「周知徹底」とは?
あなたが「職場でよく耳にする四字熟語は?」と聞かれ、思い浮かべる言葉はなんでしょうか? 本記事で取り上げる「周知徹底」は、仕事において最も聴き慣れた四字熟語かもしれません。そのことは、会社組織において「周知徹底」ということが、いかに大切であるかを示しています。
この記事を通して「周知徹底」の意味と使い方、さらには「周知徹底」の重要性や必要性についてもご理解いただけたなら、ビジネス現場においても大いに役立てていただけるものと思います。
「周知徹底」の意味
「周知徹底(しゅうちてってい)」の意味を、辞書で確認いたしますと「知らぬ者のないように、じゅうぶんに行きとどかせる」と書かれています。
このよく耳にする四字熟語、「周知」と「徹底」それぞれ個別に使うことも多いので、意味を確認しておきましょう。
「周知」は、「広く知られていること」や「広く知らせること」という意味です。一方の「徹底」は、「すみずみまで行き届くこと」「一貫しており、中途半端でないこと」という意味を持っています。
参考:『デジタル大辞泉』(小学館)
「周知徹底」の使い方を例文を用いて紹介
四字熟語としての意味を押さえたところで、「周知徹底」の使い方について見ていきましょう。
1:「講師の都合により、セミナーが中止となりました。これから、参加予定者への周知徹底を図ります」
予定していたことが「中止」されたり、スケジュールが「変更」されることは稀なことではありません。「変更」された情報は、すべての関係者へ漏れなく伝わらなければなりませんよね。このような時こそ「周知徹底」の手段や方法が重要になります。
2:「このような事故が二度と起こらぬよう、職員には安全管理を周知徹底させます」
企業などの謝罪のコメントの中で使われる事例です。不祥事や事故などが起きた際に使用される場合は、「同じ過ちを二度と起こしません」という表明としての意味も感じられますね。
3:「道路交通法の改正で“あおり運転”が厳罰化がされたことを、すべてのドライバーへ周知徹底を図らなければならない」
「周知徹底を図る」という言い回しがあります。「知ってもらうために、さまざまな方法や手段で認知を広める」という意味合いです。
「周知徹底」の類語表現は?
意味や使い方が理解したころで、「周知徹底」の類語表現もあわせて覚えておくことにしましょう。語彙力を高めることで、場面ごとに適切な表現を使い分けることができるようになると思いますよ。
1:注意喚起
「注意喚起」とは「気を付けるように促すこと」。「トイレ内にスマホを置き忘れる人が多いので、注意喚起の大きなポスターが貼られていた」などのように使います。
ただし、「注意喚起」と「周知徹底」では、その目的と主旨が異なる点に注意しなければなりません。「注意喚起」は、注意するように呼びかけることが目的であり、「周知徹底」は、すべての関係者へ知らせることを目的としています。
2:情報共有
「情報共有」は、言葉の通り「情報を共有すること」。目的は、あくまで「共有」。「周知徹底」のように「徹底」する必要はありません。情報は解放されており、知りたければ自由に入手することが可能な状態を意味します。ですから、「情報共有」の場合は、ある情報について知っている人もいれば、知らない人もいることになります。
3:連絡する・伝える・知らせる
四字熟語は、その言葉の意味を正しく理解する必要があります。読み手が、意味を理解できなければ目的は達成できません。であれば、平易で誰もが理解できる言葉を使う方が良いでしょう。
言葉数は多くなりますが、「注意点をしっかり伝えて、意識の向上を図った」や「全員に連絡して中止になったことを知らせます」のように、言い方を少し工夫したり言葉を付け足したりすることで、「周知徹底」と同じことを表現できます。
周知徹底に努めることの大切さについて
ここでは、そもそも、なぜ「周知徹底」が大切なのかについて少し触れおくことにします。冒頭でも述べたとおり、「周知徹底」は職場においてしばしば耳にする四字熟語。会社という営利を目的とした組織では、複数の人が働いています。
その規模が大きくなればなるほど、人の数は多くなるでしょう。そんな会社組織では、遵守しなければならない法律や独自に定めた規則やルールが多数あります。もし、それら法律や規則が組織内において「周知徹底」されていなければ、重大な事故や事件に繋がります。ですから、組織においては「周知徹底」が重要視され、標語のように使用されるのです。
社会において「周知」されても「徹底」は難しい…
しかし、世の中を、よくよく見渡すと「周知」されても「徹底」されていないことが沢山あるようです。分かりやすく、典型的な例でいえば交通規則。「赤信号での横断は禁止」ということを、知らない人はいないはず。しかし、信号を無視する人は後を断ちません。
「飲酒運転」もしかり。厳罰化されているにも拘らず「飲酒運転」による悲惨な事故も無くなりません。このことからも、「周知」はされていても「徹底」されることが、いかに難しいかを思い知らされます。
最後に
職場において、しばしば見聞きする「周知徹底」。意味や使い方を通して、その重要性を考えていただけたと思います。会社という組織で働いていると、多くの場合「周知」は上から降りてくるものですが、「徹底」は、あなた自身が行うことになります。
組織の一員である以上、「周知」を求められたことは、必ず「徹底」するという姿勢が必要なのではないでしょうか?
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