「バックボーン」という言葉を聞いたことがありますか? なんとなく、背景や生い立ちのようなことを表すとはわかるものの、はっきりとした意味はわからないという方もいるでしょう。そこで今回は、バックボーンという言葉の意味や使い方、言い換え表現、英語表現などを紹介します。
バックボーンとは?
バックボーンは、英語がもとになっているカタカナ語です。バックボーンには、いくつか意味がありますが、まずは基本的な意味から紹介しましょう。
基本的な意味
バックボーンは、英語の「backbone」が語源。この「backbone」が「背骨」を意味するため、日本語でも「背骨」を意味します。
「背骨」は、身体の柱ともいえる骨ですよね。このことから、「思想や信条を成り立たせている考え方」という意味としても使われます。わかりやすく言うと、「軸となる考え方」のこと。また、「バックボーン」は、心の支えになっている存在を表す「精神的支柱」と言い換えることもできます。
シーン別のバックボーンの意味
バックボーンの意味を説明しましたが、理解できましたか? バックボーンは、ビジネスの場面やIT用語として使われる時には、それぞれ意味が異なります。いざ「バックボーン」という言葉を見聞きした時にスムーズに理解できるよう、ぜひチェックしてみてください。
ビジネス
ビジネスシーンでバックボーンが使われる時は、「仕事に対する考え方」という意味になります。過去の経験を通して確立した、「仕事に対する信条やスタンス」といえるかもしれません。また、バックボーンは、個人だけではなく企業に対しても使われ、この場合は「企業の根幹となる考え方」のことを表します。つまり、「企業理念」のことです。
IT
IT用語としてのバックボーンは、「通信ネットワークの中枢となる回線」。ネットワーク同士をつなぐ基幹回線のことです。IT用語としてバックボーンを使う場合には、「バックボーンが太い」もしくは「細い」と表現されます。バックボーンが太いと通信速度が早く、通信できるデータ量も多くなり、細いと通信速度は遅く、データ量も少なくなるのです。
バックボーンの使い方を例文でチェック!
バックボーンにはいくつかの意味があることがわかりました。ここでは、基本的な意味である「背骨」以外の意味に絞って、例文を紹介しましょう。
1:チームプレーを大切にする彼女のバックボーンは、学生時代のバレー部での経験だ。
このバックボーンが表すのは、その人が持つ考え方の背景にあるもののこと。バレー部での経験を通してチームワークの重要性を実感したからこそ、社会人になってもチームプレーを大切にしている、ということがわかります。
2:あの政治家のバックボーンに迫る。
こちらも、その人の軸となる考え方のことです。バックボーンに迫ることで、その人がなぜ今の考え方に至ったのかを知ることができ、相手を理解するのにも役立ちます。なお、「バックボーンに迫る」のほか、「バックボーンを知る」「バックボーンを探る」などとも使えますよ。
3:ヨーロッパの宗教的バックボーンには、キリスト教があるようだ。
宗教は人の精神的な拠り所であったり、支えであったりすることが多いですよね。また、信仰している宗教によって、行動や習慣が異なるほか、考え方に影響を与えることもあります。宗教もバックボーンになりえるものの一つと言っていいでしょう。
類語や言い換え表現は?
さて、続いてはバックボーンの言い換え表現について見ていきましょう。「背骨」「思想や信条の背景にある考え方」の、それぞれの意味に対する類語を紹介します。バックボーンの意味があやふやなため自信を持って使えない、という方は、以下に紹介する類語を使ってみてくださいね。
1:脊椎
もしバックボーンを背骨の意味で使う場合には、脊椎(せきつい)が使えます。脊椎とは、背骨のことです。もしくは、脊梁(せきりょう)と言うこともできます。医療用語のため難しい言葉ですが、一つの知識として覚えてみてください。
2:拠り所
拠り所(よりどころ)は、ここまでで何回か登場した言葉ですね。拠り所とは、支えとなるものや頼るところという意味です。「心の拠り所」といえば、困った時に助けてくれる存在であったり、癒してくれる存在のことを言います。家族や恋人、宗教、好きなアーティストなども拠り所に当てはまるでしょう。
3:信念
信念(しんねん)は、自分の信じている考えや信仰心という意味。「思想や信条を成り立たせている考え方」という意味のバックボーンは、信念とも言えますよね。例えば、「あなたの仕事のバックボーンは何ですか?」を、「あなたの仕事に対する信念は何ですか?」と言い換えて使ってみましょう。
4:バックグラウンド
バックボーンと似た言葉に、バックグラウンドがあります。バックグラウンドとは、背景や、その人の性格や思想をつくりだした環境や生い立ちという意味。現在のその人や状況をつくった要因をさします。
英語表現は?
最後に、バックボーンの基本的な意味の「背骨」と、「軸となる考え方」の、それぞれに当てはまる英語表現を紹介します。海外の方とやりとりする時に、ぜひ役立ててみてくださいね。
1:backbone
バックボーンの英語表現の一つは、語源である「backbone」です。「backbone」には、「背骨」「後ろ盾」「気骨」といった意味があります。
2:basic way of thinking
「basic way of thinking」も、バックボーンの英語表現として使えます。「basic」とは「基本的な」、「way of thinking」とは「考え方」という意味。「basic way of thinking」で、「基本的な考え方」という意味になります。
最後に
今回はバックボーンについて解説しましたが、意味はしっかり理解できましたか? バックボーンはビジネスシーンや、インタビュー記事などでも見聞きする言葉です。ややわかりづらい言葉ですが、「軸となる考え方」と捉えるとわかりやすいでしょう。ただし、IT用語として使われる場合には、「通信ネットワークの中枢となる回線」という意味になります。
場面によって正しく理解できるよう、これを機会にバックボーンの意味をしっかりつかんでくださいね。
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