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2024.06.15

「欠席裁判」が意味することとは|比喩としての使い方を例文で紹介!

「欠席裁判」は元来、裁判用語ですが、日常生活やビジネスシーンで使うことがあります。裁判に関連する言葉を日常でどのように使うのか、シーンや言い方などを一緒に見ていきましょう。具体的な使い方は、例文で紹介します。

「欠席裁判」の意味をご存じですか?

「欠席裁判」は裁判に関連して使う用語ですが、一般的な会話で使われているのをご存じですか? この場合、人間関係に影響することを表しますので、言葉の意味や使い方を把握しておきたいですね。

本記事では「欠席裁判」という言葉を一般的に使う場合についてまとめました。どのようなシーンで使うのか、注意点などを紹介します。まずは、言葉の意味を一緒に見ていきましょう。

意味

【欠席裁判】
読み方:けっせきさいばん

1:被告人が欠席したままでする裁判。刑事訴訟で特定の場合に例外として行われる。
2:「欠席判決」に同じ。
3:当人のいない席上で、その人に関することを決めてしまうこと。「—で会長をおしつけられた」

『デジタル大辞泉』(小学館)より引用

1と2については、裁判に関連する意味にあたります。2の「欠席判決」とは、旧民事訴訟法で、当事者の一方が口頭弁論期日に欠席した場合に、出席当事者の主張だけに基づいてなされる欠席者に不利な判決のこと。

これらの意味が転じたのが「3:当人のいない席上で、その人に関することを決めてしまうこと」。一般的には、この意味で「欠席裁判」を使うことが多いでしょう。

(c) Adobe Stock

一般的に使う意味

「3:当人のいない席上で、その人に関することを決めてしまうこと」について、もう少し掘り下げてみましょう。

たとえば、歓送迎会の幹事を決める際、その場にいない社員を選んだとします。該当社員の了承を得ていないだけでなく、主張や意見をいう場が与えられないまま選出することになるので、その人にしてみれば不利な状況。「一方的に決められた」「押し付けられた」と感じても不思議ではありません。「欠席裁判」が表すのは、まさにこのようなことです。

他にも、複数人が集まっている場で、その場にいない人の批判や陰口を言ったり、噂話をしたりすることを「欠席裁判」と表現することがありますね。

上記からもわかるように、3の意味で使う「欠席裁判」は、ネガティブな意味合いで使うことがほとんど。「欠席裁判」がトラブルにつながることも珍しくないのです。

由来は?

一般的に使われている「欠席裁判」の由来は、上述のとおり、裁判用語が転じたものだということがわかりました。では、いつ頃から使われるようになったのでしょうか?

1946年に出版された『放送ばなし』(青山商店出版部)には「正月になって出勤して来ると大変な怒り方で『欠席裁判とはけしからん』とプンプンである」という表記が出てきます。

このことを踏まえると、少なくとも1946年には、裁判以外の場面でも「欠席裁判」という言葉が使われるようになったことがわかりますね。

「欠席裁判」の使い方(シーン・特徴・注意点)

ここからは「欠席裁判」という言葉の使い方を見ていきましょう。主に、裁判とは関連しない一般的な使い方について、シーンや特徴、注意点を紹介します。

(c) Adobe Stock

「欠席裁判」にあたるシーンとは

上述したように、1や2の意味で使うのは、裁判に関連するシーンです。裁判用語ですので、日常で使う機会はあまりないといえます。

3の意味で使う場合は、役員や役割を決めるシーンや、複数人で集まって会話をするときなどでしょう。日常生活はもちろん、ビジネスシーンや冠婚葬祭などでも使うことがあります。

使い方の特徴

「欠席裁判」の言い方で多いのは、「欠席裁判で決められた」「欠席裁判をされた」「欠席裁判で〜を押し付けられた」という表現でしょう。勝手に決められたり、悪口を言われたりすることを表すため、受身の意を表す語を使うことがほとんどです。

また「欠席裁判になる」「欠席裁判をする」といった言い方をすることも。裁判用語として使う場合は、こちらが多いかもしれません。

使う際に注意したいこと

これまで紹介したように、裁判とは無関係な一般人が「欠席裁判」を使うのは、ネガティブなシーンがほとんどです。イジメや嫌がらせのようなニュアンスを含みますので、安易に使うのは避けたいところ。確信がないのに、ちょっとしたことを「欠席裁判をされた」というように言ってしまうと、誤解を生みトラブルになるかもしれません。

「欠席裁判」は、インパクトのある言葉です。何かしらの問題が生じていると感じさせる力がありますので、そのことを十分に意識し、慎重に使いたいですね。

「欠席裁判」の使い方(具体例)

「欠席裁判」の具体的な使い方を見ていきましょう。裁判には関係ない、一般人が使うパターンにしぼって例文を紹介します。

ビジネスシーンで使う場合

《例文》
・体調を崩して仕事を休んでいた間に、面倒な役割が振られていた。課長に「これは欠席裁判だと思う」と抗議したが、受け入れてもらえなかった

・次の打ち合わせで各種担当や役割を決めますが、欠席裁判のようになるのは避けたいと考えています。関係者には、可能な限り出席するよう案内してください

・前の部署の飲み会に誘われたが、気が進まない。すぐに欠席裁判が始まり、つまらないからだ。何か断る理由はないだろうか?

黄色いマグカップ
(c) Adobe Stock

日常で使う場合

《例文》
・冠婚葬祭で親戚が集まりお酒が入ると、欠席裁判が始まってしまう。しかも、話が盛り上がってなかなか終わらない

・母が「欠席裁判で町内会の会長を押し付けられた。横暴だ」と朝から激怒している

・父は、姉や私がいないときに、私たちの進路など大切なことを勝手に決めてしまう。欠席裁判をされているようで、本当に不快だ

会話例も

「欠席裁判」を会話で使うパターンについても見ていきましょう。オフィスで同僚Aと同僚Bが話しています。

同僚A「まだ帰らないの?」
同僚B「今日は残業する。今度の金曜日、定時で帰りたいから」
同僚A「旦那さんとデートとか?」
同僚B「そうだといいんだけどね。マンションの役員決めがあるんだけど、毎年欠席裁判で決められてしまうらしいから。それは絶対に避けたいのよね…」
同僚A「そんなことがあるの?」
同僚B「毎年恒例になりつつあるから、出席したほうがいいよって教えてもらったの。もう早く引っ越したいよ〜」

「欠席裁判」は、町内や学校などの役員決めでもありそうですね。勝手に決められ、反論さえできないということもあるのかもしれません。

最後に

「欠席裁判」は、裁判用語の一つ。それが転じて、「当人がいない場で、その人に関することを決める」「その人がいない場で陰口や噂話をする」の意味でも使われています。ある種のイジメや嫌がらせのようなニュアンスを含みますので、言葉の使い方には注意を払うほうがいいでしょう。

TOP画像/(c)Adobe Stock

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