仕事やスポーツをしている時に、相手から「油断大敵だよ!」と言われたことはありませんか? 友人同士の会話や職場でのやり取りなど、さまざまなところで耳にする言葉ではありますが、詳しい意味を知っている人は少ないかもしれませんね。
そこで本記事では、「油断大敵」の意味や使い方、「油断は禁物」などの類語を解説します。
「油断大敵」の意味とは
「油断大敵(ゆだんたいてき)」の意味を、辞書でおさらいしてみましょう。
油断は失敗のもとであるから、大敵である。油断して失敗を招くのを戒めた言葉。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「油断大敵」は文字通り、「油断することは敵だと思って戒めよ」という教訓が込められた言葉です。大丈夫だろうと気を緩めてしまうと、思いもよらない危険を招くことになる恐れも…。そんな事態にならないように気をつけなさいという意味ですね。
使い方を例文でチェック!
日常生活のあらゆるシーンで登場する「油断大敵」。よくあるケースを例文で確認していきましょう。
1:どんなに弱小の相手でも油断大敵! 最後まで気を抜かないこと。
勝負の世界では、最後まで何が起きるかわかりません。いくら格下の相手であっても、気を抜いた瞬間に点を取られるなど、逆転負けをしてしまう可能性も! 「自分たちの方が、強いから大丈夫」などと慢心しないように気をつけたいですね。
2:油断大敵! 海外旅行ではスリに合わないように気をつけて。
いくら海外に行くことに慣れていても、油断は禁物です。バッグから手を離した途端に、スリにあうなんていうトラブルが発生することもあり得ます。せっかくの楽しい旅行が台無しにならないよう、気を引き締めたいですね。
3:慣れている道でも油断大敵だと思って、安全運転を心がけてね。
運転に限らず、慣れからくる油断ってありますよね。「あの時よそ見をしていなかったら…」などと後悔しないように、適度な緊張感は維持したいですね。
類語や言い換え表現は?
「油断大敵」と似たような意味を持つ言葉を、3つピックアップしました。ひとつずつ確認していきましょう。
1:油断は禁物
日常会話の中では、「油断大敵」と同じようなニュアンスで「油断は禁物だよ」と言ったりしますよね。「禁物」とはどんな意味なのかを辞書で引くと、
1 してはならない物事。また、しないほうがよい物事。「病気に酒は―だ」「油断は―」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
2 好ましくないもの。嫌いなもの。
「百姓は春のじとじと降り続く雨が―だと書いてあるよ」〈宇野浩二・苦の世界〉
と出てきます。
「油断は禁物」は、わかりやすくいうと、「油断をしてはならない」と戒めるような意味になりますね。
余裕ぶっている相手に対して、「もっと気を引き締めなさい」と言いたい場合にこのような言い方をすることがあります。
(例文)
・お酒に酔ってしまうかもしれないから、油断は禁物だよ。
・ダイエット中に、甘いものをたくさん食べるなんて! 油断は禁物だよ。
2:画竜点睛を欠く
「画竜点睛を欠く」は、「がりょうてんせいをかく」と読みます。「がりゅう」ではなく、「がりょう」と読むので、間違えないようにしたいですね。意味は以下の通りです。
よくできていても、肝心なところが欠けているために、完全とはいえないこと。→画竜点睛
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
[補説]「がりゅう」とは読まない。また、「点睛」を「点晴」、「欠く」を「書く」とは書かない。
絵に描いた竜の、大事な目の部分を書き忘れてしまったということから、全体としてはよくできているにも関わらず、肝心なところが抜けていることを表すようになりました。気を抜いたことで失敗をする、ということが、「油断大敵」と似ていますね。
(例文)
・同僚の山崎さんは、データの入ったUSBを忘れてきたようだ。画竜点睛を欠くとはこのことだね。
・最後の最後でミスをしてしまうなんて、画竜点睛を欠くだね。
3:一寸先は闇
「一寸先は闇」の意味を見ていきましょう。
ほんの少し先のことも全く予知できないことのたとえ。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
人生は、ほんの少し先でさえ予測できないということを言いたい時に、「一寸先は闇」を使います。将来何が起こるかわからないから気を引き締めなさい、というようなニュアンスで用いられますね。
(例文)
・一寸先は闇だから、よくよく注意した方がいいね。
・どんなに景気が良くても、一寸先は闇。経済的に自立できるようにスキルを身につけておきたい。
「油断大敵」の英語表現とは?
「油断大敵」を英語で表現したい時には、「Carelessness is our greatest enemy.」が使えます。「carelessness」は「不注意、不始末」、「enemy」は、「敵」を表します。直訳すると、「不注意は最大の敵」という意味になりますね。
最後に
「油断大敵」とは、「油断は失敗のもとであるから、大敵である」という意味だということがわかりました。調子に乗っている人や、油断していると思われる人などに対して、注意喚起の意味を込めて「油断大敵だよ!」ということがほとんどですね。
「後悔先に立たず」と言います。後から悔やむことのないよう、慣れていることこそ、気を引き締めて取り組みたいですね。
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