「最近あの人、なんだか様子が変わった気がする」そう感じるとき、ふと思い浮かぶのが「天狗になっているのでは?」という言い回しです。「天狗になる」という言葉は、よく使われますが、改めてその意味を聞かれると戸惑うこともありますよね。
この記事では、「天狗になる」の意味や使い方、「天狗になった人」とは周囲にどのように映るのかを一緒に紐解いてみましょう。
「天狗になる」とは? 意味と由来をチェック
なんとなく使っている、「天狗になる」という言葉。まずは、意味から見ていきましょう。

「天狗になる」とは? 意味を確認
「天狗になる」という表現の意味を、辞書で確認してみましょう。
天狗(てんぐ)にな・る
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
いい気になって自慢する。得意になる。うぬぼれる。「少しほめると、すぐ―・る」
ちょっとした成功や周囲の称賛をきっかけに、本人が気づかないうちに態度が大きくなることってありますよね。本人には悪気がないことも多いため、周囲との受け取り方にズレが生じやすいのかもしれません。
職場の「天狗さん」あるある|特徴と末路は…?
働いているとたまに見かける、「天狗になる人」。そんな人の特徴を掘り下げてみましょう。

天狗になる人の特徴
大きな成果を出した直後などに、どこか態度が変わる人っていますよね? いつもなら親身に返してくれたアドバイスが、どこか上から目線に感じられたり、ほんの少しの言い回しや表情の違いが、思いがけず相手との距離を生むこともあるかもしれません。そうした変化に気づいたとき、なんとも言えないモヤモヤを抱える方も少なくないようです。
そうした態度の積み重ねによって、「あの人は天狗になっている」と言われてしまうのかもしれませんね。
天狗になる人の末路
自信と過信は、紙一重かもしれません。うぬぼれの意識は、本人には見えにくいものですし、むしろそれが魅力と思っていることさえあるもの…。ただ、その変化を周囲は敏感に察知するものです。
最初は応援してくれていた人が、あるときから少しずつ距離を取りはじめる。そうして、気づかないうちにぽつんと取り残された感覚を味わうことがあるかもしれませんね。これは一度の言動で決まるものではなく、積み重なった「違和感」が、少しずつ人とのあいだに線を引いていってしまうのです。
「天狗になる」を言い換えると?|類語を紹介
「天狗になる」という言い方が少しきつく感じる場面では、もう少しやわらかい言葉に言い換えて伝えることもできますね。ここでは、似た意味を持つ言葉をいくつか紹介していきましょう。
「うぬぼれる」
何かを達成したときに、「私はすごい」と思い込んでしまうことってありますよね。「うぬぼれる」は、そうした気持ちの高ぶりを指す言葉。自分に自信を持つのは悪いことではありませんが、その気持ちが空回りしてしまうと、少し鼻についてしまいます。
「思い上がる」
「思い上がる」は、「うぬぼれる」とよく似た言葉ですが、少し強めの響きがあります。自分を実力以上に高く見積もってしまい、周囲が見えなくなるような状態を表すときに使われることが多いでしょう。態度や発言に、どこかつけ上がっていると感じられたときに、こう形容されます。
「図に乗る」
気分がよくなって、その勢いのままふるまいが大きくなることを「図に乗る」と言います。例えば、褒められたことをきっかけに、ちょっと調子に乗ってしまったときに使われる表現ですね。日常会話でもよく耳にする、くだけた印象の言葉です。

英語表現は?
英語でも「天狗になる」に近い感覚を伝える言葉があります。
例えば、 “vain” は、外見や才能、実績などを必要以上に誇るような、少しうぬぼれた様子を表すことができる英単語です。どこか自信過剰に見えてしまうときに使われることが多いですよ。
“He’s getting a bit vain since his big promotion.”
(昇進してからちょっと天狗になっている気がする。)
というように表現することができます。
日本語の「天狗になる」とまったく同じ意味ではありませんが、「なんだか最近ちょっと得意げだな」という空気感は、こうした英語表現でも伝えられますよ。
最後に
「天狗になる」という言葉は、誰かを責める意図だけでなく、自分自身への戒めとしても使われます。何かを成し遂げた後、ちょっとだけいい気になってしまうことは誰にでもあるでしょう。
けれど、その気持ちに気づけたときこそ、新たなスタートができるのではないでしょうか。自分にも、周囲の人々にも、温かなまなざしを向けながら、毎日を過ごしていきたいですね。
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