「適当な人」の特徴

「適当」という言葉には本来「ちょうどよい」や「ほどよく合っている」といった肯定的な意味があります。しかし現代の日常会話では「いい加減」や「真剣さが足りない」という悪いニュアンスで使われる機会が多いのも事実。
まずは、まわりから「あの人、適当な人だよね」と言われがちなタイプの特徴をまとめます。
♦︎物事を深く考えずに行動する
計画的に物事を進めるのが苦手な傾向が強く、思いつきやその場のノリで動き、後先を考えずに行動してしまうことも。
たとえば「まあなんとかなるでしょ」と事前準備を怠った結果として仕事でミスを連発したり、約束を忘れて相手を困らせてしまったりする場合もあるでしょう。
本人は「悪気なく」やっているつもりでも、周囲からは「軽率」や「考えが浅い」と受け取られてしまいがちです。
♦︎責任感が薄いように見える
自分の言動に対して責任を取る意識が希薄に映り、問題が起きても「まあ、しょうがないね」と流してしまいがち。
仕事でミスをしたときには、謝るよりも先に「自分だけのせいじゃない」と言い訳をしたり、何かを頼まれても「できたらやる」と曖昧な返答をしたりします。
仕事上のチーム内では信頼を得にくく「あの人に任せると不安」と思われてしまうことも…。
♦︎“その場しのぎ”の対応が多い
問題の本質に向き合わずに「とりあえず今だけ何とかする」対応をしてしまい、周りは“その場しのぎ”の印象を抱きます。
たとえば、質問をされたときに適当に答えておいて後で困ったり、仕事のミスをごまかしてそのまま放置したりして、トラブルが大きくなることも…。
本人が一時的には「うまく逃げた」ように思っていても、時間が経つほどに信頼は失われ、問題が大きくなって自分に返ってきがちでもあります。
♦︎言うことがコロコロ変わる
昨日言っていたことと今日言っていることが全く違うなど、言動に一貫性がないのも適当な人によく見られる特徴です。
本人には悪気があるわけではなく、単純に覚えていなかったり考えが変わっただけだったり、あるいはその場の雰囲気で合わせただけだったり… という場合も多いのですが、積み重なるにつれて周りからは「信用できない人」と見なされてしまいます。
適当な人が周囲に与える影響は?

「適当な人」がまわりに与える影響には、ポジティブなものもネガティブなものも両方あります。
♦︎雰囲気を和らげるムードメーカーになれる
細かいことを気にしない性格のおかげで、ピリピリした空気を和らげてくれる存在になることも。
たとえば、会議中の緊張感のある場面でも冗談を交えたり「まあ、なんとかなるでしょ」といった一言で場を軽くしたりといった行動が、結果的に職場やグループの「空気をほぐす潤滑油」のように作用する場合も少なくありません。
♦︎他人の欠点に寛容な雰囲気がつくられる
適当な人は自分が適当であるぶん、他人にもあまり厳しくしない傾向があります。
仕事のミスや失敗に対しても「そんなこともあるよね〜」と笑って受け流す姿勢が、周囲の人にとっては安心材料になる可能性もあるでしょう。
本人が周囲からは「気楽に付き合える存在」として受け入れられやすいだけでなく、職場全体の雰囲気が和らぎ、他人の欠点やミスに寛容な雰囲気がつくられるメリットも期待できます。
♦︎周囲に無用なフォローの負担をかける
「やるべきことを忘れていた」「中途半端に終わらせた」「説明を聞いていなかった」などの行動が重なると、他の人が尻拭いをする羽目になりがちです。
本人は気にしていない様子だったとしても、周りは「なんで私がカバーしないといけないの?」とストレスや不満を感じやすくなってしまいがち。そのうちに、業務への負担感で不公平だと不満が出始めるリスクもあります。
♦︎組織やチーム全体の士気が下がる
適当な人のマイペースな言動が許されていると「ちゃんとやってる人が損をする」という空気が生まれやすくなる傾向も。和やかな職場になる一方で、だらしなさが常態化していくリスクは低くありません。
たとえば「あの人は遅刻しても怒られない」「締切を守らなくても平気」といった事例が増えると、他の人のやる気や公平感を損なう恐れがあります。責任あるポジションにいる人が適当だと、組織全体の信頼性にも影響を及ぼしかねません。
職場にいる「適当な人」と上手に付き合う方法

職場にいる「適当な人」との上手なお付き合いの方法は?
業務への悪い影響を最小限にしながら、波風を立てずに付き合っていくポイントを解説します。
♦︎本人への期待値を調整する
適当な性格はまず変わらないことから「この人はこういうタイプ」と割り切って接していきましょう。
余計なイライラを減らすことができ、心の平穏にもつながります。
適当なタイプには細かいことを任せない、確認をこまめに取るなど、こちら側の関わり方にも工夫を取り入れると、仕事への悪影響も減らせます。
♦︎責任の所在は最初に明確にする
適当な人とのやり取りでは、あとから責任の所在がうやむやになってトラブルになってしまうことも。そこで、仕事上の関わりをもつ際には最初から責任の所在を明確にして関わるようにしてみましょう。
曖昧な約束や指示では誤解を生みやすいので、できるだけ具体的に「何を・いつまでに・どうするか」を確認し合い、口頭だけでなく文章でも残すようにしておくといいでしょう。
♦︎頼りにしすぎない
大事な場面で大きなトラブルを起こさないためには、少し冷たいかもしれませんが、適当な人を頼りすぎないよう割り切ることも必要です。
役割や重要度に応じて、他のメンバーとのバランスを取るようにして、適当なことをされたとしても被害が大きくならないように備えておきましょう。
「適当さ」はときに長所にもなる
真面目すぎる人ばかりでは、組織や人間関係は硬直してしまう傾向もあるのは否めません。職場やビジネスシーンでは、ときに適当な人の“いい意味でのゆるさ”が必要とされることもあります。
肝心なのは、“ゆるさ”のバランス。周囲に迷惑をかけない範囲で緩急をつけられる人は、むしろその「適当力」が強みになる時代でもあります。
「マイペース」と思われがちな適当さも、視点を変えれば長所となる場合もあるのではないでしょうか。
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並木まき
ライター、時短美容家、メンタル心理カウンセラー。企業研修や新人研修に講師として数多く携わっている。シドニー育ちの東京都出身。28歳から市川市議会議員を2期務め政治家を引退。数多くの人生相談に携わった経験や20代から見てきた魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様を活かし、Webメディアなどに執筆。