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「アロケーション」とは?
「アロケーション」という言葉を知っていますか? 初めて聞いたという人や、見聞きしたことはあるけれど、意味や使い方までは知らないという人が多いのではないかと思います。「アロケーション」は、「予算」や「配分」などの意味。業界によっては、ビジネスシーンでよく登場します。
「アロケーション」は資産形成に関することでもよく登場しますので、意味を知っておくといいですね。
「アロケーション」の意味を確認
辞書で調べたところ、「アロケーション」には次の意味がありました。
▷アロケーション【allocation】読み方:あろけーしょん
割り当て。配分。配給。特に、予算などの配分法。
《デジタル大辞泉》(C)Shogakukan Inc.より引用
「アロケーション」は、さまざま業界で使われている言葉ですが、意味はそれぞれ異なります。
「アロケーション」は予算配分のことを示す
ビジネスシーンで「アロケーション」が登場するのは、プロジェクトなどの予算に関連する事柄が多いでしょう。「アロケーションする」のように使われる場合は、「予算を適正配分する」という意味。事前に見積もった費用を、それぞれの領域に対して適切に割り当てることを指します。
「アロケーション」は、業界独自の使い方をすることもあります。各業界における「アロケーション」の意味を見ていきましょう。
「アロケーション」とは:広告業界
広告業界では、予算を配分するという意味で「アロケーション」を使います。「アロケ」と略されることもありますが、広告業界においての具体的な使われ方や意味について、見ていきましょう。
広告業界の「アロケーション」
SNSやWEB広告を出す際、予算を配分しますが、その際に「アロケーション」を使います。
たとえば、SNSで広告を出す際のトータル予算が1,000万円あるとしましょう。そのうち、600万円をInstagram広告、残りの400万円をYouTube広告にアロケーションする、のように使うというイメージです。
広告は、予算に対して見合う効果を得られないことも。その場合は、SNSマーケティングで予算を見直し、別媒体を使ったり、予算配分を見直したりしますが、それを「アロケーションを見直す」のように表現します。
「アロケーション」とは:金融業界
金融業界には、「アセットアロケーション」という用語があります。資産に関連することですので、一緒に把握しておきましょう。
金融業界の「アロケーション」
「アセットアロケーション」の「アセット(Asset)」は、資産を表す英語。資金を国内外の株や債券に投資する際、どのような割合にするのかを決めますが、それを「アセットアロケーション」と言います。
アセットアロケーションは、リスクを回避しながら、より高く安定したリターンを得ることを目指します。そのため、個人の資産状況や運用目的、リスクの許容度をはかりながら、適切な配分を決めていくというのが、一般的な流れです。
また、具体的な金融資産を組み合わせたものを「ポートフォリオ」と言いますが、この配分を変えると、資産運用の方向性も変わることになります。
「アロケーション」とは:流通・小売業界
流通や小売業界で使われるのは「スペースアロケーション」です。期間により、売場と棚の陳列量を変えることを指す流通用語として知られています。
流通・小売業界の「アロケーション」
「スペースアロケーション」は、店内スペースの全体最適化を行い、フロア全体を区切って、商品を適切な売場に割り当てることを指します。これにより、顧客はさまざまな商品に気がつく可能性が高くなり、売上向上につながるというわけです。
商品を店内のどこに置くか、どの棚に何をどう置くかは、戦略的に考えられたもの。顧客の視認性や、商品のメインターゲットを意識して配置されています。
たとえば、子供向けの商品であれば、メインターゲットとなる子供の平均身長を割り出し、子供が商品を見つけやすいように商品を陳列していきます。
「アロケーション」とは:物流業界
物流業界においての「アロケーション」は、納期管理のシーンで使われています。どのような意味があるのでしょうか?
物流業界の「アロケーション」
納期管理は、物流業界において最重要視されていることの一つです。物流では、商品を配送するまでにどれくらいの量を保管や貯蔵するのか、いつまでに配送するのかについて、徹底管理しなければなりません。その際、ものによって最適な置き場所を決めることになりますが、それを「アロケーション」といいます。
「アロケーション」とは:IT業界
IT業界での「アロケーション」は、資源や空間を分割し、要求に応じて割り当てをすることを示します。
IT業界の「アロケーション」
プログラムを実行する際、データ保存などで必要となるメモリ領域を確保することを、「メモリアロケーション」と言います。プログラムはOSに必要な容量を要求し、メモリの空き領域から、割り当てを受けるというものです。
それ以外だと、ネットワーク分野において、IPアドレスなどを管理する組織が個人や組織に一部を割り当てることなども、「アロケーション」に該当します。
「アロケーション」とは:土木業界
土木業界で使われる「アロケーション」についても見ていきましょう。
土木業界の「アロケーション」
橋の建設などでかかる費用を、それぞれの事業間で公平に割り当てすることを「アロケーション」といいます。橋の場合は、川と道路が関係するため、それらに関連する事業間で負担することが多いのでしょう。
最後に
「アロケーション」とは、「割り当て」「配分」を表す言葉です。ビジネスシーンにおいては「予算配分」の意味で使われることが多いでしょう。また、「アロケーション」は、業界により、使い方や意味が異なる場合があります。
金融業界で使われる「アセットアロケーション」は資産形成に関連した意味になり、流通・小売業界では「スペースアロケーション」として、商品陳列に関連することを表します。「アロケーション」は、日常ではほとんど聞かない言葉ですが、ビジネスシーンにおいては、今後さらに浸透するかもしれないので覚えておきたいですね。
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