「精査」とは?
比較的よく耳にするけど、使ったことはあまりないという言葉ってありますよね。ビジネス上の立場や職務によって、頻繁に使う言葉もあります。本記事で取り上げる「精査」も、そんな言葉の一つかもしれません。
ちょっとお堅い雰囲気のする「精査」の意味や、その使い方について紹介していきます。
「精査」の意味
まずは、辞書で「精査」の意味を確認してみます。
せい‐さ【精査】
[名](スル)くわしく調べること。「感染の原因を―する」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「精査」の「精」は、「精密」などの単語にも含まれるように、「こまかく詳しい」という意味を持ちます。一方の「査」は、「検査」や「捜査」などの単語からも分かるように、「調べる」という意味です。
ひとつひとつの漢字の意味をみると、ただ単に調べることではないようですね。どうやら、「精査」というのは“ひとつひとつ細かく調べる”ということのようです。
言葉の響きから、ドラマや映画などで検察官や捜査官などが、事件現場を調査しているシーンが思い浮かんでしまいます。皆さんはどうでしょうか?
「精査」の英語表現は?
「精査」の英語表現についても紹介します。「精査」の意味を表せる表現は、「a careful survey」や「a careful examination」など。「survey」「examination」には、「調査」や「検査」という意味があります。「注意深い」「用心深い」などの意味を持つ「careful」を前につけることで、「精査」と同じ意味で使うことが可能です。
参考:『プログレッシブ和英中辞典』(小学館)
「精査」の使い方を例文を用いて紹介
ここからは、「精査」の使い方を見ていくことにします。「精査」は、言葉の意味からも重要な場面や書類で使用することがわかります。それだけに、誤った使い方や、軽はずみに使うことはできません。ぜひ、この機会に正しい使い方を押さえてくださいませ。
1:「このトラブルが起きた原因について、精査する必要があります」
精査が必要となる場面として、トラブルが起きたときなどが挙げられます。どうしてトラブルが起きてしまったのか、そして今後同じトラブルを引き起こさないためにも、原因を徹底的に調べて明らかにする必要がありますね。
2:「提出いただいた事故報告書に関しては、第三者委員会において精査させていただきます」
様々な事件や事故が起こった場合、その原因について調査報告が行われます。しかし、当事者が行う調査は事実を隠蔽(いんぺい)されてしまう場合も…。そこで、利害関係のない第三者機関によって厳重な調査が行われるケースが増えています。
3:「この本に掲載されている統計データは、どれほど精査された数値なのか甚だ疑問だ」
公式の文書に記載する数値は、しっかりと調査したデータでなければなりません。新商品やサービスの企画提案をする場合にも、引用する市場調査や消費者の意識調査などのデータは精査する必要があります。
「精査」以外の「調べる」という意味を持つ言葉を紹介
「調べる」といっても、その方法はさまざま。くわしく調べる「精査」の他に、どんな調べ方があるのでしょうか? 知っておくと便利かもしれませんね。語彙力や表現力を身に付けたい方も、ぜひ参考にしてみてください。
1:照査
「照査(しょうさ)」には、言葉の通り「照らしあわせて調べること」という意味があります。「照らしあわせる」ということは、「比較する」や「つきあわせて調べる」ということ。
「昨年のデータと今年のデータを照査する必要がありそうだ」などという言い回しで、ふたつ以上の事柄を比較・調査することをビジネス向きに言い表すことができます。
2:査収
「査収(さしゅう)」とは、「書類や金品、品物などをよく調べてから受け取ること」。目上の人や取引先などに対して、文章や口上などに「ご査収ください」と使うことの多い表現です。よく調べるという点においては「精査」と同じですが、「査収」は調べた上で受け取る必要があります。
3:吟味
「吟味(ぎんみ)」は、「念入りに調べること」、さらに「念入りに調べて選ぶこと」という意味です。また、「罪状を調べて問いただすこと」や「詩歌を吟じて味わうこと」という意味も。
この「吟味」、カジュアルな場面で使うこともできます。「その商品、もう少し吟味してから買ったほうが良くない?」などのようにも使えます。
4:特殊な業界で使われる“デューデリジェンス”
ある特殊な業界で使われる「デューデリジェンス」という言葉があります。このところ、投資に関心のある人が増えていることから、今後、見聞きする機会が多くなってくると思います。記憶しておくと役に立つかもしれません。
「デューデリジェンス」とは、「あるビジネスや企業に関して詳しく調べる」、つまり精査するという意味です。「デューデリ」と省略されたり「デューディリジェンス」と言われたりすることもあります。
また、日本語では「事前調査」や「資産査定」、「企業調査」などと言い換えられることも。不動産投資などの取引の際に、投資の対象となる資産の価値や投資のリスクなどを、さまざまな観点から詳細に調査、分析することを指します。
参考:『デジタル大辞泉』(小学館)
最後に
「精査」のビジネスシーンでの使い方や関連する言葉を紹介してきましたが、ご理解いただけたでしょうか? 親しい友人や家族との会話において、使うことのない「精査」。しかし、日常生活での行動であったり、意識していることの中には「精査していること」は随分あるようですよ。
例えば、アレルギー体質の方ですと、食品を購入するときは成分表を確認するでしょう。また、ブランド品を購入するにあたっては「精査」を怠ることはないと思います。普段の仕事においても「精査」を意識することで、あなたの仕事のクオリティーは向上すること間違いなしですね。
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