非認知能力とは?
近年、注目されている「非認知能力」は、子供の頃に大きく発達するといわれています。実は、就職活動や様々な職業において、非認知能力が重視されはじめたのをご存じですか?
今回の記事では、非認知能力について概要などを紹介します。この記事で、はじめてこの言葉を知った人や、社会人として成長したいと考える人は、ぜひ内容をチェックしてください。
まずは、非認知能力が何を指すのか見ていきましょう。
非認知能力って?
2021年、経済協力開発機構(OECD)は社会情動的スキル(非認知能力)を次のように定義しています。
・目標の達成(がんばる力、自己抑制、目標への情熱)
・感情のコントロール(自尊心、楽観性、自信)
・協働性(共感性、協調性)
・開放性(好奇心、創造性)
・他者とのかかわり(社交性、積極性)
・複合的な能力(批判的思考、自己効力感)
非認知能力は、学力テストなどで測ることができない能力です。これらの能力は、人生において心身の健康や経済的な安定といった、幸せに生きるための基盤をなすものであり、人生を生き抜く力を指すといえるでしょう。
参照:ベネッセ教育総合研究所|『社会情動的スキル—学びに向かう力』の紹介
非認知能力は幼少期に育まれる
非認知能力が注目されるようになったきっかけは、シカゴ大学(アメリカ)のジェームズ・ヘックマン教授による研究からです。幼児期に受けた教育は社会的成功に大きな影響力を持ち、特に非認知能力は影響を与えると結論づけたのです。
文部科学省は、主に4〜5歳の幼児期に非認知能力が大きく発達し、学童期や思春期に伸びるとしています。幼児期にふさわしい体験をすることで、非認知スキルを身につけることができるということです。
参照:中央教育審議会 初等中等教育分科会 幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会 ―第2回会議までの主な意見等の整理―
認知能力との違い
人間には2つの能力があり、1つが非認知能力、もう1つが「認知能力」です。認知能力は、知的な力を指し、知識や技能、思考力といった、学力テストやIQテストで数値化できるものを指します。
非認知能力と認知能力は、相互に関連し合い、支え合いながら育まれます。認知能力を高めるには、非認知能力を鍛える必要があるということです。
非認知能力は、キャリア面でも重視される
非認知能力は、社会人のキャリア教育でも重視されています。社会人基礎力の1つと考えるケースもあるんですよ。
社会人基礎力とは
社会人基礎力とは、社会で活躍するために不可欠な3つの能力と12の能力要素を指します。2006年に経済産業省によって提唱されました。
【社会人基礎力】
・前に踏み出す力(主体性、働きかけ力、実行力)
・考え抜く力(課題発見力、計画力、想像力)
・チームで働く力(発信力、傾聴力、柔軟性、状況把握力、規律性、ストレスコントロール力)
社会人基礎力に、多くの非認知能力が含まれるのがわかりますね。社会人基礎力は、年齢を重ねることで求められるもの。生涯、磨き続ける必要があるといえます。
参照:経済産業省|社会人基礎力
就活でも重視される傾向にある
実は、非認知能力は就職活動でも重視されています。入社試験の内容に、プレゼンテーションやグループディスカッションを取り入れる企業が増えました。企業はこれらを通して、非認知能力を確かめているといえるでしょう。
社会に出ると、立場の異なるさまざまな人と協力しながら、仕事に取り組むことになります。それができないと、成果を出すことはできません。いくら認知能力が高くても、非認知能力が低ければ、戦力にはならないと企業が判断しているといえます。就職活動においても、非認知能力は今後さらに重視されるでしょう。
非認知能力が高い人が社会に出ると?
非認知能力が高い人には、次のような特徴があります。
・目標を達成できる
・セルフコントロールができる
・他者と協力できる
・時代や状況の変化に対応できる
・好奇心を持ってアイデアを生み出せる
・プレッシャーやストレスの多い状態でも冷静に行動できる
・必要があれば、批判することもできる など
このような特徴を持つ人が、社会で活躍できないはずがありません。周囲が驚くほどの活躍をする可能性はきわめて高いといえるでしょう。
大人が非認知能力を高めるには?
非認知能力は幼少期に大きく育まれるとされますが、大人であっても非認知能力を高めたいと思う方もいるでしょう。どうすれば非認知能力を習得できるのでしょうか?
まずは、自分を知る
非認知能力を高めるためには、まず自分のことを知ることが先決です。自分の言動の振り返りを行い、改善ポイントを見出してみましょう。
感情のコントロールや自制心、忍耐力、協調性、コミュニケーション力は、大人のほうが高めやすいとする説もあります。上述した非認知能力と社会人基礎力の内容を参考にしながら、セルフチェックしてみてください。
課題を改善する
課題を見つけたら、具体的な改善策を考えてみましょう。たとえば「〜すべき」と考えがちなら、思い込みが強く、自分にも他人にも厳しくなりがちなのかもしれません。その可能性を踏まえ、柔軟に考えることを意識すると、それだけで徐々に言動が変わるでしょう。
また、自分が「こうなりたい」「こういう人になりたい」というイメージを持つのも重要です。理想を意識することで、意識や価値観はおのずと変化するでしょう。
他人の助言を受け入れる
非認知能力を高めるには、他人の助言を受け入れることも大切です。自分の思い癖や行動パターンは、自分よりも他人のほうがよく知っているものです。他人の助言は、客観的な自分の姿を知る大切な手がかりといえるでしょう。
助言の内容によっては、よくない感情を抱くかもしれません。しかし、素直に助言を受け入れることができれば、さらに成長できるはずです。
趣味でも鍛えられる
非認知能力は、趣味の場でも鍛えることができます。たとえば、トレーニングやダイエットなどは、目標達成力や感情をコントロールする力を高めることができます。また、趣味を通して人とかかわることで、他者とのかかわりや協働性、開放性を高めることもできるでしょう。
最後に
「非認知能力」について紹介しました。学歴や学力を重視することが減り、非認知能力を持つ人材を必要とする傾向が強まっています。今後はさらに、大人も学ぶ姿勢を持ち続けることが求められるでしょう。さまざまなことを学びながら、自分の能力を存分に発揮したいですね。
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