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「斜向かい」の読み方と意味
小説やエッセイなどで、「斜向かい」という表現を見たことがある人は少なくないのではないでしょうか? 登場人物やものの位置関係を描写するシーンなどで、目にすることがあるかもしれません。他にも、不動産や建築に関連するテキストの中で、場所を示すために「斜向かい」という単語が登場することもあります。
しかし、そもそも「斜向かい」をどのように読むのか、正確にはどのようなことを指すのか、など疑問を持っている人もいるかもしれません。
そこで、この記事では、「斜向かい」の読み方や意味、例文での使い方、さらには類義語についても解説していきます。
読み方
まず、読み方について見ていきましょう。「斜向かい」は「はすむかい」と読みます。「斜」の漢字から「ななめむかい」と読むように見えますが、そうではないのです。文化庁の定める「常用漢字表」では、「斜」の漢字に割り当てられている音訓は「シャ」と「ななめ」で、「はす」がありません。そのため、「はす」という読み方にあまり馴染みがなく、「ななめむかい」と読むケースが考えられます。
意味
次に「斜向かい」の意味ですが、「斜めの前」という意味になります。「斜めの前」だということで、自分から見て右側の斜めの前も、左側の斜め前も「斜向かい」。一般的に、位置関係を示すために使われます。
「斜向かい」を使った例文
「斜向かい」を使った例文を見て、具体的にどのように使うのかを見ていきましょう。
1:「彼は私の斜向かいの席に座って、遠くを眺めていた」
自分から見て、相手が対角線上にある席に座っていることを意味しています。小説などでは、シーンの描写で、相手との物理的な位置関係を示すために、「斜向かい」が使われることもありますね。
2:「この住居の斜向かいに商店街があるため、お買い物やお食事に便利です」
住居の斜め前に、商店街があることを示しています。不動産などでは、建物の位置を示すために「斜向かい」という言葉を利用することも。
「斜向かい」の類義語
次に、「斜向かい」の類義語について確認します。
1:「筋向かい」
「筋向かい」は「すじむかい」と読みます。意味は、斜めに向かい合うことや、その場所のこと。「筋向かいに銀行がある」などと使います。
2:「筋違い」
「筋違い」の読みは「すじちがい」。あるものに対して、斜めの方向に位置することを意味します。「本屋の筋違いにレストランがある」「ここは筋違い交差点なので、直進ができない」などといったように使用します。
なお、「筋違い」には、斜め以外にも、「道理にそぐわない言動をすること」「見当違い」「急な動きによって、筋肉を痛めること」といった意味もありますよ。
「斜向かい」の英語での表現
「斜向かい」の英語表現についても、チェックしていきます。
「斜向かい」は、斜めに前にあるということなので、「diagonally(対角線的に、斜めに)」「diagonal(斜めの)」という単語が使えます。例文は、次のようなものです。
例文
・「The hotel is diagonally in front of me(ホテルは私の斜向かいにある)」
・「a house that stands diagonally across the street(通りの斜向かいにある家)」
・「draw a diagonal line(斜向かいに線を引く)」
他にも、「catty-cornered 」「cater-corner」「kitty-cornered 」といった表現もあります。どちらかといえば、口語的な表現です。
例文
・「The post office is catty-cornered to my house(郵便局は我が家の斜向かいにある)」
・「The bank is kitty-cornered to the park(銀行は公園の斜向かいにある)」
「斜向かいの隣」という表現について
「斜向かいの隣」と表現することがありますが、これは二つの意味に解釈することが可能です。
まず、「斜め前にある家の、さらに隣の家」という意味です。そして、もう一つは「斜め前の家(あるいはそこに住んでいる住人)」という意味。次のような例文となります。
例文
・「斜向かいの隣のおばさんから、いちごを受け取った」
・「斜向かいの隣に、この島では唯一となるカフェがオープンした」
どちらの意味であるかは、テキストだけでは判断が難しいかもしれません。話している状況などを考慮して、どちらかの意味であるかを判断する必要があるでしょう。
斜向かいに座るメリットについて
打ち合わせなどで席に座る時に、相手に対して斜向かいに座ることがあるかもしれません。なぜ、斜向かいに座るのでしょうか?
座る位置から、他者に対する関係性や距離感を読み取ることができるでしょう。斜向かいに座ることによって、お互いの顔を正面から直視することがありません。また、並んで座るよりも適度に距離がありますね。
よって、お互いにリラックスした状態で向き合うことが可能です。緊張感なく、かつ親密すぎることもなく、適度な距離感で話す際に合理的であるとされています。斜向かいではなく、テーブルの角を挟んで斜めに座ることもありますが、これは「90度法」と呼ばれるものです。
取引先との打ち合わせや、プライベートなどで人と会う時などは、どこを座るかを研究してみるのもいいかもしれません。
最後に
「斜向かい」は、斜め前の位置関係を表現するために用いられる表現です。小説や不動産関連などで、位置の表現に使われます。また、読み方が「はすむかい」であり、「ななめむかい」だと思っていた人も少なくないのではないでしょうか?
この記事で「斜向かい」に対する理解を深めて、日常生活に役立ててみてください。
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