「談論風発」という四字熟語の意味、知っていますか?
「談論風発」の意味を説明できる人は、あまりいないかもしれません。書籍や記事のタイトルになることもある「談論風発」は、会話やスピーチでも使うことができます。本記事では「談論風発」について、意味や類語、使い方などを調べました。談話や論議に関連することで登場するこの言葉について、一緒に見ていきましょう。
意味
「談論風発」を辞書で調べたところ、次の意味を持つことがわかりました。
だんろん‐ふうはつ【談論風発】
読み方:だんろんふうはつ
[名](スル)談話や議論が活発に行われること。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「客が訪ねて行くと、—する」〈藤村・千曲川のスケッチ〉
意味にある「談話」とは、ある事柄について意見を述べること。「議論」は、お互いの意見を述べて論じ合うことや、その内容を意味します。「風発」とは、勢いが激しく盛んなことを表す言葉で、特に、弁論などが勢いよく口をついて出ることを指します。
「談論風発」は、お互いに激しい勢いで意見を述べ、論じ合うさまを表す言葉。熱意や情熱を持ってガンガン論議をする状況を表現する際に用いられています。深刻に話し合うというよりは、論議が盛り上がるさまを表現するのに適しているといえるでしょう。
由来
「談論風発」の由来は不明とされていますが、詩人である島崎藤村の著書『千曲川のスケッチ』の一節に登場します。この作品が発表されたのは1911年(明治44年)。このころにはすでに「談論風発」という言葉が存在し、使われていたことがわかります。
「談論風発」の類語
「談論風発」の類語を見ていきましょう。類語を知ると、「談論風発」を把握しやすくなるかもしれません。それぞれの意味をチェックしてください。
「侃侃諤諤」
正しいと思うことを堂々と主張するさまや、盛んに論議するさまを意味する「侃侃諤諤」。「かんかんがくがく」と読みます。「侃侃」とは、気性が強くて信念を曲げないさまを表す言葉。「諤諤」は、正しいと思うことを、はばかることなく直言することを意味します。
多くの人が集まり、それぞれの思うことをうるさく論議するさまを表現する四字熟語です。
《例文》対立している陣営との論議は紛糾し、侃侃諤諤の様相を呈した
「丁丁発止」
「丁丁発止」とは、激しく論議をたたかわせ合うことを意味します。読み方は「ちょうちょうはっし」。「丁丁」とは、金属などの音が響き渡るさまを表す言葉。「発止」は、堅いもの同士がぶつかるさまや、その音を表す言葉です。
主に、一対一で確固とした意見やポリシーをぶつけ合うさまを表す際に用いることが多いでしょう。
《例文》丁丁発止のやり取りが長引き、終了時刻を大幅に超過してしまった
「舌戦」
激しく論議することや、口論を意味する「舌戦」。「ぜっせん」と読むこの言葉は割と知られているかもしれませんね。相手の主張に負けじと口頭でやり返すさまや、言い争うこと、激しく議論することなどを表す言葉です。
《例文》初となる社内討論会が行われ、舌戦が繰り広げられた
「談論風発」の使い方
「談論風発」の意味は把握できましたか? ここからは「談論風発」の使い方を紹介します。特徴や使い方の例を一緒に見ていきましょう。
特徴
「談論風発」を使うのは、複数の人が集まり活発に話し合いをするときでしょう。淡々と話合うのではなく、勢いよく盛んに話し合ったり、論議をし合ったりするさまを表す場合に用いる表現といえます。
「談論風発」は四字熟語なので、「談論風発になる」「談論風発な様子」「談論風発のうちに」といった言い回しをすることが多いでしょう。
使い方例
「談論風発」の使い方例を見ていきましょう。例文を紹介します。
《例文1》社内全体会議で新規事業立ち上げについて話し合われたが、めずらしく談論風発になり、さまざまな意見が飛び交った
例文は、新規事業立ち上げについて、活発に意見が交わされたことを表しています。社内全体会議で意見が飛び交うというのは、この会社ではあまりなかったことなのでしょう。例文からは、会議がかなり盛り上がったことがうかがえます。
《例文2》海外留学で印象に残っているのは、教室内で繰り広げられる談論風発な様子です。学生たちと先生が間断なく意見を交わし合うので、とても驚きました。
海外には、日常的にディスカッションを行う国があります。文化として根づいていて、議論は当たり前ということも。かなり活発なやりとりをするため、カルチャーショックを受ける人もいるでしょう。例文は、海外留学でディスカッション文化に触れて刺激を受けたことを表しています。
《例文》町内会議の議題は夏祭りのことだったが、談論風発のうちに終わった
住民が集まって話し合う町内会議が盛り上がり、成功したことを表す例文です。「談論風発のうちに終わった」という表現は、その会が成功したことを表すと考えてください。夏祭りについての意見がたくさん出て、活発に論議されたことがうかがえますね。
会話での使い方例を紹介
「談論風発」は会話で使うこともできます。会話例を見ていきましょう。
会話例
親戚が集まった法事の様子を母と娘が話しています。
母「法事のあとの食事会は、すごかったわね。いつも静かなのに、あんなに盛り上がるとは思わなかったわ」
娘「おじさんが宇宙人についての話をはじめて、そこから勢いづいたよね」
母「あんなにいろいろな意見が出るとはね。談論風発とはああいうことを言うのね」
娘「結局、どういう結論が出たの?」
母「わからない。実はあまりのうるささに耐えられなくなって、こっそり外に出たのよ。でも、みんなとても楽しそうだったね。それにしても、会場を貸し切ってよかったわ」
法事を終えたあとの食事会で、親戚同士が活発に論議し合ったことを示す会話例です。こっそり外に出たくなるほど、場が盛り上がったのがわかりますね。
最後に
「談論風発」について、意味や由来、類語、使い方をまとめました。日常ではあまり見かけない言葉かもしれませんが、書籍や記事のタイトルに使われています。激しく論議をして、話が盛り上がるさまを表すこの言葉は、会話でも使えます。「談論風発」の正しい意味や使い方を把握し、取り入れてみてください。
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