落花流水とは?
落花流水は「らっかりゅうすい」と読み、物事の衰えや別離など、さまざまな意味を持つ言葉です。
ここでは、複数ある落花流水の意味を紹介します。
さまざまな意味がある
落花流水は、花が散り、水は流れ去るという去り行く春の風情を表しています。これが転じて、物事が衰えゆくことや、時間がむなしく過ぎ去ることを表す言葉です。
また、散る花が流れる様子を恋愛にたとえる場合も。落ちた花が水に従って流れる様子が「気持ちがお互いに通じ合っている」ようにみえることから、相思相愛の状態にあるという意味で使われます。その一方で、落花流水は別離のたとえに使われる場合もあるため、使用する際には注意が必要です。
らっか‐りゅうすい
出典:小学館 デジタル大辞泉
1 散る花と流れる水。
2 《花が流水に散れば、水もこれを受け入れ花を浮かせて流れてゆく意》男に女を慕う心があれば、女もまた情が生じて男を受け入れるということ。
「落花有意・流水無情」との違い
落花流水と似た言葉に「落花有意・流水無情」があります。花が落ちても流れる水には影響しない様子を表しており、これが転じて、一方に思いがあっても他方には通じないという意味があります。
おもに恋愛の場面で使用される言葉で、片思いの状態を表現している言葉です。文字だけみると落花流水に似ていますが、意味はまったく異なります。
落花流水の例文
落花流水の使い方について、いくつかの例文をみながら確認していきましょう。
・川辺に咲き誇る桜が流れる川に舞い散る光景は、まさしく落花流水を絵に描いたようだ
・落花流水の思いがあれば、恋愛を成就させることもできるはずだ
・桜が咲いてあっという間に散っていく風景をみると、物事の衰える様子を表すという落花流水の意味がよくわかるね
・夫婦は何年経っても、落花流水の情を大切にしていこうと誓い合った
・最近は物事の移り変わりが早く、毎日が目まぐるしく過ぎていく。落花流水とはこのことだ
・2人は落花流水のように惹かれ合い、将来は結婚することを約束している
・毎日仕事で忙しく、落花流水のように時間が過ぎていく
落花流水と同じく風景をたとえた四字熟語
落花流水のように、風景をたとえにした四字熟語は少なくありません。おもに、次の四字熟語が挙げられます。
・晴雲秋月(せいうんしゅうげつ)
・鏡花水月(きょうかすいげつ)
・高山流水(こうざんりゅうすい)
それぞれの意味や例文を紹介します。
晴雲秋月
晴雲秋月とは、心に汚れがなく、澄みとおっているという意味の四字熟語です。「晴雲」は晴れた空に浮かぶ白雲のことで、「秋月」は秋の澄んだ空にかかる月を表しています。
秋晴れで澄んだ空に月が浮かぶ情景をたとえに、純粋で汚れのない心を表す言葉です。心がきれいな人をポジティブに表現するときに使います。
〈例文〉
・彼女は人の悪口を言わず、誰に対しても優しく接している。晴雲秋月を絵に描いたような人だ
・物事を冷静に判断するには、晴雲秋月の心を持ち続けることが大切だ
鏡花水月
鏡花水月とは、鏡に映った美しい花と、水に映った美しい月をたとえに、目には見えるが実際には手に取ることのできないものを表す言葉です。ほかに、感じ取れても言葉で説明できない奥深い趣きという意味もあります。
「鏡花水月法」という表現方法もあり、その物事をあからさまに説明せずにその姿をありありと思い浮かべさせるという方法です。
〈例文〉
・この小説には鏡花水月のように奥の深い味わいがあり、読み終えたあとも余韻に浸っている
・美術展に展示されている陶器は、鏡花水月のごとく繊細で趣きのある作品だった
高山流水
高山流水とは、素晴らしい音楽の演奏をたとえた四字熟語です。また、自分を理解してくれる親友という意味もあり「そのような親友は容易には得られない」という意味のたとえに使われることもあります。
言葉の由来は、中国の書物「列子(れっし)(湯問篇)」です。古代中国で、琴の名手である伯牙(はくが)が高山や流水を思いながら琴を奏でていると、それを聴いた友人は高山や流水の情景を感じ取ることができたということです。友人が亡くなると、伯牙は琴を打ち割り弦を断ち切って、その後は琴を弾くことがありませんでした。
〈例文〉
・その音楽家の演奏はまさしく高山流水で、多くの人に感銘を与えた
・彼は幼い頃から親しくしている友人で、誰かに紹介するときは高山流水の親友であると説明している
落花流水の意味・読み方を覚えよう
落花流水は、散る花びらが水に流されていく様子を表す言葉です。その情景をたとえに、物事の衰えゆく様子や移り変わり、別離、男女の相思相愛の感情などを表現します。
同じく風景をたとえに人の感情や物事の様子を表す四字熟語は多く、一緒に覚えておくと語彙力を増やすことができるでしょう。
ぜひこの機会に落花流水の意味を覚え、適した場面で使ってみてください。
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