大きな目標が目の前にあるとき、私たちはときに圧倒されてしまうことがあります。そんなときに勇気を与えてくれるのが、古くから伝わることわざ「千里の道も一歩から」です。
この言葉が持つ深い意味と由来を知ることで、地道な努力が成功への道を開く鍵になると感じられることでしょう。
この記事では、「千里の道も一歩から」の意味や由来、例文や類義語について紹介します。あなたを勇気づける言葉の一つとなるかもしれません。ぜひ、ご一読ください。
「千里の道も一歩から」の意味と由来は?
まずは正確な意味と由来から見ていきましょう。
意味
まずは、辞書で意味を確認しました。
千里(せんり)の道(みち)も一歩(いっぽ)から
遠い旅路も第一歩から始まる。どんな大事業も手近なところから始まることのたとえ。千里の道も一歩より起こる。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
長い道のりや大きな目標も、最初の一歩から始まるという意味だとわかりましたね。このことわざは、「物事を成し遂げるためには、一歩一歩の積み重ねが大切だ」と教えてくれています。
由来
この言葉は、春秋戦国時代の楚の思想家・老子(ろうし)に由来します。『老子‐六四』の中の「合抱之木生於毫末、九層之台起於累土、千里之行始於足下」です。古くは後の2句が対で用いられていたようですが、ことわざとしては末尾の一句のみが定着しました。
「千里の道も一歩から」の例文を紹介
「千里の道も一歩から」という言葉は具体的にどのように使ったらいいでしょうか? 例文とともに確認していきましょう。
1:いきなり大谷翔平選手みたいにはなれないけど、千里の道も一歩から、日々の練習を積み重ねよう。
目標を大きく持つのは、いいことですね。大きな夢を叶えるために必要なのは、やはり地道な努力。着実にステップアップを目指すときの発言例です。
2:大きな成果を得たいのであれば、まずは行動だよ。千里の道も一歩からというからね。
目標を達成するには、行動あるのみです。例文では、「まずは始めてみよう」と勇気づける言葉として使われています。
3:初心者だから失敗もあるさ。千里の道も一歩からというし、じっくり取り組んでいこう。
この例文では、失敗したときの励ましの言葉として「千里の道も一歩から」を使っています。たとえそのときは成果を得られなかったとしても、学びに変えれば前に進めます。失敗すらも糧として、成長したいですね。
「千里の道も一歩から」の類義語
「千里の道も一歩からの類義語は何だ!?」と聞かれたら、すぐに思い浮かびますか? ここでは5つの類義語を紹介します。
1:百里(ひゃくり)の道も一足(ひとあし)から
千里が百里に変わりましたが、見るからに類語だとわかりますね。遠い旅も第一歩から始まることを表しています。
2:千里の行(こう)も足下(そっか)に始まる
こちらの表現の方が、より由来に忠実でしょう。意味は同じく、どんなに大きな事業でも手近なところから始まるというたとえとして用いられます。
3:ローマは一日にして成らず
「Rome was not built in a day.」の訳語です。西洋古代最大の帝国であったローマ帝国も、一日でできたわけではありません。ローマ帝国もはじめは都市国家に過ぎませんでした。大ローマ帝国は、700年にも及ぶ長い年月と、多くの人が力を尽くしたことで成立したのです。
長い間の努力なしに、大事業は完成しないというたとえとして使われます。
4:雨垂(あまだ)れ石を穿(うが)つ
雨垂れが長い時間をかければ石に穴をあけるように、小さなことでも根気強く続けていれば、必ず実を結ぶという意味です。「点滴石を穿つ」ともいいます。
この言葉は中国の歴史書『漢書』の「枚乗伝(ばいじょうでん)」にある「泰山(たいざん)の霤(あまだれ)は石を穿つ」に由来します。元々は、「どんな小さなことでもそれが積み重なると、いずれは大きな災いをもたらす」というネガティブな意味で使われていました。しかし、現在ではポジティブな意味で使われています。
5:きゅうじんの山も一簣(いっき)の土より功を成す
見慣れない言葉が並び、とっつきにくい感じのする言葉ですね。わかりやすく説明すると、「大変高い築山でも、最初はもっこ一杯の土から始まる」ということを表しています。
「大きな業績をあげるためには、地道な努力を重ねるべきだ」という意味です。
「千里の道も一歩から」の英語表現は?
「千里の道も一歩から」を表す英語表現はあるのでしょうか? 調べてみました。
1:Great(Tall) oaks from little acorns grow.
「オークの大木も小さなドングリから」ということわざです。「acorn」はドングリを意味します。「千里の道も一歩から」と同様の意味になりますね。
2:He who would climb the ladder must begin at the bottom.
「はしごに上ろうとすれば、最下段から始めなければならない」という、こちらもことわざです。「ladder」ははしごを表します。
英語でも同じようなことわざがあるというのは、興味深いですね。
最後に
「千里の道も一歩から」という言葉は、私たちを励まし、前に進むための勇気を与えてくれます。いにしえの人々の知恵が詰まったことわざの力をあらためて感じました。大きな夢や目標に向かって進むためには、一歩一歩の積み重ねが大切です。目標が遠く感じられるときには、この言葉を思い出してみてください。きっと、あなたの背中を押してくれるはずですよ。
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