「ですので」という言葉、誰しも一度が使ったことがある言葉だと思います。しかしながら、当たり前のように使っていた言葉の使い方が、実は間違いだった、なんてことは避けたいですよね。この記事を通して、「ですので」の意味と注意点を知り、正しい使い方を身につけましょう。
「ですので」はどんな意味?
「ですので」は、「なので」を丁寧に表現した言葉です。分解して見ていくと、「です」は断定をあらわす助動詞、そして、「ので」は根拠をあらわす接続助詞となります。「ですので」は、前の文で述べたことが、後の文で述べることの理由をあらわす表現。「だから」や「ですから」と同じような意味になります。
「ですので」を使うときの注意点
「ですので」は、文と文の間に使うので、文頭では使いません。例えば、「ですので、ご報告いたしました通り…」というように、会議や打ち合わせのシーンで唐突に使うのは適していません。こんな風に説明されると、相手はどう感じるでしょうか。責められているようで、いい気分にはなりませんよね。
「ですので」は、丁寧な表現ではありますが、ビジネスにおいて、上司や取引先など目上の人に使う時には、注意してください。
使い方を例文でチェック!
「ですので」は、具体的にどのように使うのでしょうか。使い方を3つ紹介します。この機会に「ですので」の使い方を押さえておきましょう。ポイントは「前の文で述べたことが、後の文で述べることの理由をあらわす」ことです。
1:天候が悪いよう「ですので」、気をつけてお越しください。
日常生活やビジネスにおいて、接客応対で使います。他にも、電話の応対などでも使えますよ。「天候が悪いので」と言うより、やわらかいニュアンスになりますね。「ですので」と、表現を丁寧にすることで、相手への気遣いがより感じられます。
2:時間がかかりそう「ですので」、あらためてご連絡差し上げます。
特にビジネスにおいて、電話対応で使える一例になります。ただ、このままでは、少し冷たい感じにとられてしまうかもしれません。「ですので」の後に、「申し訳ありませんが」と添えると、親切な対応になりますよ。
3:ここからは立ち入り禁止「ですので」、あちらからお入りください。
会社の催しやイベント会場など、実際の接客場面において使うこともできます。来場者やお客様の間違った行動を、正しい行動に導くのは、とても気をつかいますよね。言い方を間違うと、さらなるトラブルを招くことも。正しい言葉づかいを覚えて、スマートな対応を心がけましょう。
「ですので」の言い換え表現とは?
「ですので」について、近い意味をもつ言葉があります。ぜひ、この機会にさまざまな表現を覚えておきましょう。
1:ですから
「ですから」は「だから」の丁寧な表現です。「ですので」と同じような意味合いがあります。「ですので」は、文と文の間に使う言葉ですが、「ですから」は文頭にも使えます。「来週が納期です。ですから、今週中に確認してください」という表現です。
ただし、相手に与える言葉の印象が強いので、使う場合には要注意。ビジネスシーンにおいては相手との関係性にくれぐれも配慮してくださいね。
2:したがって
「したがって」は、前の文の結果によって、後の文の事象が起こることを表します。「このお店は人気がある。したがって、予約が取れない」というように使うことができますよ。「したがって」は少し硬い表現になり、主に書き言葉で使われることが多いです。ビジネス文書や論文、レポートに使われる表現と言えるでしょう。
3:そのため
「電車が遅れました。そのため、会社に遅刻しました」と表現します。前の文の内容を踏まえて、後の文で結果を説明する場合に使います。ちなみに、文頭でも使用可能です。「ですので」は、話し言葉として使いますが、「そのため」は書き言葉で使います。メールや書類などの文章にも使えるので、日頃から使い分けできるように理解しておきましょう。
4:ゆえに
「ゆえに」は前の文の内容を理由として、後の文の結果が導かれる場合に使います。「彼は皆勤だった。ゆえに、表彰された」などと使うことが可能です。また、「ゆえに」を強調した、「それゆえに」もあります。例えば、「彼女は上司から引き留められた。それゆえに、退職を留まった」という使い方ができますよ。
しかしながら、今では日常会話において、「ゆえに」や「それゆえに」を耳にすることはあまりありません。
「ですので」の英語表現とは?
「ですので」と似たニュアンスを持つ英語表現を紹介します。よく使われる表現であることから、英語の言い回しもマスターしておきましょう。
今回は「because」、「so」、「therefore」をチェックします。「because」と「so」は少しカジュアルな表現、「therefore」はビジネスで使うフォーマルな表現です。
1:because
日本語に訳すと「なぜなら」「~なので」。「because」を使う場合は、「because」の前の文に結果、後の文に理由がきます。
She is practicing her dance hard because she wants to pass the audition.(彼女はオーディションに受かりたいので、一生懸命ダンスの練習をしている)
2:so
日本語に訳すと、「そのように」「なので」。「so」を使う場合は、「so」の前の文に理由、後の文に結果がきます。
He worked harder than anyone else, so he was promoted to manager.(彼は誰よりも働いたので、マネージャーに昇格しました)
3:therefore
日本語に訳すと、「それゆえに」「したがって」。「therefore」は、前の文に書かれている内容の結果を、後の文で伝えます。
Her singing voice won people’s hearts. Therefore, she became very popular in the world.(彼女の歌声は人々の心をつかんだ。したがって、彼女は世界で大人気になった)
最後に
「ですので」の注意点や、使い方は理解できましたか? 話し言葉としては使えますが、書き言葉として使うことは避けてくださいね。
ビジネスにおいては、適切な言葉の表現を使いこなすことが、とても大切です。正しい言葉づかいができれば、相手との信頼関係を築くこともでき、信用度もアップしますよ。普段から使う言葉だからこそ、正しい知識を身につけておきたいですね。
TOP画像/(c)Shutterstock.com