「2人は、未来永劫愛し続けることを誓った」というように使われる、「未来永劫」という言葉。聞いたことはあるものの、実際に使ったことはない方が多いはず。祝いの席で今後の決意を述べる際に使われることもあるため、正しい意味を押さえておきたいですね。
本記事では、「未来永劫」の意味や使い方、類語、英語表現を解説します。
「未来永劫」の意味
「未来永劫」は基本的に「みらいえいごう」ですが、「みらいようごう」と読むこともあります。意味を辞書で確認してみましょう。
これから先、無限に長い年月にわたること。みらいようごう。「戦争の苦しみを―忘れない」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「永劫」は、長い時間の単位を指します。また、「未来永劫」は、副詞的にも用いられることもあり、「永遠に」という意味を表します。四字熟語ということもあり、類語である「永遠」や「永久」に比べて重々しい響きがありますね。
使い方を例文でチェック!
「未来永劫」は、祝いの席でのスピーチや固い決意を述べる際などに使われます。ここでは、主な例を3つみていきましょう。
1:2人は結婚式で、お互いのことを未来永劫愛し続けると誓った。
「未来永劫」は結婚式などの祝いの席で、誓いの言葉を述べる時などに使います。これからもずっと愛し続けるということですね。「永遠に」や「永久に」などと言い換えることもできるでしょう。
2:未来永劫、このご恩は忘れません。
ある人から、窮地を救ってもらったり、命を救われたという時に、このようにお礼を述べることもあるでしょう。ただ、会社でちょっとしたミスを許してくれたというような時に使うのは、少々オーバーかもしれません。使用するのに適切かどうか、判断することが大切です。
3:戦争の惨劇を未来永劫忘れないように、記念碑が建てられた。
「未来永劫忘れない」というフレーズも使われますね。戦争で多くの建物が崩壊し、命が失われた惨劇は決して忘れてはなりません。平和への教訓として、記念碑を建てたり次世代に語り継ぐなどして、戦争の悲惨さを正しく伝えていくことも必要でしょう。
類語や言い換え表現は?
果てしなく長い時間を表す言葉に、「未来永永」「生生世世」「久遠」などがあります。あまり馴染みのない四字熟語もありますので、この機会に意味を覚えてみてください。
1:未来永永
「未来永永」は、「みらいようよう」または「みらいえいえい」と読みます。未来永久にわたることを意味し、副詞的にも用いて「これから先永久に」と表現することもできます。「時間が長く続く」という意味を持つ「永」の字が2つ重ねられていることからも、非常に長い時間であることがわかりますね。
(例文)
・この平和は、未来永永続くものかと思われた。
2:生生世世
「生生世世」は、「しょうじょうせぜ」と読みます。意味は以下の通りです。
《「しょうじょうせせ」とも》生まれ変わり死に変わって経る多くの世。未来永劫(みらいえいごう)。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「―国主大名などに再びとは生まれまじきぞ」〈菊池寛・忠直卿行状記〉
「生生世世」は仏語で、生まれ変わりを繰り返す多くの世を指します。人が生まれ変わり死に変わりを繰り返して多くの世を経験することですね。「しょうじょうよよ」と読むこともあります。
(例文)
・このご恩は、生生世世忘れません。
3:久遠
「久遠(くおん)」の意味は以下の通りです。
《「きゅうえん」とも》
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
1 仏語。長く久しいこと。遠い過去または未来。
2 ある事柄がいつまでも続くこと。永遠。「―の理想」
「久遠」も仏語で、文字通り久しく遠いことを指します。現在から見て遠い未来、または遠い未来のことですね。
(例文)
・その王宮は、久遠に栄えた。
4:悠久
「悠久(ゆうきゅう)」の意味は以下の通りです。
[名・形動]果てしなく長く続くこと。長く久しいこと。また、そのさま。「―の歴史」「―な(の)大自然」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
遠い過去から遠い未来まで果て無く続くことを「悠久」と言います。「人類の悠久の歴史」というように、長く続く時代や歴史について語る際に用いられることが多いですね。人類の謎に迫るドキュメンタリー番組などを見ると、はるか昔の歴史に思いを馳せて、気が遠くなることもあるでしょう。
(例文)
・その遺跡を訪れて、悠久3千年の歴史を感じた。
英語表現は?
英語で、「永遠」や「未来永劫」を伝えるにはどのような単語を使えばいいのでしょうか? 使える単語を3つ紹介します。
1:forever
「forever」は、「永遠に」「永久に」という意味。「永遠」という意味がありますが、日常的な文脈で広く使われることが多いですね。「last forever」で、「永遠に続く」と表現できます。
(例文)
・I swear to love her forever.(永遠に彼女を愛し続けることを誓います)
2:eternal
「eternal」は、「永遠の」「永久の」という意味。形容詞なので、名詞の前につけることで、「eternal life(永遠の命)」「eternal city(永遠の都)」などと表現することもできますね。
(例文)
・They pledged their eternal love.(2人は永遠の愛を誓った)
3:forevermore
「forevermore」は、「永久に」「未来永劫に」という意味。「forever」に、「much」の比較級である「more」をつけることで意味を強調しています。
(例文)
・I will forevermore be indebted to you for your help.(未来永劫、あなたが助けてくれたご恩は忘れません)
最後に
「未来永劫」とは、「これから先、無限に長い年月にわたること」。大事な場面で今後の抱負を述べる際に使用することで、硬い決意であることが伝えられるでしょう。一方で、使う場を間違えると、やや大げさに聞こえてしまうことも。ここぞという大事な場面で使うようにすると、「未来永劫」が持つ深い意味合いが際立つでしょう。
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