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ビジネスシーンで直面する困難や挑戦に、どう立ち向かうべきか考えたことはありませんか? 「堅忍不抜(けんにんふばつ)」という言葉は、そんな厳しい状況に対して強い精神力を持ち続ける姿勢を表す四字熟語です。
この記事では、この言葉の意味や由来、使い方について紹介します。似た意味を持つ「臥薪嘗胆」との違いも確認していきましょう。
「堅忍不抜」の読み方と意味は? 由来もチェック
現代のビジネスシーンで求められるのは、困難を乗り越える強い精神力です。「堅忍不抜」という言葉は、その精神を表す重要な四字熟語の一つ。今回は、この言葉の読み方や意味、由来をわかりやすく紹介します。
読み方と意味
「堅忍不抜」は、「けんにんふばつ」と読みます。辞書で意味を確認しましょう。
けんにん‐ふばつ【堅忍不抜】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
つらいことも耐え忍んで、どんな困難にも心を動かさないこと。「―の態度」
「どんな困難にも屈せず、堅く忍耐すること」を意味することがわかりました。ビジネスの場でも、強い意志と粘り強さが求められる場面においてよく使われる言葉です。
「堅忍不抜」の由来
「堅忍不抜」の由来は、中国北宋時代の書家、蘇軾(そしょく)が記した『晁錯論(ちょうそろん)』だといわれています。この中で「大きな事業を成し遂げる者は、才能だけでなく、堅忍不抜の強い意志を持つことが必要だ」と記されています。
この言葉は、古代中国の英雄や賢者たちに引用され、どんな困難にも屈せず、目標に向かって揺るがない精神の重要性を伝えています。現代でも多くのリーダーや成功者が、この言葉を信条としていますよ。
どんな場面で、どのように使う? 具体的な例文でチェック
「堅忍不抜」は、具体的にどのような場面で使われるのでしょうか? ここでは、具体的なビジネスシーンでの使用例を挙げますので参考にしてください。
1:逆境に立ち向かう強さを表現する場合
ビジネスの世界では、予想外の問題や大きな失敗に直面することがあります。こうした困難な状況に直面したときに重要なのが、「堅忍不抜」の精神です。簡単にあきらめず、強い意志を持って問題解決に向けて進む姿勢を表します。
例文:彼はプロジェクトの失敗にも負けず、堅忍不抜の精神で新たな目標に挑み続けた。
2:忍耐を持ち続けて目標に挑む場合
長期的な目標を達成するまでの道のりには、計画通りに進まないことや予期しない障害に直面することがあります。こうした長期間にわたる挑戦では、「堅忍不抜」の精神が求められます。短期的な成果が出なくても、強い意志を持ち続け、焦らず一歩ずつ進むことが重要です。
例:彼女は堅忍不抜の精神で、数年越しのプロジェクトを無事に成功させた。
3:リーダーシップとしての精神力を強調する場合
リーダーには、どんな状況でも冷静に判断し、困難に直面しても揺るがない精神力が必要です。「堅忍不抜」という言葉は、リーダーの強い姿勢を表現するのに最適でしょう。
例:彼の堅忍不抜なリーダーシップが、チームを困難から救い出した。
「堅忍不抜」と「臥薪嘗胆」の違いとは?
似たような意味を持つ「臥薪嘗胆(がしんしょうたん)」。意味の違いはあるのでしょうか? 確認していきましょう。
臥薪嘗胆の意味と使い方
「臥薪嘗胆」の意味を辞書で確認しましょう。
がしん‐しょうたん〔グワシンシヤウタン〕【×臥薪×嘗胆】
『デジタル大辞泉』(小学館)より一部抜粋
[名](スル)《「史記」越王勾践世家にある故事から》復讐(ふくしゅう)を心に誓って辛苦すること。また、目的を遂げるために苦心し、努力を重ねること。
「臥薪嘗胆」は『史記』に登場する越王勾践(こうせん)の故事に由来する四字熟語。復讐や大きな目標を達成するために苦労や辛苦を耐え忍び、努力を続けることを意味することだとわかりました。
堅忍不抜との違い
「堅忍不抜」と「臥薪嘗胆」は、どちらも困難に耐え忍ぶ姿勢を表す四字熟語ですが、その意味合いには違いがあります。
「堅忍不抜」は、辛いことに対して強い意志を持ち、どんな困難にも屈せず心を動かさない姿勢を指します。一方、「臥薪嘗胆」は、復讐や大きな目標のために、苦労を乗り越えて努力を続けることを意味します。
つまり、「堅忍不抜」は揺るがない精神を強調し、「臥薪嘗胆」は目標達成のために苦労を耐え忍ぶことに焦点を当てているといえるでしょう。
類語や言い換え表現にはどのようなものがある?
「堅忍不抜」に似た表現や類語を覚えておくと、状況に応じて的確に使い分けることができます。ここでは、代表的な類語をいくつかご紹介します。
1:堅忍持久(けんにんじきゅう)
困難に耐えながらも、長期間粘り強く取り組むことを意味します。
2:不撓不屈(ふとうふくつ)
どんな困難にも屈せず、心がくじけないことを表す四字熟語です。
3:百折不撓(ひゃくせつふとう)
何度も失敗しても、そのたびに立ち上がり、志を曲げないことを意味します。
「堅忍不抜」を英語で表現すると?
「堅忍不抜」は英語で「perseverance」や「invincible fortitude」と表現されます。
「invincible」は「不屈の、揺るぎない」という意味。「fortitude」は「(困難・逆境・危険・誘惑に直面しての)不屈の精神」という意味を持ちます。
「堅忍不抜」の精神|有名な事例や人物
「堅忍不抜」の言葉が広く知られるようになったきっかけは、若乃花ではないでしょうか。若乃花が横綱昇進の際(1998年)に「横綱として堅忍不抜の精神で精進していきます」と口上を述べたことで有名になりました。
最後に
「堅忍不抜」の精神は、現代のビジネスシーンにおいても非常に重要です。困難に直面したとしても諦めず、忍耐強く取り組む姿勢が成功へとつながります。弱気になってしまった時には、この四字熟語が示す強い意志を思い出してみてください。あなたに勇気をくれるかもしれませんよ。
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