「因果応報」とは?
日本人は、悪い出来事が起こった際に「過去の自分の行いが悪かったのだろうか」と考える人が多いと思います。これは、古くから仏教用語として伝えられてきた「因果応報」という価値観が元になっていると考えられています。今回はそんな「因果応報」の意味や語源、使い方、類語などを解説します。
「因果応報」の読み方と意味
「因果応報」は「いんがおうほう」と読みます。
意味は「過去の善悪の行為が因となり、その報いとして善悪の結果が返ってくること」というもので、仏教の考え方のひとつとして知られています。「因果」は「原因、結果」、「応報」は「報い」を意味します。
例えば、昔話などでよくある、いつも意地悪で悪いことをしている登場人物が後に痛い目に遭うというシーンは、因果応報の典型的な例と言えるでしょう。
「因果応報」はどのように使われる?
「因果応報」は一般的には、マイナスの意味で使われます。悪事を働いた人にバチが当たり、自業自得だと思った時に「因果応報だ」と言い換えることができるでしょう。逆に、「努力が報われた」など善い結果が現れた時も使うことができます。
詳しくは次の章で紹介します。
「因果応報」の使い方を例文でチェック
1:課長はいつも威張っているくせに仕事をしないから、ピンチの時に手を貸す人がいなくても因果応報だ。
「因果応報」は、悪いことをしたら悪い結果が返ってくるという意味。仕事もせずに威張ってばかりの上司がピンチの時、助けてあげたいと思う人はいませんよね。困っていても、周りの人から「日頃の行いが悪いからだ」と見放されてしまうのは、まさに「因果応報」と言えるでしょう。
2:あの人、奥さんに見捨てられて離婚したらしいよ。不倫ばかりしていたのだから、因果応報だね。
「因果応報」な結果は、時間差でやってきます。不倫相手といる時間は楽しいかもしれませんが、不倫がわかった時に場合によっては多額の慰謝料を支払うことになり、大切な人を失って、自らの不貞行為を後悔することになるでしょう。これこそ「因果応報」ですね。
3:因果応報を信じて真面目に努力し続けていたら、昇格が決まった。
「因果応報」は、“善い行い”に対して“善い結果”が現れた時にも使うことができます。この例文のように、努力し続けたことに対して嬉しい結果が得られた場合も「因果応報」です。皆さんの周りにも、「あの人はいつも真面目だから運が巡ってくるんだろうな〜」と思うような人はいませんか?
「因果応報」の類語は? 類似する四字熟語を紹介
1:悪因悪果
「悪因悪果」は、「あくいんあっか」と読みます。意味は「悪い行為が原因となって悪い結果が生じること」。ネガティブなシーンで使われます。
(例)テストのカンニングがバレてみんなの前で説教されるとは、まさに悪因悪果だ。
2:善因善果
「善因善果」は「ぜんいんぜんか」と読みます。「善いことをすれば、それがもととなって必ず善い報いがあるということ」という意味で、ポジティブな場面で使うことができます。
(例)善因善果、毎日居残りをして練習していた彼は、大会で優勝した。
3:自業自得
「自業自得(じごうじとく)」は「自分の行為の報いを自分自身が受けること」という意味。一般的に悪業の報いを受ける場合に使われる、マイナスな意味の四字熟語です。漫画などでも使われる四字熟語なので、知っている方も多いでしょう。
(例)彼はスマホを見ながら歩いていたら田んぼに落ちたらしい。自業自得だ。
「因果応報」の対義語は?
「因果応報」の対義語には、明確に定義されているものはありません。
良いおこないをした人には良い報いがある、自らの悪い行為によりバチが当たる、といった良い・悪いどちらの意味もあるため、定義されるのが難しいのでしょう。
強いて考えるのであれば、「すベて偶然の出来事だ」という意味で「偶然」、「たまたま」が挙げられます。
「因果応報」は英語でなんと言う?
因果応報は英語だとどんな風に表現できるでしょうか? 早速チェック!
1:What goes around comes around.
「goes around」は「(自分のもとから)何かが回っていく」、「comes around」は「(自分のもとに)何かが巡ってくる」をあらわす熟語。
よって、要約すると「自分がしたことは、巡り巡って結局自分に返ってくる」という意味になります。因果応報に近い表現ですね!
2:Karma is a bitch.
「karma」は「業、報い、因縁」、「bitch」は「つらい、大変」という意味。
「Karma is a bitch.」を要約すると「善いことをすれば善い結果が戻ってくる」「行いが悪ければ悪い結果が待っている」となります。
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「因果応報」は、常に頭の隅に置いておきたい四字熟語。頑張っていることに対してなかなか成果が現れない時も、「因果応報」を信じてもう一踏ん張りしてみましょう!
プラスな意味でもマイナスな意味でも使われる言葉なので、状況に応じて類義語も使ってみると、表現の仕方が増えそうですね。
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