「無知蒙昧」という言葉を、聞いたことはありますか? 難解な漢字が含まれていますし、そもそも「読めない」という方も多いかもしれません。本記事では、「無知蒙昧」の意味や使い方、類語・対義語を解説します。
「無知蒙昧」の意味
「無知蒙昧」は、「むちもうまい」と読みます。どんな意味なのか辞書で確認してみましょう。
[名・形動]学問がなく、物事の道理を知らないこと。また、そのさま。「―な大衆」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「無知」は、「知識や知恵がないこと」。「蒙昧」は、「暗いこと」。このことから、知識や学問がない人や、理屈の通らない人のことを表すことが多いようです。知識がないことから、世の中の道理がわからず、世間知らずであるというニュアンスが含まれています。
使い方を例文でチェック!
「無知蒙昧」はあまり馴染みのない言葉ですが、どのように使われるのでしょうか? 主な例を3つみていきましょう。
1:彼女は、無知蒙昧な弟の姿に呆れていた。
「無知蒙昧」は、「無知蒙昧な人」というように使われます。先述したように、「無知蒙昧」は、学問がなく、物事の道理がわからない様子を指すので、言われた相手は気を悪くしてしまう可能性も。
目上の人や職場の人に対しては、特に使わない方がいいでしょう。
2:無知蒙昧と言われても、彼はひたすら作業を続けていた。
「無知蒙昧」は、学問のない人のことをあざけったり、馬鹿にしたりする時に使われます。いくら周囲に悪く言われようと、文句を言わず黙々と作業をし続ける人もいるかもしれませんね。
3:無知蒙昧な人にならないように、田中さんは一生懸命勉強していた。
身近に「無知蒙昧」な人がいる場合、反面教師として「自分はそうならないように、知識を身につけよう」と考えることも。さまざまな知識を学ぶことで、世の中の流れなどを見通せるようになり、生きる知恵が身につくでしょう。
類語や言い換え表現は?
「無知蒙昧」と同じく、学問や知識がないことを表す四字熟語はいくつもあります。ここでは、主な言葉を3つ紹介します。
1:不学無術
「不学無術」は、「ふがくむじゅつ」と読み、「学問や技術の乏しいこと」を意味します。「不」と「無」は、どちらも名詞や形容動詞の語幹について、それを打ち消し否定する意味があります。勉強やスキルが足りていない時に使える言葉です。
(例文)
・不学無術なので、まだその課題がクリアできません。
・不学無術なところを恥じています。
2:無知無能
「無知無能(むちむのう)」とは、「知識がなく、才能がないこと」。打ち消し、否定の意味を表す「無」をつけた、「無知」と「無能」を組み合わせた四字熟語です。文字通り、知識や才能、能力がないことを意味する言葉ですが、他者に対して使うのは、なるべく控えたいですね。
(例文)
・彼女は自分のことを「無知無能だから」と謙遜する。
・法律のことに関しては、無知無能だから何も言えない。
3:浅学非才
「浅学非才」の読み方は、「せんがくひさい」。意味は以下の通りです。
[名・形動]学問、知識ともに乏しく、かつ才能もないこと。自分は無知無能であると謙遜していう語。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「浅学非才」も、文字通り学問や才能が乏しいことを表します。ビジネスシーンで、自分には何の知識やスキルもないということをへりくだって言う時に使われますね。
「非」は、名詞・形容動詞について、「それに当たらない」「それ以外である」という意味を表します。
(例文)
・浅学非才の身ですが、全力を尽くします。
・浅学非才でお恥ずかしい限りです。
対義語は?
「無知蒙昧」とは反対に、知識や知恵を持っていることを表す言葉にはどんなものがあるでしょうか?
1:博学多聞
「博学多聞」は、「はくがくたぶん」と読み、「広くいろいろな学問に通じ、多くのことを知っていること」です。辞書によっては、「はくがくたもん」と読むことも。知識が豊富で、いろんなことを知っている人のことを指すので、「無知蒙昧」とは正反対と言えますね。
(例文)
・叔父は博学多聞な人で、学校で日本史を教えている。
・彼の博学多聞なところを尊敬しています。
2:博聞強記
「博聞強記」は、「はくぶんきょうき」と読みます。意味は以下の通りです。
広く物事を聞き知って、それらをよく記憶していること。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
さまざまな分野の知識を蓄えている人のことを「博聞強記」と呼びます。何を聞いてもすぐに答えてくれる人は、博学で頼りになるもの。記憶力があり、たくさんの知識を頭の中にインプットしている人っていますよね。
(例文)
・教授の博聞強記ぶりには、いつも驚かされる。
・彼は博聞強記なので、きっと試験に合格するでしょう。
3:博識
「博識(はくしき)」とはどのような意味でしょうか?
[名・形動]ひろく知識があること。また、そのさま。博学多識。「―な(の)人」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
知識が広い分野にわたって豊富なことを「博識」と言います。物知りな人とも言えますね。一つの専門分野を極めているというよりは、さまざまな分野の知識を持っている人に対して使われます。
(例文)
・彼は博識な人だと、誰もが知っている。
・先生は博識なので、生徒から尊敬されている。
最後に
「無知蒙昧」とは、「学問がなく、物事の道理を知らないこと」。「無知蒙昧な人」というように、人に対して使われる言葉ではありますが、あまりいい意味ではありません。知識やスキルを身につけて、自分に自信をつけたいですね。
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