あなたの身の回りに、話がわかりやすくて、説明が上手な人はいませんか? 仕事の指示の出し方が上手であったり、商品の説明をするのが得意な人は、仕事がデキる人でもありますよね。このような人の話し方は、まさに「単純明快」と呼べるものかもしれません。
本記事では、「単純明快」の意味や使い方、類語・対義語を解説しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
「単純明快」の意味
「単純明快」の読み方は、「たんじゅんめいかい」。意味を辞書でみてみると、
[名・形動]文章や物事が、すっきりしていて分かりやすいこと。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
となります。「単純」は、「混じり気がないこと。機能や形式が込み入っていないこと」。「明快」は、「筋道が明らかで、わかりやすいこと」。この2つの熟語を組み合わせて、物事がすっきりしていてわかりやすいこととなります。
使い方を例文でチェック!
先述したように、「明快」には、「筋道が明らかで、わかりやすいこと」という意味があることから、主に話の内容がすっきりとわかりやすい場合に、「単純明快」が使われます。主なパターンを例文で見ていきましょう。
1:先生の解説は単純明快で、歴史が苦手な私でもすぐに理解できる。
相手の話す内容が非常にシンプルでわかりやすい時に、「単純明快」を使います。専門的な内容や苦手な分野の話は、聞いていてもなかなか頭に入ってこないことも多いもの。ですが、話が上手な人の手にかかれば、複雑な内容もすっきり簡単にまとめられるのです。
誰でも理解できるように、噛み砕いて説明してくれるのはありがたいですよね。
2:田中さんのプレゼンは単純明快で、口下手な私のお手本です。
ビジネスシーンでは、たくさんの人々の前で資料を読んだり、結果を報告する機会が多いもの。話が下手だと、結局何が言いたいのか伝わらなかったり、自分の意図とは反対の意味として捉えられてしまうことも少なくありません。
仕事の結果を出すためにも、伝えたいことをスマートに伝えられるようになりたいですね。
3:答えは意外と複雑ではなく、単純明快だよ。
仕事で悩んでいる時に、先輩からこのようにアドバイスされることもあるでしょう。1人で悩んでいるとどうしても、物事を複雑に考えてしまいがちですが、意外と答えは単純明快であることも。周りの人に相談することで、答えがはっきり見えてくることもあるかもしれませんね。
類語や言い換え表現は?
「単純明快」のように物事がはっきりとわかりやすいさまを表す言葉は、「明明白白」「一目瞭然」「簡潔」などがあります。それぞれどんな場合に使われるのか、一緒に見ていきましょう。
1:明明白白
「明明白白」は、「めいめいはくはく」と読みます。意味は以下の通りです。
《「明白」のそれぞれの字を重ねて意味を強めた語》
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
1[名・形動]はっきりしていて、少しの疑いもないこと。また、そのさま。「―な論理」
2[ト・タル][文][形動タリ]1に同じ。「―たる事実」
「明明白白」は、非常にはっきりとしていて、物事がきわめて明確であるさまを指します。「明白」は、主に究明された事実を表すことが多く、証拠や論理に対して使われることが一般的です。
(例文)
・彼が無実であることは、明明白白の事実が証明している。
・彼女には、その時間外出していないという明明白白な証拠があります。
2:一目瞭然
「一目瞭然(いちもくりょうぜん)」の意味を辞書で見てみましょう。
[形動][文][ナリ]ひと目見ただけではっきりとわかるさま。「グラフにすれば―だ」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
物事の有り様が、ひと目見てすぐにわかった時に、「一目瞭然だ」と表現しますよね。誰の目が見ても明らかであることや、隠しているのがバレバレな時などに使われることが多いでしょう。
(例文)
・A社が国内シェアNo.1であることは一目瞭然だった。
・先輩が彼女に気があることは、態度を見れば一目瞭然だよ。
3:簡潔
「簡潔(かんけつ)」の意味は以下の通りです。
[形動][文][ナリ]簡単で要領を得ているさま。手みじかではっきりしているさま。「―な表現」「―に要旨を述べる」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
[派生]かんけつさ[名]
「簡潔」は、主に話や文章の内容が的をえていて、わかりやすい場合に用いられます。ビジネスシーンでは、「要点を簡潔に述べますと…」というように使うこともありますね。言い訳をしたり、しどろもどろに話すのではなく、結論から話したり、重要なポイントをまとめて話すと、「簡潔でわかりやすい」と評価を得られやすいでしょう。
(例文)
・上司からの質問には、簡潔に答えるようにしている。
・会議中に、メンバーから「もっと簡潔に説明できませんか?」と言われてしまった。
対義語は?
はっきりとわかりやすい内容を指す「単純明快」の対義語としては、複雑でわかりにくいことを意味する言葉が当てはまりますね。ここでは、2つ紹介します。
1:複雑怪奇
「複雑怪奇(ふくざつかいき)」の意味を確認していきましょう。
[名・形動]複雑でわかりにくく不思議なこと。また、そのさま。「―な(の)国際情勢」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
物事の内容が込み入っていて、首を傾げてしまうようなことってありませんか? 例えば、役所でのややこしい手続きや、いつになっても解決しない国際問題など。難解で、すぐにパッと理解できない物事を「複雑怪奇」と言います。
(例文)
・その家では、夜になると足音がする複雑怪奇な現象が多発していた。
・それは何年経っても犯人が見つからない、複雑怪奇な事件であった。
2:複雑多岐
「複雑多岐」は、「ふくざつたき」と読みます。意味は、「物事が多方面に関わりを持ち、重なり合って込み入っていること」。「多岐」には、道が幾筋にも分かれていることを表します。話がややこしく、わかりずらい時に使われる言葉なので、「単純明快」とは意味がまったく異なりますよね。
(例文)
・その国の貿易ルートは非常に複雑多岐であった。
・話が複雑多岐で、どうも私には理解できません。
最後に
「単純明快」とは、「文章や物事が、すっきりしていて分かりやすいこと」。相手の話がとてもわかりやすい時などに、褒め言葉として「あなたの話はとても単純明快だね」と表現します。複雑な契約内容をわかりやすくお客さんに伝えることは、相手のためにもなります。「単純明快」に話して、相手に喜んでもらえるといいですね。
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