クラファン(クラウドファンディング)とは?
クラファンとは「クラウドファンディング(crowdfunding)」を略した言葉です。クラウドファンディングとは、クラウド(大衆)とファンディング(資金調達)をつなげた造語で、インターネットを通して不特定多数から活動資金を募る仕組みを指します。
クラウド‐ファンディング
出典:小学館 デジタル大辞泉
《crowdは大衆の意》プロジェクトのための資金を調達できない個人・団体が、ソーシャルメディアをはじめインターネット上で企画内容と必要な金額を提示し、広く支援を呼びかける手法。少額の資金提供者を多く集めることによって、目標額の達成をねらうもの。マイクロファンディング。マイクロパトロン。ソーシャルファンディング。クラファン。
たとえば、素晴らしいアイデアを思いついたけれども、商品化する資金が足りないとします。クラファン用のサイトに登録し、アイデアの概要や商品化のメリットなどをわかりやすくプロモーションすることで出資者を募ります。
クラファンは商品化以外にも、特定の国や団体への資金援助、銅像や自伝本の制作、記念館や記念団体の設立などにも活用されることがあります。
クラファンの種類
クラファンは出資者へのリターンによって、いくつかの種類に分けられます。その中から、以下の3つを紹介します。
・購入型
・寄付型
・投資型
購入型とは、出資者に対して商品を送付したりサービスの利用権を提供したりするタイプのクラファンです。クラファンは形式的には「出資」ですが、購入型の場合は出資した金額に応じて商品・サービスを受け取るため、実際にはお金を払って商品・サービスを購入していることと同等になります。
一方、寄付型は、出資者に対して金銭や商品、サービスなどのリターンが発生しないタイプのクラファンです。ただし、お礼の気持ちを込めて、感謝の手紙や事業の様子がわかる写真を送付するケースもあるようです。ボランティア活動や公共性の高いプロジェクトでは、寄付型クラファンの形を取ることが多い傾向がみられます。インターネット上などでプロジェクトの進捗状況が報告されることも少なくなく、資金の使途がわかりやすいという利点も。
投資型とは、出資者に非公開株を提供する代わりに資金を募る仕組みタイプです。集めた資金は事業の進行に充てられ、利益が出たときは出資額に応じて分配金が支払われます。
クラファンのやり方
資金調達をしたいときだけでなく、誰かの夢を応援したいときやボランティア活動に参加したいときにクラファンを活用している人も。資金調達側(資金を受け取る側)と資金提供側(資金を支払う側)に分けて、クラファンの進め方の一例を紹介します。
資金調達側
クラファンで資金調達する手順例は以下の通りです。
1. プロジェクトを立ち上げる
2. プロジェクトをクラファンサイトで公開する
3. 資金を調達する
4. 出資者にリターンを送る
まずはプロジェクトを立ち上げるところから。資金を集めて何をしたいのか、どの程度の資金が必要なのか具体的にまとめ、計画書を作成します。
計画がまとまったら、クラファンサイトに登録しましょう。サイト内のプロジェクトページに、プロジェクトの内容をわかりやすく記載して公開します。文章だけではプロジェクトの内容が伝わりにくいため、写真やイラストなどを取り入れて説得力を高めるのもよいでしょう。さまざまなクラファンサイトがあり、それぞれに支援が集まりやすいプロジェクト傾向などもみられるため、よく検討することをおすすめします。
募集期間を定めて、クラファンサイトにプロジェクトを公開します。期間終了後に出資金を受け取り、プロジェクトを開始しましょう。出資者にお礼のメッセージを送るのはもちろんのこと、プロジェクト期間が長引くときはこまめに活動報告をすることが大切です。
購入型のクラファンの場合は、プロジェクト完了後、出資者にリターンを送ります。寄付型の場合はお礼状、投資型の場合は分配金の準備が必要になることもあります。
資金提供側
クラファンを通じて資金を提供する手順例は以下の通りです。
1. クラファンサイトでプロジェクトを探す
2. 出資をする
3. リターンを受け取る
まずはクラファンサイトで気になるプロジェクトを探しましょう。プロジェクトページを隅々まで読み、心に響くプロジェクトを見つけてください。
気になるプロジェクトが見つかったときは、出資をします。大抵は応援メッセージも送れるようになっているため、ぜひ励みになる言葉を伝えてください。
出資後は、プロジェクトが完了するまでこまめにプロジェクトオーナーの活動報告をチェックします。ブログやメルマガの形で活動状況が配信されることもあるようです。
購入型のクラファンなら、プロジェクトが成功するとリターンを受け取れます。商品やサービスの提供を楽しみに待ちましょう。
クラファン(クラウドファンディング)の注意点
クラファンを始めるときは次のポイントに注意が必要です。
・クラファンサイトの利用は手数料がかかることが多い
・クラファンで確定申告や税金が必要になることがある
・クラファン詐欺に注意
それぞれ詳しく見ていきましょう。
クラファンサイトの利用は手数料がかかることが多い
資金調達側としてクラファンサイトを利用する場合は、手数料がかかることがあります。手数料体系はクラファンサイトによって異なるため、利用前に確認しておきましょう。
たとえば、プロジェクトページを開設するのは無料でも、資金を受け取るときに支援総額の15%程度を手数料として差し引かれることがあります。
なお、資金提供側としてクラファンサイトを利用する場合は、手数料不要のことが一般的です。ただし、出資時に振込手数料が発生することもあるため、確認しておきましょう。
クラファンで確定申告や税金が必要になることがある
資金調達者は、クラファンに参加することで、確定申告や納税が必要になることがあります。購入型クラファンの場合、資金調達側は商品・サービスを販売して代金を得たことになるため、収入から必要経費を差し引いた所得が課税対象です。
一方、寄付型クラファンでは、個人から出資を受け取ったときは「贈与税」、法人から受け取ったときは「一時所得」の課税対象となることがあります。
投資型クラファンでは資金調達側が受け取った資金は借入金や出資金として取り扱われるため、課税対象とはなりません。ただし、その資金を使って事業を行い、利益が生じたときには確定申告・納税が必要です。また、資金提供側は、分配金を受け取ったときに確定申告・納税が必要になることがあります。
参考:国税庁|所得の種類・収入・必要経費の範囲等
参考:国税庁|No.4402 贈与税がかかる場合
参考:国税庁|No.1490 一時所得
参考:国税庁|No.1330 配当金を受け取ったとき(配当所得)
クラファン詐欺に注意
なかには、クラファンを装った詐欺も報告されています。出資をするときはプロジェクト内容をしっかりと読むこと、また、資金調達側・資金提供側のいずれも、信用できるクラファンサイトを利用することが大切です。
クラファンを始めるなら信頼性の高いサイトで
クラファンサイトの登場により、資金調達や出資が簡単にできるようになりました。しかし、なかには詐欺まがいのトラブルもあるようです。
プロジェクトを成功させるためにも、そして大切な資金を必要な場所に届けるためにも、クラファンを活用する際には信頼性の高いサイトかどうか見極めることが重要といえます。
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税理士・板山翔
平成28年に日本初のオンライン専門の税理士事務所を開業。塾講師歴7年、大手WEBメディアで連載を持つなどの異色の経歴を持つ。5人以下の小さな会社の経営者へ向けて、様々なメディアで情報を発信しており、YouTubeチャンネル「税理士ショウの超わかりやすいビジネスQ&A」は動画9本で登録者1,000人を超えるなど急成長している。
・板山翔税理士事務所オフィシャルサイト
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