「已己巳己」は何と読む?
「已己巳己」という言葉があるのをご存じですか? パッと見ると、何かの記号にも見えてしまう「已己巳己」ですが、辞書にも掲載されている四字熟語です。
本記事では「已己巳己」について、意味や由来、使い方などを調べてみました。不可解にも思えるこの言葉について、一緒に見ていきましょう。まずは、辞書の意味から紹介しますね。
意味と読み方
已己巳己
読み方:いこみき
(已・己・巳と、それぞれの字形が似ているところから)互いに似ているものをたとえていう語。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「已己巳己」は、すべてが同じ漢字が並んでいるように見えますが、実は違います。二番目と四番目の漢字は同じですが、一番目と三番目は違うんですよ。それぞれの読み方と意味を見ていきましょう。
已(い):やむ・すでに・ある時や所を起点としてそれより
己(こ):おのれ・自分
巳(み):十二支の六番目・南南東(方角の名)・蛇など
それぞれの漢字を凝視すると、違いがわかるかもしれません。この四字熟語がおもしろいのは、それぞれの漢字の意味は関係せず、「字形が似ている」ということが意味になっていること。あまり見ないタイプの四字熟語といえるでしょう。
由来
「已己巳己」の由来は、現時点ではわかっていません。ただ、江戸時代後期の俳諧『柳多留(やなぎだる)』(1833)に登場しますので、この時点で存在していたことがわかっています。
「已己巳己」の使い方
「已己巳己」の使い方について見ていきましょう。「已己巳己」は幅広い対象に使える言葉です。
どんな場面で使う?
似ているものや人について話す際に、「已己巳己」を使うといいですね。人はもちろん、物に対しても使えます。
言い回しとしては、「已己巳己のようだ」「已己巳己となる」が多いかもしれません。
例文
「已己巳己」を使った例文を見ていきましょう。
《例文》
・夫と息子は見た目が似ている。特に後ろ姿は已己巳己である
・友人には年子の子供がいるが、顔だけでなく体つきも同じなので已己巳己だと思った
・已己巳己といえば、パンジーとビオラだろう。いまだに見分けがつかないよ
・俳優のAと歌手のBは已己巳己のように雰囲気が似ている
・当社のロングセラー商品と已己巳己のような商品が競合他社から発売されたそうだ
例文は、いずれもよく似ていることを表しています。
「已己巳己」の類語
ここからは、「已己巳己」の類語を見ていきましょう。4つの言葉を紹介します。
「大同小異」
「大同小異」とは、小さな違いはあっても、大体が同じであることを意味する言葉。「だいどうしょうい」と読みます。「大同小異の〜」というように使うことが多いでしょう。
《例文》提案されたのは大同小異なプランばかりだったので、がっかりした
「似たり寄ったり」
互いに優劣・差異などがほとんどないことや、そのさまを表す「似たり寄ったり」は、なじみのある言葉かもしれません。「似たり寄ったりだ」という使い方をします。
《例文》彼のつくる作品は魅力的だが、どれも似たり寄ったりで、私には違いがわからない
「画一的」
「画一的」とは、何もかも一様で、個性や特徴のないさまを表す言葉。「かくいつてき」と読みます。「画一的な〜」という使い方をすることが多いでしょう。
《例文》マネジメント力を高めるには、部下に画一的な考え方を押し付けないことが前提となる
「均一」
質や量などがどれも一様であることや、そのさまを表す「均一」は「きんいつ」と読みます。「均一の〜」「均一になる」のように用いられている言葉です。
《例文》さまざまな話し合いを重ねた結果、新サービスは均一料金にすることにしました
「已己巳己」の対義語
「已己巳己」の対義語についても紹介します。「相違」「不一致」の意味を見ていきましょう。
「相違」
二つのものの間に違いがあることを表す「相違」は、「已己巳己」の対義語といえるでしょう。「そうい」と読みます。「相違がある」「相違する」のように使われています。
《例文》事実と相違があると訴えたが、聞き入れてもらうことはできなかった
「不一致」
ぴったりと合わないことや、一致しないことを表します。読み方は「ふいっち」。「〜の不一致」と使うことが多いでしょう。
《例文》どうして別れたのといろんな人に聞かれるけれど、一言では説明できないから、性格の不一致ということにしています
二文字目と四文字目が同じ四字熟語
「已己巳己」のように、二文字目と四文字目が同じという四字熟語は他にもあります。いくつかピックアップしましたので、見ていきましょう。よく知られている言葉が多いですよ。
「以心伝心(いしんでんしん)」
「以心伝心」とは、無言のうちに心が通じ合うことを表す言葉。もとは仏教の用語で、言葉や文字を借りず、師の心から弟子の心に伝えることを意味します。主に禅宗で用いる言葉です。
「右往左往」(うおうさおう)
うろたえて、あっちへ行ったりこっちへ来たりすることを表すのが「右往左往」。あわてふためき、混乱している様子を表す際に用いる言葉です。
「一切合切」(いっさいがっさい)
残らず、すべて、全然などを意味するのが「一切合切」です。同じ意味を表す「一切」「合切」を重ねて使い、意味を強めています。「一切合切〜しない」「一切合切が〜」のように使われています。
「海千山千」(うみせんやません)
「海千山千」は、世間の経験を多く積み、物事の裏表を知り抜いていて悪賢いことを表す言葉。また、そのような人を指す場合にも使います。したたかで悪知恵の働く人に用いることが多いでしょう。「海千山千の〜」と使います。
「残念無念」(ざんねんむねん)
とても悔しいことを強めていう語が「残念無念」。「残念」「無念」は同じような意味合いの言葉です。「残念無念だ」のように用いることが多いでしょう。
日常的に使っている四字熟語には、ユニークなものがたくさんあります。気が向いたらチェックしてみるとおもしろいかもしれません。
最後に
「已己巳己」について、意味や読み方、使い方などを紹介しました。一見すると同じ漢字ばかりが並ぶように見える四字熟語ですが、実は3つの漢字が使われています。ユニークな意味を持ちますが、漢字が似ているので、書き間違いや変換ミスに注意したいですね。
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