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2025.02.27

「鰻の寝床」は細長い場所の例え│使い方や住まいにまつわることわざもチェック

「鰻の寝床」とは、狭く細長い場所のことの例えです。おもに、鰻(うなぎ)が暮らす場所のように、間口が狭く奥行きが長い間取りを表します。本記事では、「鰻の寝床」の意味や使用例を紹介。住まいに関することわざの情報も、ぜひ参考にしてください。

「鰻の寝床」の意味とは

「鰻の寝床」(うなぎのねどこ)とは、細長い場所や建物のことです。

川に住む鰻は、岩場の狭い場所を好む習性があります。また、鰻の巣は入り口こそ狭いものの、奥に長く続くことが特徴です。

「鰻の寝床」は、間口が狭く奥に長い形状を、このような鰻の巣に例えたことわざです。「鰻の寝床」のような土地や建物は、京都や大阪に多い傾向が見られます。

うなぎ‐の‐ねどこ
間口が狭くて奥行きの深い建物や場所のたとえ。

出典:小学館 デジタル大辞泉

「鰻の寝床」を使った例文

「鰻の寝床」は、建物や土地、部屋などの形を言い表す言葉です。日常会話では、以下のように活用できます。

  • 新しくできたカフェは鰻の寝床のようだったが、大きな窓から太陽光が降り注ぎ、とても心地よく過ごせた
  • 古くからある和食店は、入り口は狭いが奥は広い、鰻の寝床のような店舗だ
  • 鰻の寝床と呼ばれる土地は奥行きがあり、工夫次第で空間を有効活用できる
  • 「鰻の寝床だけど」と招かれた友人の新居は、入り口から奥にかけて生活動線を意識した、とてもすてきな住まいだった

「鰻の寝床」のような住まいに関することわざ

「鰻の寝床」のような住まいに関することわざには、さまざまな種類があります。

  • うだつが上がらない
  • 豆腐にかすがい
  • 壁に耳あり障子に目あり
  • 二階から目薬
  • 埒があかない

どれも「うだつ」や「かすがい」「障子」など、建物にまつわる言葉を使ったことわざです。ここでは、それぞれの正しい意味について掘り下げていきます。

本
(c) Adobe Stock

「うだつが上がらない」

「うだつが上がらない」とは、地位や生活が向上しないことです。漢字では、「卯建」または「梲」と書きます。

「うだつ」は屋根や壁に関係する言葉で、2つの意味があります。1つは、妻(つま)と呼ばれる屋根の側面にある梁(はり)の上に立てられた、棟木(むなぎ)を受ける短い柱のことです。

家を建てることを「棟上げ」(むねあげ)と呼びますが、棟木を上げるためには「うだつ」が必要です。大工の間では棟上げをすることを「うだつを上げる」と呼び、転じて志を遂げることを指すようになったとか。

「うだつ」のもう1つの意味は、江戸時代の住宅に設けられていた防護壁のことです。隣家に火が燃え移るのを防ぐための防火壁は、設置に費用がかかり、位の高い家しか設けられませんでした。

そのため「うだつが上がる」という形で、立身出世を表す言葉として使うようになったといわれています。

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「豆腐にかすがい」

「豆腐にかすがい」とは、働きかけに関する手ごたえが感じられないことです。「かすがい」は漢字で「鎹」と書き、両端が曲がった大きな釘を意味します。

かすがいには材木をつなぐ役割がありますが、豆腐のようなやわらかなものに打ち込んでも、何の手ごたえも得られません。同じような意味をもつことわざには、「糠に釘」が挙げられます。

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「壁に耳あり障子に目あり」

「壁に耳あり障子に目あり」は、秘密を隠し切れないことを表すことわざです。隠し事をしても、どこで誰が見たり聞いたりしているかわからない、という意味があります。

かつての日本家屋は、障子が設けられているのが一般的でした。また、壁は薄い砂壁だったといいます。

薄い壁は、耳を当てれば声が聞こえます。和紙でできた障子は、指で穴を開け中を覗かれてしまうかもしれません。

「壁に耳あり障子に目あり」には、隠し事や悪口は、隠し切れないものだという教えが込められています。

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「二階から目薬」

遠回りで効果がないことは、「二階から目薬」と言い表します。二階から下にいる人に目薬をさそうとしても、なかなかうまくはいきません。転じて、物事がまわりくどく、効果が得られないことを意味するようになりました。

また「二階から目薬」は、江戸中期に上方(かみかた)で生まれた「上方いろはかるた」に登場します。江戸いろはかるたより歴史が古い「上方いろはかるた」には、「仏の顔も三度」、「地獄の沙汰も金次第」などのことわざも確認できます。

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「埒があかない」

「埒があかない」は、物事が進展しないことや決着がつかないことを意味します。「埒」とは、家の囲いや馬場の柵のことです。

かつて「埒が明かない」は、「埒があく」という肯定的な形で使われていました。由来は、京都の上賀茂神社で開催される競べ馬(くらべうま)の埒です。

その年の豊作を占う競べ馬では、行事が無事終了したタイミングで埒が外されました。転じて、物事のかたがつくことを「埒があく」と呼ぶようになったといいます。

現在は「このまま話し合いを続けても埒があかない」のように、否定的なニュアンスで用いられる傾向にあります。

「鰻の寝床」のような「鰻」に関する言葉

「鰻の寝床」のように「鰻」に関する言葉には、「鰻上り」(うなぎのぼり)があります。「鰻上り」とは、気温や物価などが急激に上昇することです。

鰻は、手でつかもうとすると、上へ上へとからだを伸ばします。また、川をまっすぐと上へ泳いでいく姿が言葉の由来です。

日常会話では、「人気が鰻上りだ」「鰻上りに出世した」のように活用できます。

上向きの矢印を支えているビジネスパーソンのイラスト
(c)AdobeStock

「鰻の寝床」という語句を日常生活で正しく使おう

「鰻の寝床」は、入り口が狭く奥に長い土地や住まいを表す言葉です。狭い場所を好む、鰻の習性に由来しています。

また、「うだつが上がらない」や「豆腐にかすがい」なども、住まいに関することわざです。

ことわざを知ると、古くからの知恵や教訓を身につけられます。「鰻の寝床」をきっかけに、それぞれの語句に慣れ親しんでいきましょう。

メイン・アイキャッチ画像:(c)Adobe Stock

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