不撓不屈とは?
不撓不屈は「ふとうふくつ」と読む四字熟語です。ここでは、不撓不屈の意味や言葉の由来を解説します。
どんな困難や苦労にもくじけないこと
不撓不屈とは、強い意志をもって、どんな苦労や困難にもくじけずに立ち向かうという意味です。「撓」には、「たわむ」「まがる」「屈服する」などの意味があり、「屈」は「くじける」という意味です。どちらにも打ち消しの「不」をつけることで、何事にも屈しないという強い決意を表しています。
不撓不屈は、座右の銘として用いられることの多い言葉です。目的を成し遂げるまであきらめないという強い意志を表す言葉として、アスリートや政治家など多くの人が行動の指針としています。
ふとう‐ふくつ
出典:小学館 デジタル大辞泉
どんな困難にあっても決して心がくじけないこと。「—の精神」
言葉の由来
不撓不屈は、中国の古書「二十五史」のひとつである「漢書」が由来とされています。漢書では「楽昌」という人物の性格について「篤実(情が厚く誠実)で、決してくじけずあきらめることはない」と語られています。
この記述から、「不撓不屈」は何が合っても諦めない強い意志を表す言葉として使われるようになったようです。
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不撓不屈の使い方・例文
不撓不屈は、実際にどのような使い方をするのでしょうか。ここでは、不撓不屈の例文を紹介します。
- 彼はまったく業務の異なる部署に配属されたが、新しい職場でも不撓不屈の精神で取り組みたいと考えている
- 彼は不撓不屈を座右の銘にして努力を重ね、チームリーダーに抜擢された
- プロジェクトは困難の連続だったが、メンバーは不撓不屈の努力により成功を勝ち取った
- A社は倒産の危機を乗り越えて上場を果たしており、経営者は不撓不屈の人物といわれている
- 困難なことにぶつかるとすぐにあきらめてしまう人が多いが、目標を達成するためには不撓不屈の精神が欠かせない
- トラブルが発生してイベントが中止になりそうだったが、彼は不撓不屈の活躍をして最後までやり遂げた
不撓不屈の類義語・言い換え表現
不撓不屈には、次のような類義語や言い換え表現が挙げられます。
- 堅忍不抜(けんにんふばつ)
- 七転八起(しちてんはっき)
- 百折不撓(ひゃくせつふとう)
いずれも強い意志で何事にもくじけないという意味で、不撓不屈とよく似た言葉です。
それぞれの意味を詳しく解説します。
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堅忍不抜
堅忍不抜とは、どのようなことにも心を動かさず、じっと我慢して耐え忍ぶという意味です。
「堅忍」とは意志が強く、我慢強いという意味があります。「不抜」は固くて抜けないという意味です。これらを組み合わせ、意志が強く何があっても心を動かさないことを表した言葉です。
〈例文〉
- 彼は一度起業に失敗していたが、堅忍不抜の精神で新たな事業を開始した
- 彼女は堅忍不抜を座右の銘にしており、どんな困難にも負けない決意をしている
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七転八起
七転八起とは、何度失敗してもくじけず、立ち上がって努力することを表す四字熟語です。また、人生は浮き沈みが激しいということのたとえとして使うこともあります。
〈例文〉
- 彼は七転八起の人生で多くの失敗をしているが、その度に成長を遂げてきた
- プロジェクトは目標の数字に届かないという結果に終わったが、この経験を活かし、七転八起の精神で次回は成功させたい
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百折不撓
百折不撓とは、何度失敗しても、くじけずに立ち上がるという意味です。「百折」は何度も折れるという意味で、不撓不屈と同じ「不撓」がついて「何度折れても決して屈しない」ということを表します。
不撓不屈と同様、座右の銘にされることの多い言葉です。
〈例文〉
- 百折不撓の精神があれば、どんな困難にも立ち向かえるだろう
- 大きな失敗をして落ち込んでいたとき、先輩から贈られた「百折不撓」という言葉に励まされた
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不撓不屈の対義語
不撓不屈と対照的な表現には、次のようなものがあります。
- 付和雷同(ふわらいどう)
- 優柔不断(ゆうじゅうふだん)
いずれも、自分のしっかりした考えがなく、他人に同調しやすいという意味の言葉です。強い意志を持つ不撓不屈とは反対の言葉といえるでしょう。
それぞれの意味を解説します。
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付和雷同
付和雷同とは、自分にしっかりとした考えがなく、他人の言動にすぐ同調するという意味です。
「付和」とは自分の考えを持たないことで、「雷同」は雷が鳴ると周りのものもそれに応じて響くという意味です。これらの言葉を組み合わせ、他人の意見に簡単に同調することを意味します。「雷同付和」と書くこともあり、意味は同じです。
〈例文〉
- あの社員は、会議のたびに多数意見に付和雷同しており、まったく自分の意見や主張がない
- 人の意見に付和雷同ばかりしていないで、しっかりと自分の考えを持つべきだ
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優柔不断
優柔不断とは、いつまでも決断できず、迷ってばかりいることです。何かを決めるのに時間がかかりすぎる性格や状態のことを指します。
優柔不断は慎重に考えることでもあり、必ずしも悪いことではありません。しかし、ビジネスで優柔不断になると、仕事が遅くなったりチャンスを逃したりするなど、不都合な点も少なくないでしょう。
〈例文〉
- 彼は何事もすぐに決断できず、優柔不断な人だと指摘されている
- 優柔不断な性格を改善するため、仕事の優先順位をつけて早くこなすようにしている
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不撓不屈は座右の銘にもなる言葉
不撓不屈は強い意志でどんな困難にもくじけないことで、座右の銘にされることも多い言葉です。「堅忍不抜」や「七転八起」「百折不撓」といった類義語があり、一緒に覚えて使い分けるとよいでしょう。対義語には、「付和雷同」「優柔不断」があげられます。
不撓不屈の精神はビジネスでも役に立つため、理解を深めておくとよいでしょう。
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