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「水は方円の器に従う」の意味
「水は方円の器に従う(みずはほうえんのうつわにしたがう)」は、人は置かれた環境や立場、状況によって、良くも悪くも変化するという意味のことわざです。
「方円の器」を「入物」とし、「水は入物に従う(みずはいれものにしたがう)」と言い表すこともあります。
よい環境に恵まれれば、人はおのずと善い行いに目を向けるようになるでしょう。反対に、悪人に囲まれると悪に染まりやすいなど、人の善悪は環境に左右されやすいことを説いた言葉です。
水は方円の器に随う
出典:小学館 デジタル大辞泉
水は、容器の形によって、四角にも丸くもなる。人は、交友関係や環境によって、よくも悪くもなるというたとえ。
「水は方円の器に従う」の由来
「水は方円の器に従う」の意味は、器によって形を変える水の姿に由来します。
そもそも「方円」とは、四角と丸のことです。水は四角い器に入れれば四角く、丸い器に入れると丸い形状へと変化たように見えます。
中国の詩人・白居易の詩の一節である「意志を持たない水は、入れ物が四角いか丸いかによって形を変え、岸につないでいない舟は、吹いたり止んだりする風のままに動いていく」が由来だとされています。
参考:小学館 故事成語を知る辞典

「水は方円の器に従う」の使い方
「水は方円の器に従う」は、「人の考えや行動は環境に左右される」というニュアンスで使用できます。ここでは、ビジネスや日常生活での活用例をみていきましょう。
・新しいチームになってから、彼女の活躍は目覚ましいものがある。水は方円の器に従うというが、周囲から良い刺激を受けているのかもしれない
・同僚が、退職者が続く部署へ異動になると聞いた。彼女に限って問題はないと思うが、水は方円の器に従うというし、少し心配だ
・水は方円の器に従うというし、物事がうまくいかないときは、環境を変えてみるのも1つの方法だよ
「水は方円の器に従う」に似たことわざ
以下のことわざは、「水は方円の器に従う」と似た意味をもちます。
・朱に交われば赤くなる
・善悪は友による
・麻の中の蓬
そもそも「ことわざ」は、古くからの教えや知恵などを短く言い表したものです。日常会話では、考えを端的に伝えたいときに役立ちます。

「朱に交われば赤くなる」
「朱に交われば赤くなる(しゅにまじわればあかくなる)」には、「人の善悪は付き合う友人で左右される」という意味があります。「水は方円の器に従う」と同じニュアンスで使えることわざです。
「朱」は顔料のことで、古くは絵具や漆の着色料として用いられていました。ほんのわずかな量で周囲を赤く染めてしまうことから、その影響力の強さを、周囲に影響を及ぼす友人にたとえています。
日常会話では「悪い方向に感化される」というニュアンスで使われるケースも。意図せぬ流れにならないよう、使用時は前後の文脈に気を付けましょう。
・やる気のない人たちに囲まれていたら、なんだか頑張るのがバカらしくなってきた。朱に交われば赤くなるとは、こういうことかもしれない
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「善悪は友による」
「善悪は友による(ぜんあくはともによる)」も、人は付き合う友人によって、善人にも悪人にもなることを意味します。
環境による影響を含む「水は方円の器に従う」に対し、「善悪は友による」は、友人の影響にフォーカスしている点が大きな違いといえるでしょう。
・最近、母が「善悪は友による」とよく言っていたことを思い出す。忙しい日々のなか、大切な時間を誰と過ごすべきか、もう一度よく考えたい
「麻の中の蓬」
「麻の中の蓬(あさのなかのよもぎ)」は、「善良な人と関われば、人は善人になる」というポジティブな側面に目を向けたことわざです。
本来は曲がりやすい蓬が、まっすぐ育つ麻のなかでは、曲がらずに伸びるさまを表しています。
・優秀な人たちと過ごすうちに、自分も成長できたような気がする。いつか先輩が言っていた「麻の中の蓬」を実感する毎日だ
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「水」にまつわるその他のことわざ
人々の生活に欠かせない「水」は、古くから多くのことわざに用いられてきました。
日常会話で使えるよう、ここでは正しい意味と具体例を紹介します。

「水魚の交わり」
「水魚の交わり(すいぎょのまじわり)」は、水と魚の関係を、離れられない親密な交友にたとえたものです。
中国の三国時代に活躍した劉備(りゅうび)が、軍師・諸葛孔明(しょかつこうめい)と自分との間柄を示した言葉として知られています。
・学生時代から多くの苦楽を共にしてきた友人は、水魚の交わりといえる存在だ
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「雨垂れ石を穿つ」
「雨垂れ石を穿つ(あまだれいしをうがつ)」は、努力の大切さを説いたことわざです。
ポツンポツンと落ち続け、やがて石に穴を開ける雨だれの姿を、小さな努力が成功につながるさまにたとえています。
・長年続けてきた研究が、ついに世界から評価された。雨垂れ石を穿つとは、まさにこのことだ
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「蛙の面へ水」
「蛙の面へ水(かえるのつらへみず)」は、顔に水がかかっても気にしない蛙のように、どんな仕打ちもこたえないさまを表します。
おもに「恥知らず」や「無神経」のようなニュアンスで使われることわざです。
・彼は何度遅刻を注意しても、一向に反省の気配がない。蛙の面に水とは、まさにこのことだ
「水は方円の器に従う」を会話に取り入れよう
「水は方円の器に従う」は、水を人の姿にたとえたことわざです。注ぐ器に沿って水が姿を変えるように、人の善悪も環境次第だと説いています。
似た意味のことわざには「朱に交われば赤くなる」や「善悪は友による」などがあります。「朱に交われば赤くなる」は悪いイメージで使われることもあるため、その場に応じた使い分けを意識したいところ。
「水」に関係するフレーズも含め、古くから伝わることわざを日常会話に取り入れ、会話の幅を広げましょう。
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