「自己犠牲」の意味とは?
「自己犠牲」という言葉を聞いて、「自分のことかも…」と思ったことはありませんか? 「自己犠牲」とは、自分自身を犠牲にしてでも尽くすことを指します。「自己犠牲の精神」のように使われることが多い言葉で、ビジネスシーンで登場することもあるでしょう。
本記事では、「自己犠牲」という言葉の意味や使い方を紹介します。また、「自己犠牲」から抜け出す方法についても見ていきましょう。
「自己犠牲」とは
「自己」と「犠牲」の意味をそれぞれ調べてみました。
【自己】
読み方:じこ
1 おのれ。自分。自身。「—を欺く」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
2 哲学で、同一性を保持して存在するあるものそれ自身。人格的存在以外にも用いられる。⇔他者。
【犠牲】
読み方:ぎせい
1 神、精霊などをまつるときに供える生き物。いけにえ。
『デジタル大辞泉』(小学館)より
2 ある目的のために損失となることをいとわず、大切なものをささげること。また、そのもの。「道義のために地位も財産も—にする」「—を払う」
3 災難などで、死んだり負傷したりすること。「戦争の—となる」
「自己犠牲」とは、目的のために自分自身の欲望などを捨てて尽くすことを意味します。自分の幸せや気持ちを後回しにして、損をすることをいとわずに働いたり、労力を費やしたりすることを表すと言えるでしょう。
「自己犠牲」は、愛情深くヒーロー的な行為とみなされがちです。また、「自己犠牲=思いやりがある」と解釈する人もいるでしょう。一方で、「自己犠牲」が大きなストレスになることも…。報われないと感じて、心身を疲弊させてしまう原因にもなります。
「自己犠牲」の使い方
「自己犠牲」という言葉の使い方を見ていきましょう。例文を参考に、使い方をチェックしてください。
《例文》他人に嫌われたくないからと自己犠牲ばかりしていると、自分を見失ってしまうよ
例文では、「自己犠牲」ばかりする人を見かねて、注意を促すさまを表しています。
「自己犠牲」の精神を持つ人は、優しい性格であることが多いかもしれません。他人の喜ぶ姿を見たくて、自分のことは後回しにしてばかり。それ自体は悪いことではありませんが、度が過ぎるのは危険。自分に我慢を強いる「自己犠牲」を続けていると、心身を蝕んでしまう可能性があります。
《例文》彼女は自己犠牲の精神が強い人だけど、依存心も強い
恋愛関係でも「自己犠牲」を用いることがあります。例文は、尽くすタイプのパートナーであるが、依存心が強いということを表しています。
恋愛で、相手のために尽くし過ぎることを「自己犠牲」と表現することがあります。相手に対する愛情が深く、常に相手優先で行動するような状態が該当するかもしれません。相手の意向ばかりを尊重してしまうため、相手はそれを依存だと感じることも。
愛情深いことが行き過ぎてしまい、「自己犠牲」と感じるのは考えもの。かえって相手の負担になってしまう可能性があることも頭においておきたいですね。
「自己犠牲」から抜け出すには?
「自己犠牲」は重んじられることもありますが、行き過ぎてしまうと自分の心身を壊す原因になりかねません。「自己犠牲」に慣れてしまうと、自分自身が疲弊していることに気づかず、自尊心の低下や意欲の喪失につながってしまうからです。
また、一人でがんばり過ぎることは、他人の成長をはばむことにもなります。特にビジネスシーンにおいては、この点を意識する方がいいでしょう。
ここからは、「自己犠牲」から抜け出す方法を紹介します。「私は自分を犠牲にしているかもしれない」と感じたら、以下のことを試してみてください。
自分の口癖をチェック
自分を犠牲にしているかもと感じたら、自分の口癖をチェックしてみてください。もし「自分なんか」「私なんか」のような言葉を使っていたら、それは危険信号と言えるのかも。「自分なんか価値がない」「私なんか大事じゃない」と思っているのかもしれませんね。
「自分なんか」と思う人は、他人の目ばかり気にして行動する傾向があります。自分を後回しにすることが習慣化していて、「自己犠牲」が当たり前になっていませんか?
無意識に自分に向けている言葉や思考癖は、口癖に出やすいもの。自分自身が自分をどのように思っているか、探るようにしてください。
自分のことを知ろう
自分を知るということも大切です。もしストレスを感じているのなら、何が嫌なのかを把握するのがいいですね。自分が原因と考えていることではなく、別のことがストレスだったというのはよくある話です。
自分が何を嫌と感じ、何にストレスを感じるのかを明確にできると、対処の方法が見つかります。自分の力だけで見つけるのは難しいと感じたら、他の人の力を借りるのがおすすめ。親しい人や専門家に相談し、心や気持ちを整理してください。
「断る勇気」を持つ
自分の仕事ではないのに引き受けてしまい、休日返上で出勤するはめになる、残業が続いてしまうということはありませんか? 「自己犠牲」になりやすいのは、断れない人かもしれません。
せっかくの依頼やお願いを断ると、相手に嫌われてしまうと考えていませんか? あるいは、場の雰囲気を壊すことになるのではと恐れることもあるでしょう。しかし、無理を重ねて体調を崩したり、仕事のクオリティが下がったりする方が大変です。
依頼やお願いを断ることは、悪いことではありません。きちんと理由を伝え、謝罪の言葉をていねいに伝えれば、大半の人が理解してくれるでしょう。それで相手の態度が変わったとしても、気にする必要はありません。そういう人だったと諦めて、気持ちを切り替えるようにしたいですね。
自分を優先する時間を持つ
「自己犠牲」をする人は、常に相手や周りを優先させてしまいがち。いつもがんばる自分を認め、たまには労わってあげてください。自分のことを優先する時間を持ち、一人でゆっくり過ごすのもいいですね。自分の気持ちが整理され、心が落ち着くかもしれません。
特に疲れを感じたときは、自分を最優先してください。心や体からのSOSサインをキャッチし、自分の時間を大切に過ごしたいですね。
最後に
「自己犠牲」について紹介しました。「自己犠牲」そのものは、悪いことではないでしょう。しかし、それが原因で自分を見失ってしまうのなら、見直す必要がありますよね。自分ばかりが我慢していると感じたら、それは危険サインかも。頼まれごとは自分に余裕があるときのみ引き受けるなどして、自分自身を大切にしてください。
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