目次Contents
この記事のサマリー
・「考慮」とは、「いろいろな要素をよく考え合わせること」。
・「思考に重きを置く」場合は「考慮」、「心遣いに重きを置く」場合は「配慮」を使います。
・英語表現は“consider”や“think over”が使えます。
ビジネスメールや会議の中で「ご事情を考慮して中止にします」とか「天候を考慮して延期します」といった表現を見聞きしたことはありませんか?
しかし、耳なじみはあるけれど、自信がないまま使っている人も多いようです。
この記事では、辞書の情報に基づき「考慮」の意味と使い方、言い換え表現や英語表現までをわかりやすく整理して紹介します。
「考慮」の意味を確認
まずは、「考慮」の意味と使い方を確認しましょう。
「考慮」の意味
「考慮」とは、「いろいろな要素をよく考え合わせること」を意味する言葉です。辞書では次のように説明されています。
こう‐りょ〔カウ‐〕【考慮】
[名](スル)物事を、いろいろの要素を含めてよく考えること。「―に入れる」「―の余地がない」「相手の事情を―する」
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
文法的に「考慮」は名詞ですが、「考慮する」と動詞として使うことで、判断や検討の動作を表すことができます。

「考慮」のビジネスシーンでの使い方を確認|例文と用法
意味を理解したところで「考慮」の使い方を例文とともに確認していきましょう。特にビジネスシーンにクローズアップして見ていきます。
新しい勤務体制を決めるにあたり、社員一人一人の家庭事情を考慮した。
「考慮」は、複数の事情を踏まえて判断するという意味。ここでは「家庭事情」という個々の状況を要素として丁寧に検討したことを表しています。
会議の日程は、参加者の移動時間を考慮して調整してください。
「移動時間」という実務的な要素を含めて決める様子を示しています。
この企画は費用対効果を十分に考慮して、最終案を決定する必要がある。
ビジネスシーンでよく使う例。数値や条件を総合的に検討し、判断の根拠とする例文です。

「配慮」や「検討」との違いは?
「考慮」とよく似た言葉として「配慮」や「検討」が挙げられます。それぞれに違いはあるのでしょうか? 詳しく見ていきましょう。
「配慮」の意味と「考慮」との違い
「考慮」は、物事を判断するときに必要な要素を含めてよく考えることを指します。一方、「配慮」は、相手への心遣いや思いやりを意味します。
つまり、「考慮」は思考プロセスを重視した理性的な検討であり、「配慮」は相手の感情や状況に寄り添う情緒的な姿勢だといえるでしょう。
例えば、上司が「社員の家庭事情を考慮して配置を決める」と言う場合は、条件を踏まえた合理的な判断を行っていることを示します。
一方で、「社員の気持ちに配慮して配置を決める」と言えば、感情面への気遣いを優先していることになります。
このように、両者は似ていながらも役割が異なります。使い分けの基準は、主に「思考に重きを置くか」「心遣いに重きを置くか」にあるといえるでしょう。
「検討」の意味と「考慮」との違い
「検討」は、「よく調べ考えること」や「様々な面から調べて、いいか悪いかを考えること」を意味し、複数の案や条件を比べながら、何が適切かを見極める場面で使います。
例えば、「内容を検討する」「導入の是非を検討する」といった形で、問題解決や意思決定に向けた分析的な作業を指します。
「考慮」と比べて、「検討」はより論理的・実務的な場面で用いることが多く、評価や選定の要素があるといえます。
英語で「考慮する」はどう言う?
「考慮する」を英語で表す場合、最も一般的なのは “consider” です。状況やニュアンスによっては、じっくり検討する意味合いの “think over” も使えます。
例文:
“We will consider your suggestion carefully.”
(あなたの提案を慎重に考慮します。)
“I need some time to think over this plan.”
(この計画について、少し時間をかけて考慮したいです。)
参考:『プログレッシブ和英中辞典』(小学館)

「考慮」に関するFAQ
ここでは、「考慮」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1. 「ご考慮いただけますか?」は正しい敬語ですか?
A. 相手に判断や配慮を求める丁寧な依頼表現として使えます。
Q2. 「考慮」と「検討」の違いがよくわかりません。
A. 「考慮」と比べて、「検討」はいい・悪いといった評価や選定の要素が含まれます。
Q3. 「配慮」と「考慮」の違いは?
A. 「心遣いに重きを置く」場合は「配慮」、「思考に重きを置く」場合は「考慮」です。
最後に
よく考えることを表す「考慮」は、ビジネスシーンだけでなくフォーマルな場や日常会話でもよく使われます。また、文書でも用いられることがありますので、意味や使い方を覚えておくと役に立つでしょう。
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