監査って?
職場で「監査」という言葉を見聞きする機会は多いでしょう。監査が近づくと忙しさを増す部署もありますよね。今回は監査について、種類や必要性などを調べました。実は監査にはさまざまな種類があるんですよ。まずは、監査という言葉の意味を紹介します。
意味
監査の意味を辞書で調べました。
【監査】
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
1:監督し検査すること。
2:特に、会計監査・業務監査のこと。→法定監査 →任意監査
ビジネスシーンでは、企業などの活動について監督し検査することを「監査」といいます。
監査の種類を紹介:監査対象別
監査にはさまざまな種類があります。辞書に出てきた会計監査や業務監査などは、監査の対象によって分類されたものです。それ以外に、内部監査や外部監査と呼ばれる、監査を実施する人の立場によって分類されたものもあります。
ここからは、監査の種類を見ていきましょう。まずは、監査対象別に監査の種類を紹介します。
業務監査
監査の対象:
・会計業務以外の、購買や生産、物流、販売といったすべての業務
・組織や制度に対する監査 など
監査する人:
・内部の監査責任者
・内部監査員
・取締役の業務監査は監査役
取締役が行う業務監査は、その業務が法律に従って行われているか、また効率的かどうかを確認するために行われます。また、連結対象の子会社や海外事業部も、業務監査の対象です。場合によっては、外部委託している業務が対象になることもあります。
会計監査
監査の対象:企業などの会計業務
監査する人:会計監査人(公認会計士・監査法人・監査人など)
企業の会計記録や会計処理、財務諸表などに不正がないか、適切に処理されているかを調べます。それについて会計監査人は意見を表明しますが、これにより、投資家などのステークホルダー(株主、債権者、投資家、取引先など)は、企業の財務情報を信頼できます。
監査の種類を紹介:立場別
次は、監査をする人の立場別に分類した監査の種類を紹介します。
内部監査とは
監査人:企業の内部監査部門や内部監査人
経営者に直結する職務。経営におけるさまざまな活動が、法的に問題なく、合理的に行われているかどうかを監査します。内部監査は、内部統制を機能させることでリスクを減らし、目標達成や不祥事防止を促進する目的で行われるものです。内部監査が行われるのは、会計やシステム、ISOなどの部門です。
外部監査とは
監査人:会計監査人(公認会計士や監査法人)
ステークホルダーに対して開示する情報の正確性や有効性、経営の合法性などを確認し、証明することを目的として行います。対象となる情報は公開することが前提です。外部監査を行うことで、情報の透明性を高めることにつながります。外部監査の対象となるのは会計部門です。
監査役監査とは
監査人:監査役
取締役の業務や会計処理が適切に行われていることと、違法性の有無を確認します。結果は株主に対して報告するとともに、不当な行為などがあれば、それを阻止して是正する役割も担っています。
法廷監査と任意監査もチェック
法律に基づいて行う法廷監査と、任意で行う任意監査も見ておきましょう。
法定監査
監査の対象:会計業務
監査する人:公認会計士や監査法人
法定監査は、名前の通り法律に基づいて行われます。法廷監査には、会社法監査(資本金5億円以上、または負債200億円以上の株式会社などが対象)や、金融商品取引法監査(上場会社や日本証券業協会に株式を登録している会社が対象)などがあります。
また、一般的な中小企業の場合は、税務署による税務調査が法廷監査に該当します。これは、毎年企業が税務署に提出する「法廷調書合計表」(源泉徴収票など)に対して実施されるものです。
参照:国税庁
任意監査
監査の対象:すべての業務
監査する人:公認会計士・監査法人など
特定の目的のために、企業が依頼して行う監査のこと。法的な監査ではありません。企業買収や合併、投資、自社財務諸表などの信頼性を確保するために行われます。
監査はなぜ必要か
企業ではさまざまな監査が行われていますが、そもそもなぜ監査が必要なのでしょうか?
ステークホルダー保護が目的
会計処理に不正がないかをチェックするのが監査と思われがちですが、実はそれだけではありません。監査は、ステークホルダーの保護を目的に行われます。
企業は、ステークホルダーに対して大きな責任を負っています。企業が公表する情報に虚偽や誤りがあれば、ステークホルダーは損害を被ることにもなりかねません。また、財務諸表の内容が実情と異なれば、取引や出資において適正な判断を下すことができなくなります。
監査を行うことで、企業は社会的な信頼を担保できます。また、公表する情報に透明性が生まれることも、企業にとってはメリットになるでしょう。
監査に似た言葉
ここからは、意味を混同しやすい監査に似た言葉を紹介します。「考査」と「鑑査」の意味を見ていきましょう。
考査
【考査】読み方:こうさ
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
1:いろいろ考えて調べること。「人物—」
2:学校で、生徒の学業成績を調べるための試験。「英語の学力を—する」「期末—」
3:「日銀考査」の略。
「考査」は、いろいろ調べることを意味します。ビジネスシーンでは、日本銀行が実施する調査を指すことが多いでしょう。日銀考査の対象は、金融機関であり、一般企業は対象になりません。
鑑査
【鑑査】読み方:かんさ
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
そのものの優劣・適否・真偽などを鑑定し審査すること。「応募作品を—する」
「鑑査」は、物や事を目利きすることや、鑑定することを指します。芸術作品や薬の調剤に対して使うことが多いでしょう。
最後に
「監査」について、意味や監査の種類、監査が必要な理由などをまとめました。企業が社会的信頼を得るために必要不可欠なのが監査です。監査があることで、企業が公表する情報の透明性を確保することができ、組織の内部統制強化が実現します。監査の役割や必要性を正しく把握しておきたいですね。
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