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「急いては事を仕損じる」ということわざの意味をご存知でしょうか? 聞いたことがあるという方もいれば、「実は意味がよく分からない」という人もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、「急いては事を仕損じる」の意味や使い方、反対の意味のことわざや、英語表現なども解説します。ビジネスシーンはもちろん、ドラマや小説でも登場することがある言葉ですので、ぜひチェックしてみてくださいね。
「急いては事を仕損じる」の意味
「急いては事を仕損じる」を辞書で調べてみましたが、出てきませんでした。代わって「急いては事を仕損ずる」が出てきましたので、意味を紹介します。
急(せ)いては事(こと)を仕損(しそん)ずる
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
あまりあせるとかえって失敗しやすく、急いでしたことが無駄になる。
何かを急いで行うと、かえって失敗するという意味のことわざです。なお、辞書の表記にしたがい、この後は、「急いては事を仕損ずる」に統一いたします。
たしかに、焦って何かを行うと、失敗することもありますよね。例えば、電車に乗る場面などで考えてみましょう。電車が発車するギリギリの時刻になって、慌てて飛びのったところ、逆方向の電車に乗ってしまうなんてこともありますよね。実際にこのような経験をしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
間違った電車に乗ってしまえば、次の駅で降りたとしても、また乗り換えが必要になります。しかも、それが快速電車だった時には、かなり先の方の駅で乗り換えることに。結果的に、「急いで乗るより、ゆっくり確認してから乗った方が早く着いたのに…」ということになりますよね。
「急いては事を仕損ずる」は、このように焦って何かを失敗することを防ぐために、教訓として受け継がれてきたことわざとも言えるでしょう。
なお、同じ意味で、「急いては事を過(あやま)つ」という言い方もありますよ。
「急いては事を仕損ずる」の使い方は?
ここまでは、「急いては事を仕損ずる」の意味を解説しました。では、具体的にはどのように使うのでしょうか? 例文も一緒に見ていきましょう。
例文:「急いては事を仕損ずるというし、よく確認してから連絡をしましょう」
例えば、重要な業務連絡をする際、焦って確認を怠ってしまうと、思わぬトラブルになる可能性大。中には個人情報などを誤って別の人に送ってしまうなんて事例も耳にします。
こうなると、大きな問題に発展してしまうこともありえますよね。実際に、個人情報流出などの原因の一つが、単純な確認不足とも言われています。
例えば、何か重要なメールを送信する前には、メールアドレスをダブルチェックするなど、ほんの少しの時間で大きな問題を避けられることもありますよね。反対に、たった数十秒を節約するために、急いで何かをすれば、その分うっかりミスの確率が上がってしまうのではないでしょうか?
その他にも、電車の飛び込み乗車による怪我や、自動車事故なども、多くが「急がなければ!」という焦りが生んだ結果でしょう。ですが、実際に事故があれば、節約した分以上に多くの時間を費やすことに。
また、時間以外にも、健康面、経済面、人間関係など、大切なものを失ってしまうことも。何事も、一呼吸おいて確認するようにしたいですよね。
「急いては事を仕損ずる」に似たことわざ
「急いては事を仕損ずる」に似たことわざに、「急がば回れ」という言葉があります。聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?
急がば回れは、早く着くためには、一見回り道でも安全な道を選んだ方が良いという意味の言葉です。
例えば、登山で考えると分かりやすいかもしれません。山の頂上に行くために、一直線で最短距離を行こうとするより、舗装された道の方が安全ですよね。近道だからと、整備されていない道を無理やり進めば、遭難してしまう可能性もあります。
このように、多少遠回りをしてでも、安全で確実な道を選んだ方が良いという意味で、「急がば回れ」という言葉はよく使われますよ。焦ると良い結果にならないという戒めとして使われている点で、「急いては事を仕損ずる」にも似ていますよね。セットで覚えておくと何かと便利でしょう。
「急いては事を仕損ずる」の反対のことわざ
「急いては事を仕損ずる」には、反対の意味のことわざもいくつかありますよ。ここからは、反対のことわざも見ていきましょう。
1:善は急げ
「善は急げ」は、良いことをするときは、ぐずぐずせずに、すぐに行動に移した方が良いという意味の言葉です。
例えば、何か良いアイデアを思い付いた時に、「また今度でいいかな」と言っていると、タイミングを逃してしまうこともありますよね。また、先延ばしすることが習慣になってしまうと、どんどん腰が重くなってしまうことも。せっかくのチャンスを逃してしまうこともあるでしょう。
「善は急げ」は、「先延ばしせずに、すぐにやってみよう」というイメージで、行動を促す言葉として使われている表現です。「急いては事を仕損ずる」の反対の意味の言葉としておさえておきたいですね。
2:思い立ったが吉日
「思い立ったが吉日」という言葉も、「善は急げ」と同じく、良いことにはためらわずに、すぐに実行した方が良いという意味の慣用句です。吉日とは、縁起が良い日のこと。
宝くじ売り場などで、「本日は大安吉日!」などと言う言葉を聞くことがあるのではないでしょうか? ですが、何かを思いついた時に、「縁起が良い吉日にやろう」と先延ばししていると、状況が変わってしまうことも。「ああ、早くやっておけば良かった」と後悔してしまうこともあるでしょう。
「思い立ったが吉日」は、思い立ったらすぐに行動に移そうという意味の言葉で、様々な場面で使われる言葉です。
「急いては事を仕損ずる」を英語で言うと?
「急いては事を仕損ずる」は、英語でどのように言うのでしょうか?
「急いては事を仕損ずる」の英語表現として有名なのは、「Haste makes waste.」という表現です。英語の教科書などで見たことがある方もいらっしゃるかもしれません。
「haste」は、急ぎや、性急という意味の英語で、「waste」は、無駄などを意味する言葉。直訳すると、「急ぐと無駄になる」ということですね。語呂も良い表現ですので、覚えやすいのではないでしょうか?
英語でも、「急いては事を仕損ずる」に似た概念があるというのも、なんだか面白いですよね。
最後に
この記事では、「急いては事を仕損ずる」の意味や、英語表現、反対語などを解説しました。焦って何かをすると、思わぬトラブルになってしまうこともありえます。教訓としても覚えておきたい言葉ですね。
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