「付和雷同」の意味や読み方は?
読み方と意味、気をつけたい誤り
「付和雷同」は、「附和雷同」と表すこともあり、どちらも「ふわらいどう」と読みます。”付”と”不”が異なる「不和雷同」と書いてしまうと、誤りになります。よくやってしまいがちな間違えなので、気をつけましょう。意味だけでなく、正しい表記や読み方も一緒に覚えておくよう、心がけたいものです。
この熟語は「付和(附和)」と「雷同」という二語を合わせた四字熟語で、「付和(附和)」は、他人の意見に賛成し従うことを表し、「雷同」は、雷が鳴ると周りのものも同じように鳴り響くことから、「わけもなく他人に同調すること」を指しています。
このような、似た意味の二語が結びついた「付和雷同」は、「一定の主義や主張がなく、安易に他の説に賛成する」という意味が強調された四字熟語になります。
「付和雷同」の語源
「付和雷同」は中国古典の漢文を由来とする故事成語です。『礼記(らいき)』という書物の中に「毋勦説、毋雷同」という一節があります。「そうせつするなかれ、らいどうするなかれ」と読み、「他人の意見を自分のものにしたり、むやみに他人の意見に賛同してはいけない」という意味が込められています。
この一説が「付和雷同」の語源と言われています。
使い方を例文でチェック
「付和雷同」は主にネガティブな表現として使われます。周りの空気を読み、協調できるといった意味や、謙虚であることを評価した意味ではなく、自分の意見を持たず流されやすいという意味になるので、注意して使いましょう。以下では、簡単な例文とともに使い方を紹介していきます。
彼の付和雷同する態度には時々腹が立つ
「付和雷同」は四字熟語ですが、「付和雷同する」というように動詞として使うこともできます。自分の意見を持たず、相手に合わせていれば気楽ですが、逆に相手には不快な思いをさせてしまうこともあるので気をつけましょう。
付和雷同な人たちなので意見がコロコロ変わる
「付和雷同な」や「付和雷同的な」というような使い方をすることも多いです。ビジネスシーンや学校の部活、委員会などで付和雷同な態度をずっととってしまうと、信用をなくしてしまう可能性もあります。ある程度周りに合わせることももちろん大切ですが、他人に任せきりにしてしまうのはよくありませんね。
SNSで誹謗中傷が起こる原因の1つは付和雷同であると思う
インターネット上では特に、一人が言い出すと皆がその意見に同調して、大きな影響力になることがよくあります。悪いことは悪いと自分の中でしっかり区切りを作り、付和雷同しないように心がけたいですね。
ちなみに「付和雷同」の英語表現には「go along with the others」や「follow the crowd」などがあります。
「付和雷同」の類義語や言い換え表現とは?
「付和雷同」と似た意味の四字熟語やことわざを以下に紹介しています。こちらもぜひチェックしてみてください。
雷同付随(らいどうふずい)
「付和雷同」と似たような言葉で「雷同付随」という四字熟語があります。意味は「付和雷同」と同じで簡単に周りの意見に賛同することです。
唯唯諾諾(いいだくだく)
こちらは全く逆らわずに言いなりになるという意味。「唯唯」という言葉は、かしこまって返答する「はい」の意味と、他人の言いなりになるという意味を含んでいます。同じように「諾諾」も他人の言葉に逆らわず承諾する「はいはい」という意味を含んでおり、「付和雷同」と同じようによく似た二語があわさってできた四字熟語になります。「母は唯唯諾諾として家事を行う」のように「唯唯諾諾として」と使います。
尻馬に乗る(しりうまにのる)
人のやることにすぐ便乗する様子を表すことわざです。「尻馬に付く」とも言います。「一人が言い出すと、皆すぐ尻馬に乗ってからかいだす」というように、こちらも「付和雷同」と同じ少し非難的な表現になります。
対義語にはどのようなものがある?
「付和雷同」の対義語には以下のようなものがあります。
初志貫徹(しょしかんてつ)
意味は、最初に思い立った志を最後まで貫き通すこと。「彼は初志貫徹して目標をやり遂げた」のように使います。「貫」という漢字を含む四字熟語には、終始変わらず意思貫くという意味を含むものが多いです。例えば他にも、「終始一貫(しゅうしいっかん)」といって、周囲の状態が変わっても、最初から最後まで考えや態度を変えないことを意味する四字熟語もあります。
独立独歩(どくりつどっぽ)
意味は、他人に頼ることなく、自力で自分の信じる通りに行うこと。「独立独行」と言うこともあります。「彼女は独立独歩の生き方で、世界一のデザイナーを目指している」のように使うことができます。ビジネスの世界で言うと、自営業で働く人や、会社の中でも自らの理念を持って仕事をしている人は、独立独歩といえるでしょう。
人は人我は我
意味は、他人がどうあろうと気にせず、自分の立場を貫くこと。「そんな事ばかり気にしてないで自分の意志を持ちなさい。人は人我は我だよ」というように使います。実際にそう意識することはなかなか難しい場合もありますが、他人と自分の間に上手く線引きができる人の生き方には憧れますよね。
最後に
「付和雷同」についての解説、いかがでしたか? 捉え方によっては周りに合わせることができるというポジティブな意味合いにもなりますが、一般的に褒め言葉としては使わないので、相手に失礼に当たらないよう、使い方をしっかりマスターしましょう。
また、あまりに「付和雷同」になりすぎると信用を失ってしまうなど、自分自身望んでもいないことに巻き込まれる可能性も…。ほどほどに自分の意見も持てるようにしていきたいですね。
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