本来の所有者に返すこと。返還。「所得税の超過額を—する」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
還付がよく使われるのは、税金のことでしょう。たとえば、所得税を払い過ぎた場合は、年末調整や確定申告などを行なうことでお金が戻ってきますが、これを「還付」と言います。
また、裁判所などが押収した物を元の所有者へ返すことも「還付」と表現します。
還付金の意味もチェック
いったん納付や徴収した税金に、納め過ぎや減免などがあった場合、納税者に返される金銭のことを指します。読み方は「かんぷきん」。所得税を支払い過ぎていたり、予定納税額が多かったりした場合は、一定の手続きをすることで還付金を受け取ることができます。
還付という言葉の使い方
ここからは、還付という言葉の使い方を見ていきましょう。例文とあわせて紹介します。
《例文》年末調整で還付されたお金は、来年の納税用に貯金しておこう
年末調整や確定申告などでもらった還付金をどう使うか、悩む人もいるでしょう。持ち家の人は、還付金を翌年の固定資産税の支払に充てているということもあるかもしれませんね。
《例文2》確定申告をしたら、予想以上に還付金があってうれしかった
確定申告は自分で行ないますが、手続きが終わるまで追加納付になるかもしれないとドキドキするかもしれません。還付金があるのはうれしいことですが、会計処理が必要になりますので、忘れないようにしたいですね。
《例文3》裁判所に提出した戸籍の原本を返してもらうため、還付申請書を書いた
何かしらの事由があり、裁判所に戸籍謄本や除籍謄本などを提出する場合、一定の手続きをすることで、原本を還付してもらうことができます。その際に提出するのが還付申請書。あまりなじみのない書類ですが、相続の手続きなどで使用することがあるかもしれません。
参照:裁判所における戸籍謄本等の原本返却に関する注意事項 (courts.go.jp)
年末調整や確定申告で還付がある?
還付でよく知られているのが、所得税です。給与を受け取っている会社員は、年末調整をしますが、本来の額よりも納付した所得税額が多かった場合、「還付金」としてお金が戻ります。
給与所得者だけども医療費控除などがあるという場合や、自営業の人などは、確定申告をすることで還付されることもあります。
還付申告とは?
年末調整や確定申告をしたときに、次の要件が反映できなかった場合は、還付申告をすることで還付を受けることができます。
・住宅ローンでマイホームを取得または改修工事をした
・10万円以上の医療費を負担した
・火災や盗難等の被害を受け、損害が発生した
・政党など特定の団体へ寄付した
・特定支出控除の適用を受ける
・年の中途で退職し、再就職していない など
還付申告は、確定申告とは関係なく手続きをすることができます。また、5年前の納税分に遡って還付申告をすることも可能です。
ただし、青色申告控除を受けるなど、申告期限が定められている場合は、その期限内に手続きをしなければなりません。また、還付申告の対象とならない所得もありますので、事前に確認することをおすすめします。
参照:No.2030 還付申告|国税庁 (nta.go.jp)
還付金、いつもらえる?
年末調整や確定申告などで還付の対象になった場合、還付金はいつもらえるのでしょうか? それぞれのケースを紹介します。
年末調整の場合
年末調整で還付が生じた場合、その還付金をいつもらえるかは会社によって異なります。
《年末調整のスケジュール例》
11月頃:従業員に年末調整の書類を配布し、回収する
12月頃:経理や総務などの担当部署で、計算と確認を実施
翌年1月:管轄税務署に全従業員分の書類を提出
上記は、一般的な年末調整のスケジュールです。会社により多少の違いはあるかもしれませんが、多くの場合は、早ければ12月中、遅い場合でも翌年1月中に還付されるでしょう。
参照:三菱UFJ信託銀行|年末調整はいつ・いくら還付される?年末調整の仕組みや計算方法を解説!|気になるお金のアレコレ〜老後の資産形成・相続に向けて〜 (mufg.jp)
確定申告の場合
確定申告期間に手続きをした場合は、還付金をもらうまでに1か月から1か月半ほどかかると心得てください。納税システム「e-Tax」で確定申告を行なうと、もう少し早くもらえるとされています。
ただし、書類や手続きに間違いがあると、その分還付も遅れてしまうでしょう。申告の際は、内容をよく確認することが大切です。
還付との違いは? 似た言葉を紹介
還付と意味が似ていたり、漢字表記が似ていたりする言葉があります。還付との違いやそれぞれの意味を見ていきましょう。
「返金」
借りていた金銭を相手に返すことを表す言葉です。払い過ぎたお金を返してもらうという意味でも使われていますが、返金と還付では会計上の処理が異なります。
《例文》
・請求金額が間違っていたため、早急に返金手続きをとります
「返戻」
返したり戻したりすることを表す言葉です。基本的には、預かったものや借りたものを、持ち主に返す際に使うため、還付とは意味が異なると考えてください。
たとえば、民間の保険を解約した場合に戻るお金や、満期でもらうお金は「返戻金(へんれいきん)」と言います。この場合、還付金とは表現しませんので、注意してください。
《例文》
・生命保険を解約したところ、解約返戻金が思ったよりも多くて助かった
「還付金詐欺」に注意
最近よくニュースになるのが、還付金詐欺です。公務員などを装い、税金や保険料を還付すると連絡して、現金をだまし取るという行為が横行していますが、これはまぎれもなく詐欺行為になります。
税金や保険料の還付は、正当な手続きを経て行なわれるもの。電話やATMで還付されるということはありません。また、還付の手続きで現金を先に渡すこともないと考えてください。
還付の案内が来た場合、疑わしいと感じたり、不安を覚えたりしたら、まず該当の税務署や市町村役場に相談を。手続きも慎重に行なうようにしてくださいね。
参照:還付金詐欺 | 特殊詐欺の手口等紹介 | 警察庁・SOS47特殊詐欺対策ページ (npa.go.jp)
最後に
「還付」という言葉について紹介しました。あまり聞きなじみのない言葉ですが、税金や保険に関連してよく使われています。働く上で、納税は必ず必要になるもの。だからこそ、関連する言葉については、正しい意味を把握しておきたいですね。
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